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第六十三話 打ち上げは……告白?

 いよいよ文化祭も控えたある日。


 教室の中にも装飾を施して、少しでも可愛い喫茶店らしさを出さないとね!

「ここのクラスは……『男女逆転メイド喫茶』ですか。失礼。何か足りない、不足しているものはありませんか?」


 生徒会の見回りだろうか、眼鏡をキラリと光らせながら生徒会副会長の響麗華ひびき・れいかセンパイが喫茶店の出来具合を確認しにやってきた。いつも通りクールな麗華センパイ。それだけにクラスメイトたちもいつもよりぎこちなさもありつつ応えているみたい。


「は、はい!今のところ、特には」


「そうですか。あら、裕理さん!ちょうど良かったお話したいことがありますので、こちらへ来ていただけますか?」


 ぱちっ、と麗華センパイと目が合ったかと思うと『おいでおいで』と手招きされてしまったのでクラス中の視線が私に集まるなか、ちょっとした気まずさもありつつ麗華センパイに近付いていくと、私よりも先に灯チャンと南クンが麗華センパイの前に立った。

 え、二人とも麗華センパイに用事?


「えっと……お、お話したいことがあるなら、ここで!」


「そーっすよ。別にやましい話でもないんでしょ?まだまだやることあるんで、手短にお願いしますよ?副会長さん」


「……な、なんなんですか。わたくしは裕理さんとお話があるんですが……」


「はいはい!二人とも退いて退いて!三年で、しかも生徒会の見回りもあるなか立ち寄ってくれたんでしょ?ちょっと話すぐらい良いじゃん、ね?」


 灯チャンと南クンの肩をぽんぽんと軽く叩いて落ち着くよう促すと(絶対に麗華センパイと私が二人きりになるのを邪魔しているようにしか見えなかった。)麗華センパイと二人になり、廊下の隅の方で話すことになった。(ちらちらと教室のドアから顔を出し、様子を伺っているらしい灯チャンと南クンは……もう無視しよう。)


「さきほどのお二人は……まるで……」


「あー、別に気にしないでください。ちょっと最近年頃特有の妄想が行き過ぎてきているだけなので……」


わたくしたちの恋路を邪魔する厄介者という感じがしましたわね!」


 あー……久しぶりに落ち着いて話すから分からなかったけれど(麗華センパイとは、メールとかで連絡は頻繁に取っているよ)センパイもかなり想像力が豊かになってきちゃっている感じ、かな?


「やはり三年と一年では……ロミオとジュリエットも真っ青になってしまうほどに難解な恋だということでしょうか。でも、わたくしは諦めませんことよ!」


 え、ロミジュリ?……真っ青っていうか、その二人って確かラストには死んでなかったっけ?あれ、違った?


「裕理さん!」


 がしっと両手で私の両手を包み込むように握ってきたものだから目を丸くしながら勢いのある麗華センパイに向き合った。


「な、なんでしょうか?」


「文化祭の終わりには打ち上げ……花火大会やキャンプファイヤーがおこなわれるのは知っていますか?」


「あー、はい。話は聞いていますけれど」


「特に、キャンプファイヤーの時間。一緒に過ごす人たちはこれからも末永く幸せに過ごすことができると言われているのです……それで、もし良ければなのですが……ま、待ち合わせでもしてゆっくり過ごしませんか!?」


 へぇ、所謂ジンクスっていうやつなのかな。そういう話は聞いたことがなかったけれど、本当にあるならちょっと気になるかも。もちろん私が誰かとっていう話ではなくて、そういうジンクスが当たるのかどうかって意味で。


「と、特に一緒に過ごす人は決まっていませんが……」


「では!」


「ちょっと、待って……ください!」


 と慌てて割って入ってくる灯チャン。そして、


「ちょい、待ってもらっていーっすかねぇ?」


 南クンも一緒だった。


「その時間帯はクラスの奴らで過ごすことになってるんすよ~。なので、先輩とは過ごせないんすよねぇ」


 え、そんな予定になっていたっけ?

 文化祭の予定表を思い返してみても打ち上げ時には自由行動って感じになってなかった?


「そ、そうなんです!」


 灯チャンも小さいながらもとても緑を愛する手をぎゅっと握り締めて拳を作りながら麗華センパイに怯えることなく告げている。もしかして私の記憶違いだったとか?


「そ、そうですか……。では、失礼させていただきます。でも、もし時間が空いたら教えてください!裕理さん!」


「は、はい!」


 名残惜しそうに麗華センパイは再び文化祭準備の見回り活動をはじめていった。どことなく寂しそうかも。悪いことしちゃったかな。


「ねぇ、打ち上げってクラスで過ごすってホントなの?私、そんなこと聞いてないんだけれど」


「あー……それ、今決めた」


 は?


「だって……響先輩と二人きりになんて、できない……」


 はい!?

 あー、なんとなく分かったかも。つまり、私と過ごしたいわけね!うんうん、良い友達を持って私は幸せ者ですよ。


「しょーがないなぁ……ちゃんと二人とも一緒にいるから、そんな顔しないでよ~」


 どことなく寂しそうな顔をしている二人だから、こっちの方が心配になっちゃうじゃない。二人のことだって私は大切なんだからちゃんとそばにいるよ。


「さ、二人とも!装飾の続き、張り切ってやるぞー!」


 私が気合いを入れて教室に向かうかたわら、灯チャンと南クンは……


「……なぁ、土屋。もう一回、ちゃんと告白してみねぇ?打ち上げのとき、時間つくってさ」


「!……でも、また何かあったら有耶無耶に……」


「そうならないためにも!マジで、告白するんだって。俺もお前の告白するときは邪魔しない。代わりに俺が告白するときも邪魔はしないって条件でどーよ?」


「……や、やってみる!」


「よし!」


 ちょっと遅れている二人に向かって声をかければすぐに教室に戻って来てくれた。二人で内緒話でもしていたんだろうか。


 教室では、少しずつではあるが可愛らしいデコレーションがされてきている。うんうん、ファンシー系な喫茶店って感じかな。レトロな大人っぽい雰囲気の喫茶店とは全然遠いから落ち着くって感じはできないかもしれないけれど、文化祭ならではの男女逆転メイド喫茶として盛り上げていくのならば良い雰囲気になるかもしれない。

 そんななか、男子が着ることになっているメイド服のチェックをいつまでも気にしているのはクラス委員長だった。たぶん、メイド服を気に入ってしまったんだろう。ハンガーに掛けてあるメイド服を見ては、また違うデザインのメイド服を上から下までチェックして、うんうんと頷いていた。でも、一言いいかな。当日、それを着るのは男子だよ?たぶん灯チャンみたいな子が着たらめちゃくちゃ客受けも良さそうなんだけれど『男子が』着るから、ね?クラス委員長、どうか当日を迎えて現実を見たときにショックを受けないと良いなぁ……なんてね。

 今、学校の打ち上げ的なもので花火をやるところもあるみたいですね。あ、当たり前ですか!?凄い時代になったもんだぁ!

 キャンプファイヤー的なものがおこなわれているかたわらで、男女の密会とかおこなわれているのでしょうね!!くぅ、なんて面白そうな場面なんだ!!!


 いよいよ、文化祭、かな!

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