⭕ 隷属になった公爵様 1
──*──*──*── リィグレーシェドの自室
サブリエルとニテンスが退室したのを見送ったリィグレーシェドは、髪紐をほどく。
長い髪が大きく揺れながら垂れる。
先程まで巨漢デブタだったリィグレーシェドの体型が元の引き締まっている体型へ戻った。
リィグレーシェドは普段着を脱ぐと寝間着に使っているローブの袖に腕を通し、ローブを羽織る。
先程まで愛しいサブリエルに座らしていたソファーの上に腰を下ろした。
リィグレーシェドは両手で顔を覆うと「 はぁ~~~~ 」と深い溜め息を吐く。
?
「 呪いで肥えている訳ではなさそうだの 」
突然の自分以外の声を聞き、リィグレーシェドはバッと顔を上げると声のした方へ目を向けた。
自室には自分しか居ない筈なのに、何故だかニテンスが立っていた。
サブリエルと共に部屋を退室した筈のニテンスが何故、室内に居るのかリィグレーシェドには分からない。
リィグレーシェド
「 ──何時から…… 」
創生王:ニテンス
「 そう、険しい顔をするでない。
兄弟ではないか、兄上よ。
ボクは創生王、自在に実体化を解けるのだ。
鍵を掛けて閉め切っても無駄だぞ。
実体化を解いているボクは壁抜けが出来るからの。
完全犯罪も余裕だぞ 」
リィグレーシェド
「 ………………何か用があるのですか? 」
創生王:ニテンス
「 用が無ければ兄上の部屋を訪ねてはならんのかの?
──ほぅ、変わった魔法だな。
ふぅん…………髪紐を使っている間、体型を変えられる魔法か。
面白い魔法を使っておるのだな 」
ニテンスはリィグレーシェドが先程まで使っていた髪紐を持って眺めている。
どんな魔法なのかを瞬時に理解したのか可笑しそうに笑っている。
創生王:ニテンス
「 どうやら屋敷の使用人達もサリーも兄上が、“ 呪術師の呪いを受けた所為で肥えている ” と思っておるようだ。
上手く騙せておるようだの兄上よ 」
リィグレーシェド
「 何が言いたいのですか?
皆を騙している私の嘘をバラす気ですか? 」
創生王:ニテンス
「 そんな野暮はせんよ。
兄上には兄上なりの考えや事情があるのであろう?
──兄上に呪いを掛けたのは呪術師ではなく、未熟な〈 エナ 〉のようだの。
その者は既に現世には居らんか。
本来ならば、呪術の類いは術者が死ねば自然と解けるものだが、何故か兄上が受けた呪いは解けておらぬ。
呪術の知識も持たない素人同然の未熟な術者の放った呪術ほど厄介な呪いはないの。
兄上よ、下半身に蛇のような痣が浮き出ておろう。
腰まで伸びておったな。
痣が胸に到達すれば、兄上は死ぬぞ。
それが兄上に掛けられた呪いの正体だの 」
リィグレーシェド
「 ………………それは何年後ですか… 」
創生王:ニテンス
「 安心せよ、兄上よ。
兄上は、幸運であったな。
サリーの隷属となった故、呪いの効果は無効化された。
痣が完全に消える迄には時間が掛かるが、死ぬ事はない。
折角、サリーの隷属にしたのに死なれては困るからの。
今後は呪いの心配をする事はないぞ。
心配事が1つ消えて良かったの 」
リィグレーシェド
「 …………そんなに簡単に……短時間で兄上に掛けられた呪いを解けるとは…… 」
創生王:ニテンス
「 兄上ぇ?
兄上には兄上が居ったのか?
実兄から呪いを掛けられるとは不運だったの 」
リィグレーシェド
「 …………………… 」
創生王:ニテンス
「 それにしても兄上の身体には随分と多くの傷が付いておるの。
騎士隊の訓練で出来た傷ではないであろう。
痛ましい限りだの。
まぁ、“ 傷は男の勲章だ ” と言われる程であるし、サリーを誤魔化す事は出来るであろう。
態々真実を話す必要もなかろうて。
呉々もサリーには打ち明けるでないぞ。
呪いの事も今まで通り勘違いさせとけば良い 」
リィグレーシェド
「 …………有り難う御座います… 」
創生王:ニテンス
「 フォンオスコ公爵家で世話になるのだから、これぐらいはせんとの。
──明日から始めてもらうサリーの護衛だがの、その姿でサリーを護衛するのだぞ 」
リィグレーシェド
「 ──この姿でですか?
然し、それでは──偽っている意味が… 」
創生王:ニテンス
「 問題ない。
“ 妖精の悪戯 ” を利用し、“ 一時的に体型を変えている ” という事にすれば良かろう。
──妖精は3度の飯より悪戯が大好物だからな。
ボクが頼めば、妖精は喜んで悪戯をしてくれる。
便利であろう 」
リィグレーシェド
「 ………………この姿でエルに会える……(////)」
創生王:ニテンス
「 今から言っておくがの、サリーには性的スキンシップはするでないぞ!
サリーはボクの眷属になったのだから、サリーから処女を奪い、散らす事は許さんからの!! 」
リィグレーシェド
「 夫婦なのですが?
夫婦のスキンシップに関してとやかく言われる筋合いは── 」
創生王:ニテンス
「 フフン!
兄上は未だ知らぬのだったな!
サリーは兄上と性的スキンシップをする事を望んではおらぬ。
望んでおらぬサリーに無理矢理スキンシップをすれば、拒絶されて避けられるのがオチだの。
まぁ、呪いの痣が消えぬ内は、理性をフル回転させ誠実な聖人君子の皮を被り大人しくしておくと良かろうて 」
リィグレーシェド
「 ………………エルが私とのスキンシップを嫌がっている…… 」
創生王:ニテンス
「 そんな世界が終わるような顔せんでも良かろう。
普通のスキンシップは嫌がっとらんわ。
ボクはな “ 節操無しの狼にはなるな ” と言っておるのだ。
夫婦だからと言って何をしても良い訳ではなかろう?
性欲のままに性的スキンシップを強要する前に互いに信頼関係を築くのが先ではないかの?
一回りも歳の離れた可憐な少女へ無慈悲に襲い掛かる程、兄上も馬鹿ではなかろう? 」
リィグレーシェド
「 ………………それは……そうですが… 」
創生王:ニテンス
「 サリーの事は妹だと思って接するが良かろうて。
貴族では歳の離れた兄妹は珍しくないのであろう?
妹に過保護な兄も珍しくないのではないかの? 」
リィグレーシェド
「 妹……エルが…私の妹…………はぁ~~~~ 」
創生王:ニテンス
「 兄上は溜め息の回数が無駄に多いのう。
自分でジジ臭いと思わんのか?
幸せも逃げてしまうぞ 」
リィグレーシェド
「 私の幸せはエルと過ごす事です。
エルが私から逃げたいと言っても、私はエルを手離す気はありません 」
創生王:ニテンス
「 一回りも歳の離れた小娘に欲情とは、とんだケダモノだの 」
リィグレーシェド
「 誰がケダモノか!
私は未だ、エルに何もしていない! 」
創生王:ニテンス
「 それで良いのだ。
これからも誠実にの。
過保護な馬鹿兄としてサリーに接すれば何の問題もなかろう。
サリーには兄が居らん故、接し方を変えた事に新鮮さを感じるかも知れんの 」
リィグレーシェド
「 私は妹への接し方を知らないのだが? 」
創生王:ニテンス
「 ボクが知る訳なかろう。
兄上には騎士隊の同僚,後輩が居るであろう?
妹に対する接し方を尋ねてみてはどうかの。
兄上は副隊長なのであろう。
今こそ職権濫用する時であろう?
文を出してはどうかの? 」
リィグレーシェド
「 ………… “ 鬼隊長” と呼ばれて恐れられているのに出来る訳ないだろう… 」
創生王:ニテンス
「 気が進まぬなら、ボクが代わりに兄上の名で文を出しても良いぞ 」
リィグレーシェド
「 止めろ!
絶対にするな… 」
リィグレーシェドは愉快そうに話し掛けて来るニテンスに対して、深い溜め息を吐くのだった。
◎ そう言えば「 十二国記 」の景麒( 漢字、忘れました )が、良く溜め息を吐いていましたね。
懐かしいな。
ゲーム、買えば良かったな~~~。
実況動画で見れないかな?
◎ 訂正しました。
打ち明ける出ないぞ。─→ 打ち明けるでないぞ。




