✒ 公爵夫人の異変 7 / 不思議な力
サブリエル
「 ニティ……私…フォンオスコ公爵家に嫁いでから、色々とやらかして来てるんです……。
誰にも何も言われてませんけど、私……前世の記憶持ちだと思われていたりしないのでしょうか? 」
創生王:ニテンス
「 サリーよ、今まで何をして来たのか話してみよ 」
サブリエル
「 は、はい……実は── 」
今迄の行いの数々を思い出して不安になった私は、思い切ってニテンス様に全てを打ち明けました。
セーフだと良いのですけど……。
創生王:ニテンス
「 ………………完全なるアウト、真っ黒だ。
2年間もそれだけの事をして来て良くも今まで無事に公爵夫人で居られたものだな。
リィグレーシェドは何を考えておるのやら… 」
サブリエル
「 やっぱり…アウトですよね~~。
前世の記憶持ちだと気付かれていたりとかは…… 」
創生王:ニテンス
「 “ ない ” とは断言する事は出来んよ。
然し、“ ある ” とも言えんな。
仮に感ずいておったとしてもだ、サリーに問い質さずに敢えて伏せておるなら、それなりの理由がある筈だ。
どんな理由があるのかボクにも分からぬが、有無を言わさ力ずくでずリィグレーシェドを隷属する必要が出来たな。
サリーを “ 異端者 ” だと告発しする権限はリィグレーシェドが持っているのだから当然だ。
リィグレーシェドを隷属させれば、サリーが “ 異端者 ” として告発される事もなければ、異端者収容所へ連行される事もなくなる。
口止めも出来る故、安心して公爵夫人を続ける事が出来る 」
サブリエル
「 …………相談しようと思ってましたのに… 」
創生王:ニテンス
「 状況が変わったのだ。
仕方あるまいよ。
何はともあれリィグレーシェドには、どんな事が起きても決してサリーを裏切れなくさせる必要が出ただけだ。
サリーを衛る剣と盾になってもらわねばならん。
良いな、サリーよ 」
サブリエル
「 は、はい。
分かりました。
烙印とか押されるのも嫌ですし、収容所へ送られて囚人みたいな暮らしを送るなんて絶対に嫌です!!
このまま公爵夫人として自由気儘に生きていきたいです!! 」
創生王:ニテンス
「 う、うむ。
自分の心に正直なのは良い事だぞ?
( あんなに悩んでおったと言うに、自分の一大事となると決心が早いの…。
サリーは意外と現金なおなごだな…。
我には好都合ではあるが )」
創生王:ニテンス
「 サリーよ、御宝殿まで作って〈 大陸神シピアンドダレ 〉へ祈りを捧げるのだから、灯明は必要だぞ。
蝋燭も作らせておるのだろう 」
サブリエル
「 は、はい。
作ってはもらっていますけど、未だ試作途中なんです。
取り敢えず出来た蝋燭は使用人達に使ってもらっていて、改良する箇所がないか調査している段階で…… 」
創生王:ニテンス
「 ふむ……。
何やかんかやで試作品が多いみたいだの 」
サブリエル
「 私自身が詳しく知っている訳ではないので……、使用人達には試行錯誤してもらっています。
正確な知識があれば実用化も早いと思うんですけど…。
使用人達には苦労ばかりさせてますけど、魔法が活用出来るのは本当に有り難いです。
コントロールするのに大変みたいですけど、魔法のお蔭で開発も滞りなく順調ですし 」
創生王:ニテンス
「 ふむ……。
小人に手伝わせてやろう。
小人は自然の一部を擬人化させたものだ。
小人が居れば魔法の微妙なコントロールも楽になる。
自然の力を取り入れて開発を続けると良いぞ 」
サブリエル
「 良いんですか?
有り難う御座います、ニティ! 」
創生王:ニテンス
「 フフン!
ボクが近くに居るから、小人も早々に機嫌を悪くせんし、必要ならば精霊や妖精にも手を貸させるぞ 」
サブリエル
「 至れり尽くせりで助かります、ニティ! 」
創生王:ニテンス
「 ボクへ支払う対価はサリーの手作りスイーツや料理にするぞ。
先ずはボクに食べさせよ!
味見してやる 」
サブリエル
「 は~~~い♪
でも、対価が私の手料理で本当に良いんですか? 」
創生王:ニテンス
「 眷属が真心を込めて作った料理以外は味がせんのだ。
実体化はしていても飲食,排泄,睡眠の必要は無いからな。
飲食をしても味がせんようになっておるのだ 」
サブリエル
「 そうなんですね。
分かりました。
私が作れる限りの日本食もニティに作ります。
料理人みたいに上手には作れないですけど…… 」
創生王:ニテンス
「 構わん。
気にするでない。
──サリーよ、位牌の数が多いようだな。
2段目に置けぬなら、1段目に置いても良いからな 」
サブリエル
「 そうなんですか?
教えてくださって有り難う御座います 」
創生王:ニテンス
「 使用人が増えれば位牌も増える。
折角サリーが作った位牌ではあるが、小人に作り直させるぞ。
本来、位牌とは神聖なものだ。
資格のない素人が見よう見真似で作った位牌を祭るのは良くない 」
サブリエル
「 そうなんですか?
私……間違った事をしていたんですね…… 」
創生王:ニテンス
「 落ち込むでない。
“ 亡くなった先祖を大事にしたい ” というサリーの想いは尊いのだぞ。
使用人達の先祖の位牌を作る行いも、“ 共に先祖の冥福を祈り〈 大陸神シピアンドダレ 〉に守護ってもらおう ” という想いを形にした行動は、菩薩行に通ずる。
悲観するでない。
これからは位牌作りは小人にさせよ。
〈 大陸神シピアンドダレ 〉と通ずる小人が作った位牌ならば、先祖を想う子孫の真心が既に生まれ変わった先祖へも回向する 」
サブリエル
「 そうなんですか?
生まれ変わった先祖にも回向するなんて初耳ですけど、そんな事ってあるんですか? 」
創生王:ニテンス
「 生きとし生ける全ての生物は皆転生者だと言ったであろう。
肉体から離れた魂は輪廻の流れへ還るのだ。
日本人であったサリーならば、輪廻流転,輪廻転生は知っておるだろう? 」
サブリエル
「 聞いた事あります。
ゲーム,小説,漫画,アニメでも良く物語の設定にも使われてましたし。
本当なのか半信半疑ではありますけど、大して違和感はないです。
輪廻流転も輪廻転生もファンタジー感半端ないですし 」
創生王:ニテンス
「 昆虫も魚も動物も植物も誰かの生まれ変わりである事を忘れてはならん。
自分の都合で悪戯に命を奪うものではないぞ。
直ぐ人間へ転生する魂もあれば、人間以外の動植物に何度も転生する魂もある。
人間に転生したとて必ずしも恵まれるとは限らん。
五体満足な身体で産まれない子,先天性の障碍持ちとして産まれる子,後天性の障碍で苦しむ子,難病を持ち産まれる子,環境や両親に恵まれぬ子,産まれても間もなく母親に捨てられる子,母親の手で幼くして命を奪われる子も居る。
母親の胎内に宿っても望まれぬ存在として中絶され、産まれて来れぬ子も居る。
奴隷の子,罪人の子,戦争真っ只中の国に産まれる子,食糧難で生きずらい国に産まれる子──、環境,状況,状態は実に様々で区々だ。
亡くなった先祖が早く人間に生まれ変われるように──、恵まれた善い環境,状況,状態、良い両親の元へ転生し、世の為,人の為,国の為に尽くせる良き人間として教育してもらえるように──、亡くなった先祖へ想いを馳せ、願いながら冥福を祈る真心が先祖の転生先に影響するのだ。
先祖供養は子孫が亡き先人,亡き先祖へ対する “ 恩返し ” だと考えれば良い。
善を積めぬ先祖の代わりに生きている子孫が、先祖が残した財産,恩に報いる行動の1つとして──、世の為,人の為,国の為に貢献し、より良い社会を作る手伝いをして行くのだ。
次の子孫へ、より良い社会,優れた資源,豊かな国を残す為に叡智を出し合い尽力すれば、〈 大陸神シピアンドダレ 〉を介して先祖へ回向する。
先祖へ回向した事は〈 大陸神シピアンドダレ 〉を介して自分にも回向する。
先祖供養は決して無駄な行いではない。
形を変えて自分へ返って来るのだ。
先祖の1人でも欠けていれば、サリーは此処には存在して居らぬ。
誰1人として欠けて良い先祖は居らん。
“ 先祖が居てこその自分なのだ ” という事を忘れてはならんぞ。
先祖供養の大切さを教える事は悪い事ではない。
強要し強制的に供養をさせるのは良くないが、大切さを伝えて供養に対する見方,考え方,捉え方,意識を良き方向へ変える切っ掛けを与えるのは良い事だ。
それも先祖供養となる 」
サブリエル
「 ニティの言う事は佛教の教えと通じる所があるのですね。
私も似たような事を祖父母から聞かされた事があります。
両親は佛教に関わりたくないのか知らん顔してましたけど……。
祖父母に連れられてお墓参りへ行った記憶はありましたけど、両親は仕事人間でしたから、お盆も仕事を優先していて……先祖のお墓参りにも行ってなかったと思います。
一緒にお墓参りへ行った記憶もないですし、御宝殿に手を合わせて参る姿を見た事も無かったです。
私が祖父母と一緒に御宝殿に手を合わせて参ると嫌そうな顔で嫌味を言われたぐらいです。
『 祖父母が亡くなったら御宝殿を処分して、墓仕舞いをして、納骨した遺骨も処分して、付き合いが面倒だから菩提寺とも縁を切る 』って両親は言っていました 」
創生王:ニテンス
「 ほぅ?
サリーの前世の両親は信仰心を否定しておったのか? 」
サブリエル
「 理由は分かりませんけど、佛教を毛嫌いしていたのは確かです。
日本にも色んな宗教団体がありましたし、宗教を悪用して詐欺紛いの悪事を働いたり、お金儲けをする為に勧誘して信者を増やしていた宗教団体も結構ありましたから、宗教自体を嫌っていたのかも知れません。
宗教や信仰が悪いんじゃなくて、私利私欲の為に宗教や信仰心を悪用する人間が悪いんですけどね 」
創生王:ニテンス
「 サリーは分かっておるのだな 」
サブリエル
「 祖父母の受け売りです。
『 世の中には宗教や信仰心を食い物にして私腹を肥やす汚ない人間が多いから騙されるんじゃないよ 』って耳にタコが出来るぐらい聞かされていました。
『 菩提寺を大切にしなさい 』とも言われてましたから、他宗教からの勧誘は断っていました。
ターゲットにされて、骨の髄までカモられるのも嫌でしたし…。
祖父母が御世話になっていた菩提寺も私が入院している間に放火されて全焼しちゃいましたけど… 」
創生王:ニテンス
「 入院とな?
サリーは前世で入院しておったのか? 」
サブリエル
「 そうですね。
緊急手術後だったので、ベッドから動けなくて…。
押し寄せて来た津波がガラスを破って──そのまま。
ついてないですよね。
成功率の低い難しい手術だったんですよ。
その手術が成功して、リハビリが終わって退院したら婚約者と結婚する事になっていたんです。
それなのに津波に呑まれて…… 」
創生王:ニテンス
「 こ……婚約者だと!?
サリーには婚約者がおったのかぁ!! 」
サブリエル
「 前世ですよ、前世!
それに御互い、清く正しく誠実な交際してましたぁ!! 」
創生王:ニテンス
「 ………………そ、そうか…。
前世でも処女だったのだな? 」
サブリエル
「 そうですね~~。
夫婦でもない相手と●●●●なんて出来ませんよ。
婚前に性病を移されても困りますし、泣き寝入りするのは嫌でしたから。
婚前に●●●●を要求して来るような不誠実な相手なら私の方から別れてました。
婚前に●●●●したければ、私と別れて●●●● OKな女性と結婚すれば良いですし 」
創生王:ニテンス
「 そ、そうか…… 」




