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第二十二話 緑の長(おさ)の説教タイムに入るようです!

 最初に見たときから『なんで女子がそこまでするんだ?』と思ってしまった。やれやれ、無茶をしそうな子だとは思っていたが、まさかこんなことにまで一人で取り組んでいたなんてなぁ……。俺に連絡をしてくれたら朝からだって一緒に付き合っていたものの……もしかして佐久間は人を頼るのが下手なのか~?


 良い機会だし、ちょっと話してみるとしようかなぁ。これ以上、一人で無茶させないためにも、な?

 購買で買ってきたパンと飲み物で二人きりの昼休憩。

 もしかしたら弁当持参の生徒かもしれないし、購買で買ってきたものがいらないかもしれない。それでも俺は少しでも彼女の役に立つなら何でも用意しておきたかった。



柊雅人ひいらぎまさとの思い~


 珍しく三年生の教室に顔を出した美影みかげ先生から『ちょっと良いかぁ?』と個人的な呼び出しを受けた俺は佐久間裕理さくまゆうりがこの雨のなかずっと朝から一人で花壇の手入れをしていることを聞かされた。

 それを聞いて少なからずショックだった。


 俺は、そんなに頼りにならないだろうかーーー



 今の佐久間には何が必要だろうか……

 残念ながら俺はそんなに他人の変化に気が付くタイプでもないし、気遣う言葉や行動を起こすことが苦手な方だ。時間を確認すればあと一時限を終えれば昼休憩に入る頃。この時間帯ならば購買はもちろん開いているはず。

 佐久間の昼事情は分からないがとにかく次の授業はサボることになりそうだ。




「何が好きなんだろうなぁ……?」


 購買に足を運んだのは良かったが、佐久間の好みを知らん。

 そう好き嫌いが激しいタイプにはみえないがアレルギーでもあったりしたら大変だ。だから、さっと目についたサンドウィッチ数個とストローが付いていて飲みやすい紙パックのジュースを二つ購入して急ぎ花壇へと向かった。


 そこには、熱心に、そしてひたすら花壇のことしか考えていないであろう佐久間の姿が。


 力強さを感じさせながらも、どこか儚く消えてしまいそうな姿ーーー



 歴史か何かの授業の合間に本来の授業とはまったく関係の無い談笑をするのが好きという教師がたまにいる。その教師が日本や世界にはありとあらゆる神様が存在していてちょっとした古代話としても人気なのだとか。そこに出てきた一人の神の名をふと思い出したのだ。


 コノハナサクヤヒメ。


 確か桜とかに由来した神様の名前だった気がする。今は桜なんて季節はとうに過ぎていたが、佐久間の姿はその神様のように見えた。もちろん俺は神様の姿なんて実際に見たことは無いぞ~?




 植物を愛し、癒しをもたらし、周りを笑顔にさせてくれる。

 クラスメイトたちに話したらきっと馬鹿にされて笑われるかもしれないがこのとき目にした佐久間はそんな神様のような姿だった。



 相当な時間を一人で雨のなか過ごしていたんだろう。

 制服は傘の役割が役立たずに濡れ、足元は土や泥で汚れていた。それでも佐久間という人間そのものは綺麗なままで(見た目っていうか雰囲気のことだからな~?)思わず魅入ってしまった。

 と、危ない危ない。

 一瞬気が遠くなりかけた。

 ここに来た本来の役割を果たさないとなぁ!



 声を掛ければビックリした様子の彼女。

 俺なんかが来るとは思わなかったんだろうか?俺は不必要な存在だったろうか?

 滅多に怒りという感情を抱くことはないものの彼女の様子を目にし、今まで何もしてやれなかった自分に対してもイライラしてつい声を荒げてしまった。

 まずい……怯えさせてしまっただろうか。そんな心配は無用だったようで安心したが、周囲の花壇を見渡すと綺麗に整われている場所とまだまだ手をかけなければならない場所。半分も終わっていないのか、この広さを一人で取り組もうとしていたのか……。



 もう少し、いや、これぐらいしか俺は手伝うことができないだろうからもっと俺を頼って欲しいと思った。なにも知らない関係ってわけじゃない。



 俺も緑化委員長という席に着いているだけあって植物の手入れは慣れている。佐久間もその一人になってきていた。いつもなら土屋つちやの姿もあっておかしくはなさそうだったが今日は休みらしい。同級生にヘルプを出したりしなかったんだろうか?きっと彼女のことだから迷惑を掛けるわけにはいかない、とでも考えたのかもしれない。

 迷惑?

 迷惑は佐久間が考えることじゃないだろう。だから『迷惑だから』『申し訳ないから』って考える必要はないんだ。




 人間が倍になれば作業ペースも倍になるってわけではなかったようだ。なにせ俺は緑化委員長。

 どんどんペースは上がり、もうそろそろで花壇は全て修復を終えることになる。が、ここで休憩させることにした。

 雨のなかで朝からずっと作業をしていたのであれば、きっと休憩無しで働きっぱなしだったに違いない。下手にこのまま作業を続けて体調を崩し、ぶっ倒れでもされたら大事だ。



「なぁ、佐久間はなんでそんなに一人で頑張るんだ~?」

「頑張るっていうのとは少し違うのかもしれませんけど……だって可哀想じゃないですか、このままにしておくなんて」

「誰かと一緒にやろうとは考えなかったのか?」

「うっ……それはー……」

「俺は、そんなに頼りないか?」

「いえいえ!柊センパイはとても頼りになりますって!」

「だったら、なんですぐに連絡をくれなかったんだ?俺はたまたま美影先生から聞いたから来られたんだが……知らなかったら今も一人だったんだぞ?」


 昼休憩をしながらここぞとばかりに佐久間の考えを聞いてみることにした。

 他人を頼るってことは別に恥ずかしいことでもなんでもないはず。それに作業効率のことも考えれば一人より二人、さらに人数があればあるほど良いはずだ。


「……い、今まで……他人を頼ったことがあまり無くて……」

「は?」


 まさかずっと一人で生きてきたわけ……ではないだろう、さすがに。

 だが……


「何かあったら巻き込むわけにはいかないでしょ?だったら巻き込まれるのは自分一人で良いんです。……センパイは私が転校してきた理由って知ってたりしますか?」

「あ、あぁ。少しは世月よづきから聞いているが……」

「喧嘩で勝つのは当たり前。そこに誰かいたら守りながら戦わないといけないでしょ?それに、喧嘩で助けたからって必ずしも感謝されることばかりじゃないんですよ」


 喧嘩などのトラブルで退学処分になったっていうのは聞いたことがあった。だが今までこの学校にやってきてからトラブルを起こしたことがあるだろうか?むしろ良い意味で人を巻き込んでいることはあっても、大きなトラブルを引き起こしたことは無いはずだ。

 一人で、喧嘩をし続けてきたのか。

 それに感謝一つされることのない喧嘩を自分一人だけで。


「なぁ、佐久間。今やっていることは喧嘩じゃないんだぞ?」

「うっ、それは、もちろん分かってますけれど……」


 いいや、この感じは……


「分かってないなぁ、佐久間は。何かあったら……いや、これからは何も無くても頼ってくれ。もちろん同級生に頼ったって良いからな?佐久間は……怖いのか?人との付き合い方が」


 意地になって一人で取り組もうってのと少し違う気がする。

 これは人との付き合い方を知らないって感じだ。



「俺は佐久間の力になりたい。いや、ならせてくれ。佐久間が一人でいるとき、近くにいてやりたいんだ。三年だから遠慮する気持ちも分かる。けれど、今は学年とか気にしないで考えてほしい。『俺が』佐久間の近くにいたいんだ。だから『申し訳ない』とか『迷惑になりそう』とかって考えることはないからな?」


「あ、ありがとう……ございます……」


 ホントに分かったんだろうか?

 まだまだ不安だなぁ。


 少しでも目を離したらまた無茶をしそうなこの下級生にはまだまだ言い聞かせる必要があるかもしれない。それが明日になるか明後日になるかは分からないけれど。それでも今言える言葉は向けたつもりだ。



 さて、休憩はそろそろ良いだろうか。

 残りも終わらせてしまおう。

 そして……さすがに彼女をそのまま帰宅させるわけにはいかないよなぁ……さて、どうするべきか。こればかりは俺以外の人物にヘルプを出す必要があるかもしれない。


 人付き合いが苦手らしい佐久間。

 一人で無茶をする性格、素直に他人を頼ることができないところ……少しずつでも良い方向に向けてあげる必要がありそうだ……

 どちら視点で書くかちょい迷ったのですが柊パイセン視点でお送りさせていただきました!!!


 ゆるふわ~なパイセンも少しは良いところをみせるところができたでしょうか!?ちょっと告白じみたセリフがあったようななかったような気がしますが今はそんな気は無い感じで捉えていただけると……(ほんとか?)


 物語やキャラクターに共感していただけましたら↓の『☆マーク』ちゃんを押していただけると幸いです。もちろん『JKハーレム勘弁!』という作品に興味がわいてきた!と感じていただけたら『ブックマーク』『評価』もお待ちしています!

 これからも少しでも良い物語、良いキャラクターたち作りの励みにさせていただきます!

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