七十九話(配信回)
【ぐわぁぁ!!】
【美味しそうなんだけど!!】
【飯テロじゃねぇか!】
ハスバたちが準備の手伝いに来たところで焼き始めた肉を配信に映す。
直後に流れるコメントにふふんと自慢気に頷くビース。
食費は事務所持ちだから配信者として事務所に所属してラッキーだと思っている。
【クライシスくんが何か持ってきているな】
【サッカーボールか?】
【ラケットもあるな】
【もしかしてミニゲーム用の道具か?】
「ん?正解です。これはミニゲームに使う道具です。どんな内容かはまぁ大体予想できると思いますが」
「ちなみに内容はPKとバドミントンのラリーです。わたしたちの勝負を楽しんでください」
【いえーい】
【楽しみにしてます】
【楽しみにしてます!】
【いつからやるの?】
【あれ?前衛タイプと後衛タイプでかなり有利差がでない?】
「お遊びだから良いんじゃないんですか?」
「!?」
【それ言ってよいの!?】
【となりとなり!】
【めっちゃ目を見開いてる……】
【そらそうよ】
「それでも気になるなら、なんかハンデを付ければ良いだけですし」
【そうだけどさぁ】
【となり見たら?】
【ぶっちゃけ過ぎだろ】
【えぇ……】
「どうしましたか?」
「お遊びなのは本当だけど自ら口にするのはどうなんですか……?」
「別に良くないですか?」
【良くないんだよなぁ】
【思っていても実際に口にするのは違うだろ】
【もうちょっとこうさぁ】
「それよりも俺達も焼いて食べましょう。匂いがしてきて腹が減ってきました」
「………そうですね。戻って食べ始めましょう」
「おっ。ゲームはいつからやり始める?」
「ある程度食べてから良いんじゃない?」
「コメントでハンデを付けたほうが良いんじゃないかとありましたけど付けますか?」
「別に良いんじゃないか?それよりもふたりともこれを食え」
「ありがとうございます」
【ぐわぁぁぁぁ!】
【腹の音が鳴る!】
【もう我慢できない!】
【甘いな。俺はもう食べている】
「あっつ」
「おいしい……」
「おい」
「何でしょうか」
【もしかしてまた?】
【喧嘩を売るのはもうやめて】
【急にグロ画像を見せるのは反則だろ】
【まじで止めてほしい】
「ミニゲームで勝負しろ」
「かまいませんよ」
「ミニゲームで負けたほうは罰ゲームもありますからね?」
「わかってる」
【それなら安心】
【あまり本気の罵り合いは見たくない】
【ほんとそれ】
【配信のときぐらいは気楽に楽しませてくれ】
【ハラハラさせるのは遠慮させて】
【むしろそれが楽しみだろ!?】
「先輩たち!」
「ん?どうした?」
「ミニゲース、最初は俺とこの人が勝負しても良いでしょうか?」
「………良いけどズルはするなよ?」
「しませんよ?」
【妥当】
【そう言って相手が喧嘩を売ってきたら買うだろ】
【卑怯なことはしないと思うけどさ】
【心配になるのも納得できる】
「ミニゲームはまだ先ですけどね」
「なんだ?まだやらないのか?」
「先に飯。ハンデも決めてないし」
「は?」
【喧嘩売るなよ】
【先に喧嘩売ってて草】
【どんだけキレてんだよwww】
「へぇ……」
「何でお前喧嘩を売るんだ……」
「?」
「首を傾げるな。ハンデをつけるって喧嘩売っているだろうが」
「先にハンデの内容を決めていた方が次はスムーズに移れるだろ?俺達が終わった後に決めるのか?」
「………。あぁ、そういうこと!ハスバさんに喧嘩を売っているように聞こえたぞ!」
「流石に年上の大人相手にハンデはつけないだろ」
【女性陣とか後衛のハンデを先に決めようって話か】
【大人だからって理由でハンデ上げようとしないの笑う】
【ハスバの方が格下だろ】
【少しは手加減してあげよう?】
「舐めんな。次は勝てる」
【無理だろ】
【反応も出来なかったのに?】
【ズルしたら多分キレるよ、そいつ】
【基本スペックで負けてるのに、どうやって勝つんだ?】
【がんばれー】
「はい」
「なんだ?って肉かサンキュ」
「食べないと、どんどん他の人に食われて無くなりますよ」
「………そうだな」
【たらふく食わせて動けなくさせたら?】
【ズルくね?】
【この後ミニゲームもあるのに食いすぎたクライシスくんの自業自得だろ】
「あっ」
【ん?】
【画面いっぱいに見せるなぁ!!】
【絶対に良い肉使ってるだろ!】
【野菜も美味しそうなんだが!】
【ズルいズルいズルい】
【バーベキューしたくなる!】
「さっきの声は焼いた肉を映すためか!」
「そうですよ?バーベキューを配信するんですから肉も見せないと」
【やっぱり飯テロ配信じゃねぇか!】
【ある程度覚悟していたけど、それを超えてくるんだが!?】
【決めた。今度の休日、絶対にバーベキューするわ】
【一緒に見てる嫁も今度バーベキューしようって言ってる】
【次の休日は家族でバーベキューにします】
「…………」
「どうした?」
「いいや。何でも」




