二百六十七話
「先生、最近クライシスくんに頼りすぎじゃね?今回なんて頭を抱えていたぞ」
「……しょうがないだろ。私達よりも強くて教育能力も高いんだから」
「だからって教師がやるべき仕事だろ?」
教師へとクライシスに仕事を任せすぎだと文句を言う。
他の生徒たちもそうだそうだ、と援護してくれる。
「だが君たちは強くなりたいんだろ?それなら私たちよりも確実に強くしてくれるクライシスくんのほうが良いんじゃないか?」
「大人のくせに子供より劣ってしまっているからって拗ねているのかよ」
「どの学校も教師が複数いるのは負担を軽減するためじゃないのか!せめてクライシスくんの負担を軽くしようと思わないのかよ!」
「教わる部分が無いし、逆に教師でもないのに教える立場になったからって退学やらで逃げられたらどうするんですか!」
「それは……」
クライシスが退学などで逃げることは全く想像してなかったのか言葉につまる教師。
良くも悪くも否定できなかった。
「もしかしてクライシスくん退学とか匂わせていた?」
「いや、してないけどクライシスくんだぞ?何かやらかしてもおかしくないだろ」
その言葉に思い出すのはクライシスくんの今までの行動。
喧嘩を売られたからと過剰に攻撃したり、それでトラウマにしたりしている。
特にトラウマになった生徒はよく知っている。
あれを見ると徹底的に行動した結果、退学を選ぶのも納得できる。
だが、それ以上に教師である自分たちに攻撃する可能性もある。
本来は学生がやることじゃないことを任せられたことに仕返しに攻撃する可能性もあった。
あとはその仕返しに教師たちもクライシスの訓練に参加していたから実力を確認する目的もあるだろう。
もしかしたら大人だからと生徒たち相手とは違って本気で襲ってくるかもしれない。
それが恐ろしかった。
「そうだな……。他の先生達とも話し合って気をつけておく」
「そうしてください。クライシスくん、かなり疲れていると思うので」
毎週、放課後に数回は確実に自分より年上の生徒や教師までも鍛えているのだ。
疲れているというのも納得する。
「わかった。わたしたちも気をつけるよ」
教師の言葉によく焼く納得した表情を見せる生徒たち。
ここまで心配されてクライシスは幸せものだなと教師は考えていた。
「いやー、生徒たちにクライシスくんに頼り過ぎじゃないかと文句を言われてしまいましたよ」
「そちらもですか?私も担当しているクラスの生徒に言われてしました」
「そっちも!?」
職員室へと入るとクライシスのことに対して他の教師たちも文句を言われたらしい。
ここまで来ると本当に自分たちが気づかなかっただけでクライシスくんはかなり疲れているんじゃないかと考えることができる。
そして教師でありながら気づかなかったことに情けなく感じてしまう。
「ここまでくると本当に疲れているのかもしれませんね……」
「えぇ。頼り過ぎだと言われるのも文句も言えません」
流石にこれ以上の注文は控えるかと頷きあう教師たち。
クライシスくんも疲労が溜まっているのだろう。
何週間かは訓練を休ませても良いかもしれない。
「何週間か放課後の訓練を休ませるとして、代わりに何かします?」
「代わりに俺達が鍛えるとか?俺達も訓練がある日は毎日参加しているし代わりぐらいはできると思うが?」
「それもありですね。一応、生徒たちにも確認する必要はあると思いますが」
「あとは私達が直接相手をする組手でしょうか?流石にまだ私達のほうが強いでしょうし勉強にはなるはずです」
クライシスくんは例外として、まだまだ生徒たちに負けるつもりはない教師たちは頷きあう。
これなら問題ないはずだと実際に組手をする日に向けて各々が準備をし始めた。




