表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日々の出来事  作者: Gerbera


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/17

新幹線


 低い走行音と、高い駆動音。

 車窓からは、さまざまな街並みが、さまざまな自然や気候と共に過ぎ去ってゆく。


 雨の街を過ぎ、霧を生む山を貫き、海を見渡した。


 いつも過ごす街には無い、石に富んだ川を見た。

 示し合わせたように高さの統一された屋根を見た。

 霧雨に囲われた、鬱蒼とした緑を映す細道で、濡れながらはしゃぐ親子を見た。


 私の関われなかった多くの人生、その一幕があった。

 私の産まれなかった土地の、きっと私が子ども時代の象徴的思い出の場とした地形があった。


 心地の良い寂寥感。せめてもの足掻きに、私は地名だけでも知りたくてスマホのマップを開く。

 私の現在地を示すマーカーが、見たことのない速さで海と山との境界線を割いてゆく。

 ついにマップの描画が間に合わず、私はグレーのマス目の上を移動していた。


 ようやく諦めがついた。私はここにいなかったし、この心地良い街の、美しい自然の子ではあり得なかった。


 ここには私だけがいる。時速300キロで、私の多くの構成要素を置き去りに、たったこの身を運んでいる。


 ああ、まったくもって寂しく、孤独で、癒される。


 旅とはこういうものだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ