第十九話 ドキドキお家デート。招待された部屋に来た途端、服を脱ぐように言われてしまったのですが!!!
ついに、今日という日がやってきてしまった!
『お家デート!』に招かれてしまった私!!
麗華センパイの家も気になるところだけれど、それよりなにより『お家デート』って何するの!?
ま、まさか……
『デートは十三時からにいたしましょう!時が近くなれば私が裕理さんをご自宅までお迎えにあがります。なので、裕理さんはくつろいでお待ちくださいまし!』
って連絡が入った。
数日前に響麗華センパイから唐突に「デートしましょう!」という言葉に目を丸くするばかりの私。そんな私とは反対に何かに燃えるような様子の麗華センパイは『当日が楽しみですわ!』とルンルン気分だったようだ。
とてもじゃないが、『冷たい副会長』なんてイメージは払拭されたと思うのだけれど……
デートっていってもお家デートだし……そもそも、これって世間でいうところのデートに当てはまるのかが分からない。
休日、いつも過ごしているようにショートパンツと今日はパーカーを着てリビングでくつろいでいた。
「あら、裕理ちゃん。お出掛けでもするのかしら~?」
女の勘、いや母親の勘が鋭かった!!!
「え、な、なんで?いつもと同じだけれど……」
「そ~ぉ?だってなんだかソワソワしているみたいよ~?」
え。
そ、そうだったかな。
外に出掛けると喧嘩沙汰だった私は友達らしい友達と外出したことがほぼ無い。だから少なからず麗華センパイと過ごす今日という日を心待ちにしていたのか!?
で、でも『お家デート』って言われてるんだけれど……
ピンポーン!
「あら、宅配便かしら~?」
「わ、私が出る!!」
時計を見れば十三時ぴったり。
まさかの時間厳守の人なのだろうか、一分とか五分ぐらいは遅くなるかと思っていたのに!!!
「こんにちは、裕理さ……っ、ぐ……か、可愛らしい……っ!!」
「こ、こんにちは、麗華センパ……可愛い?」
玄関を開ければ挨拶もそこそこに両手を顔に当ててそっぽを向いてしまった麗華センパイ。
いや、『可愛い』って何がですか。
初めて会った日とそう変わらない私服をしているはずなのですけれど……?
と言いながら麗華センパイの恰好をみてみると普段から掛けている眼鏡にシックなお嬢様といった風に落ち着いた色合いとデザインのワンピースを着用していた。……なんだ、てっきりゴスロリ姿かと思っていたのに、残念……。
「……こほん。では、ご用意はよろしいでしょうか?このまま私の家に向かうことになりますが忘れ物などは?」
おー!
なんか優等生みたいな発言!!というか、もともとがしっかり者なんだろうな。きっと忘れ物とか絶対しないタイプなんだよ。
「あ、だ、大丈夫です!では、行きま……
「あら~、裕理ちゃん。お友達かしら~?」
私が出るって言ったじゃないの!!
なんで出てくるのよ、ママ!!
「!!まぁ!裕理さんのお母様?裕理さんには学校でとてもお世話になっております。響麗華、と申します」
「あら~、ご丁寧にありがとう~。裕理ちゃんと楽しんできてね~?」
……しっかりはきはきタイプの麗華センパイとゆるふわ~なママの態度に挟まれていると自分が何者なのかが分からなくなりそうになるが……ここは一刻も早く麗華センパイと家を出ることにした。
「さすが裕理さんのお母様ですわね。素敵な女性でしたわ!」
「え?あ、ありがとう……ございます?」
一応、褒められている……で良いのかな。
ゆるふわ~なママは人によっては勘違いや誤解を生ませてしまうこともある(だらしない親ね、それでも母親なのかしら、と罵倒された過去も有り)が、麗華センパイからは好印象だったようだ。良かった良かった。
「私の家は、ここから徒歩でもそう時間はかかりません。が、疲れたと思ったらすぐに仰るのですよ?」
「えーっと……体力は結構、自慢なので……」
初対面時に私がセンパイの目の前で何をしていたか忘れてしまったのだろうか?
「それは良いことです。しかし人間ですもの、もしかしたら今日という日に緊張して寝不足、又は体調不良になって具合が悪かったりしたら体は重く感じるものなのですよ。いつも軽快に動けるとは限らないのですから不調があれば無理はダメですからね」
おお!しっかりいろいろ考えてくれている。
しかも初対面時の騒動はどうやら忘れていないっぽいようだ。アレは、できれば忘れてほしいものの一つとも考えているが、どうやら麗華センパイの記憶にバッチリ残っているらしい。
今日は暑すぎることもなく、時折吹いてくる風が心地良い。
絶好の『デート』日和であるかもしれない。そんななかで、お家デートを提案してきた麗華センパイを不思議に思った。
「外に出掛けたりしなくても良かったんですか?」
「あら、裕理さんは外出希望でしたか?でしたら次回のデートは外を出歩いてみることにいたしましょうか!」
いやいや、デートは……その……今回で終わりではないんですね。
「今日は私の家に是非来ていただきたいのですよ」
気のせいだろうか、センパイの背後から『うふふ』とか『おほほ』といった笑い声が聞こえてくるような気が……いや、気のせいだろう、うん。
話題をあれこれ私の方から振ることもなく、多種多様な話題を持ち合わせている麗華センパイのおかげで会話に退屈することはなかった。会話の引き出しがたくさんある人ってすごいな!!
そして、本当に体感的には数分ぐらいの気持ちで(実際に歩いたのは約二十分ぐらい)響宅へと到着したのだ!
でっっっか!!!
というか、日本家屋?風の造りに『おお!』と感激の声をあげてしまった。
我が家は典型的(と言っていいのか分からないが)な二階建ての建造物。しかし、響宅は二階らしき空間が無くて広い敷地内が広がっているといった印象を受けた。ここの敷地のどこかに麗華センパイの部屋があるのだろう。
「最初は見た目にビックリされるかもしれませんが、慣れるとなにもなにも……つまらない家ですのよ?さ、お上がりくださいませ」
「!お邪魔します……」
他人の家。
友人の家。
ちょっとドキドキしながら広い玄関の隅に靴を脱ぐと差し出されたスリッパに足を通し(スリッパまで用意してくれるんだ!凄い!!!)案内されるがままに麗華センパイの部屋に向かった。
が、部屋のなかに案内されたとき、麗華センパイから驚きの言葉を耳にすることになる。
「改めて、ようこそ裕理さん。では、さっそく……服を脱いでくださいまし!」
はい?
幻聴だろうか、少し緊張していたから何か聞き間違いでもしてしまっただろうか……今、脱げって言われた?
「あら、聞こえませんでしたか?服を脱いでくださいな」
二度も言われた。
そんなこと今まで誰にも言われたことなんて無かったのに!!!
絶句している私の向かいでにこにことした満面の笑みを浮かべている麗華センパイ。
服?
え、なんで???
ちょ、ま……え、そんな……っ……私に、そういう気持ちは……っ!!!
って、私も何を考えているんだ!?
ち、違う!
もしかしたら私の着ているパーカーが気になったとかそういうことなんだよ、きっと!!
「さ、早くしてくださいな。……私が脱がしても良いのですよ?」
ひぇっ……!
な、なんか、これ……やばいんじゃ……『お家デート』って提案したのも、まさかまさか……そ、そういうことだったりするのーーー!?
ふ、ふふ……早くもそういう展開になってしまうのか、ならないのか!?
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