就寝の時
時間が経ち、小っ恥ずかしい空気が薄れて蓮姫とまともに話すようになった頃、時計を見ると既に22時をまわっていた。
「先輩、そろそろ寝ますか。」
「だな。......俺はどこで寝れば?」
「もちろん姫の部屋だよ?」
当たり前でしょ?といった顔で言う楓さん。
そしてニヤリと不敵な笑みを浮かべて続けた。
「それとも私の部屋で寝る?」
「姉さん、そのノリいい加減にして下さい。」
蓮姫はそんな楓さんの俺を誘惑するノリに途中から反応するのも飽きた様子で軽く斬り捨てた。
「あ、もちろん姫も一緒にだよ?」
「そういう問題じゃないです!ほら、先輩さっさと行きますよ。」
「お、おう。」
蓮姫は俺の手を取るとグッ!と引いて楓さんを置いて階段を登った。
.........あ、初めて蓮姫の手を握った。
そして部屋に入ると、蓮姫はそのまま俺の手を引き布団へと誘導した。
「先輩は奥と手前どっちがいいですか?」
「ん?別にどっちでもいいぞ?」
今の俺はそんな事よりも蓮姫と一緒に同じベッドで寝れることの方が嬉しくて仕方ない。
「じゃあ、私が奥です。落ちるの嫌なので。」
「そっか。.........寝相悪いのか?」
「わ、悪くないです!普通です!」
そう言いつつ蓮姫は先にベッドにあがった。
あぁ、そういえば蓮姫のベッドの前はやたら大きなぬいぐるみが大量に並べられてて、飾りにしては邪魔な配置だと思っていたが今の反応でようやくその理由が分かった。
「じゃあもう電気消すか?」
「はい。」
既に布団に入っている蓮姫の返事を聞いてから、部屋の中央、電気からぶら下がっている紐をカチカチと引いて電気を消した。
ベッドの接している壁には少し上に窓があり、閉じられたカーテンの隙間から月明かりが部屋の中を照らし、暗いながらに何とか視界を得ることは出来た。
「じゃあ入るぞ。」
蓮姫のベッド落下の衝撃吸収の為と思われるぬいぐるみを大股で跨いでベッドへとあがり布団へと入った。
ベッドはシングルでいくら蓮姫が小さいといえど、二人とも上を向いて寝れば手と手が微かに触れる。
そしてにより今俺が寝ているのはいつも蓮姫が寝ているベッド。
そう意識すると必然的に鼓動は早くなり嬉しさやら気恥しさがこみ上げてくる。
「先輩、今日はすみませんでした。」
と、俺がそんなくだらない興奮をしていると、すぐとなり、耳元で蓮姫が唐突に謝ってきた。
「ん?」
「お姉ちゃ......姉さんの事です。実は今回のお泊まり、言い出したのは姉さんなんです。だから会わせない訳にもいかなくて...。」
「そうだったのか。でも何も謝る事ないぞ。妹思いの良いお姉さんじゃないか。」
「それは......そうですけど。」
「色々考えがぶっ飛んでるけど、行動力があるのは姉妹似てるって感じだしな。」
「…ぁぅ。」
「それに今日は楓さんのお陰で普段見られない蓮姫の隠れた一面を沢山見られたからな。」
「そ、それは忘れてください!」
蓮姫はプイッと顔を背け、そして小さく続けた。
「でも、姉さんのお陰で少し勇気は出ました。」
「ん?」
「私もいつか...いつかは先輩と恋人らしい事をしたいです。」
.........っ!?
まさか蓮姫からそんな事を言ってもらえる日が来るとは...。
「えーっと、とりあえずキスでもするか?」
「私のファーストキスをこんなムードも無しに済ませるんですか?最低です。」
「はは、悪かったな。」
最近は寒くて体調をくずしがち.....。




