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【番外編】伯父さんは知っている

 俺の姪、満野千幸子(みつのちゆこ)の事を一言で言うなら、『丙午(ひのえうま)の女』の一言に尽きる。


 丙午年は火事が多発する年と言う俗信がある。そして丙午の年に生まれた女は『気性が荒く、夫を早死にさせる』と言われている。

 勿論迷信なのだが、浄瑠璃や歌舞伎で有名な『八百屋のお七』が産まれた年だから、それに影響された数々の江戸時代の文学者達が数々の関連した作品を生み出したお陰でその様な迷信が産まれたと言われている。

 社会への影響が深く、1966年の時出生率が前年と比べて25%低かったそうだ。

 因みに次の丙午は2026年。何処までこの事が影響されるのか密かに気になっている。


 話は逸れたが勿論千幸子は丙午の年に生まれた訳ではない。しかし本当に小さい頃から丙午の女の逸話の通りに気性が荒い子供だった。


 だけど、千幸子はむやみやたらと人に暴力を振るったり暴言を吐く様な子ではなかった。

 ただ、悪い事をしている人間に対して問答無用に物を投げつける様な女の子ではあっった。


 千幸子が保育園と小学一年の時に集団で弱い物虐めを受けている子供がいた。千幸子は偶々その現場を発見した千幸子は泥団子を虐めっ子達に投げつけて追い払った。

 一年生まで千幸子は泥団子作りに熱中していた為大量の泥団子を作り、奇麗に作れたから友達に自慢する為に偶々持っていたらしい。

 まぁ虐めをしていた子達が悪いからそこはしっかりと学校も家庭も叱り付けたが、泥団子を投げるのは流石にいけないとと千幸子の両親と教師陣含めた大人達は叱った。


 叱られてからは泥団子ブームが収まり、大人達も大分安心しきった時に露出魔の露出していた大事な所を道端に落ちていた石で投げつける事件を起こした。


 当時千幸子と他校の男の子が同じ道を下校していた時に、サングラスと帽子、コートを着た如何にも不審者の男がコートを広げて裸の身体を惜しげもなく晒しだした。

 男の子は驚いて固まってしまったが、千幸子の方はと言うと瞬時に近くにあった石(千幸子の拳位の大きさ)を拾い上げ、男の大事部分に向かって投げつけた。

 不審者の情けない声がご近所中に響き渡り『一体なんだ!?』と人々が声の元へ行くと、大事な所を抑えて泣きながら蹲る不審者と、泣いている蹲る男の子を後ろに隠し、両手を広げて男を睨み付けている千幸子がいた。

 正当防衛なのだが、大の大人相手に石を投げるとは危なすぎるから止めなさいと家族だけではなく警察にも怒られた千幸子だったが、千幸子曰く『気が付いたら石を投げていた』らしい。

 知らない男の裸を見て驚いてパニックになったのだろう。パニックなるのは仕方がないがそう言う時は助けを呼ぶか逃げなさいと俺も千幸子に諭した。千幸子も納得していたので誰もが安心した。……のだが。



 千幸子が小学三年の時、()()()()()()()()()()()()と聞いた時は思わず目をひん剥いてしまった。



 話によるとお使いを頼まれた千幸子は買う物全て買って家に帰っている時だった。近所で有名な名家のお坊ちゃんが一人でいる所を身代金目当ての女に誘拐されそうになった。ついでにその女はショタコンでお坊ちゃんが当時可愛らしい容姿の男の子だった為、お金だけではなく……胸糞悪い事にエグイ凌辱エロ同人誌のショタバージョンをやろうと計画していたらしい。

 千幸子は車の中にお坊ちゃんを無理やり入れようとしていた所に出くわしたのだ。しかも泣いているお坊ちゃんを大人しくさせる為に平手で頬を殴る姿を。


 正義感の強い千幸子はそれを見て怒りを爆発。

 お使いで頼まれていた大人の拳位の大きさの岩塩を誘拐犯の顔目掛けて投げつけた。見事誘拐犯の鼻にヒットし、誘拐犯はそのまま倒れ込んだ。

 そのままお坊ちゃんを連れて逃げたのは良いが、怒り狂った誘拐犯が二人を追いかけて来て、その間も千幸子が岩塩で応戦した。

 最後、岩塩(武器)が無くなると千幸子は誘拐犯の腹にタックルして押し倒した。暴れる誘拐犯にしっかりとしがみ付き絶対に離れようとはしなかった。

 お坊ちゃんが使用人を連れて来なかったらどうなっていたのやら。誘拐犯のポケットにナイフがあったと警察から知らされた時、弟夫婦はあまりのショックで気絶してしまった。


 千幸子の無鉄砲を何とかしないと本当に命の保証がないと警察に忠告された時、弟夫婦は俺に泣き付いてきた。

 恥ずかしい話坊さんになる前の俺は地元ではかなり有名な不良だった。

 あまりにも目に余るので高校卒業を待たずに僧侶にさせられた。今それをやったら批判があるだろうが、当時はそこら辺は緩かったし、卒業を待ってたら多分少年院に行ってたかもしれない。


 今となってはそう思えるが、あの時の俺は親父に反感抱いてたし、そもそもダッセー頭になる堅苦しい事をする僧侶になって寺を継ぐつもりはなかった。

 ただ、俺が行った行院(ぎょういん)……簡単に言えば僧侶になる為に修行する場所……が俺の人生を色々変えた。

 特に行院のトップである院長先生には今でも頭が上がらない。……うん。生意気ばかリ言ってた当時の出来事は思い出したくない。本当に。


 俺は直ぐに千幸子を院長先生に紹介した。夏休みの間だけではあるが院長先生の所に預かって貰った。俺ですら改心したし、矯正できる年頃である千幸子も今の凶暴性を治める事が出来る筈。

 俺の予想が当たり夏休みを終えて帰ってくる頃には、周りにいる普通の女の子と同じ様になった。しかも僧侶の修行を大分気に入ったようで、暇さえあれば座禅や般若心経を読む様になったと、弟から聞かされた。千幸子が男だったら寺の跡取りとして迎えられたのに惜しい事だ。







 何でダラダラとそんな話をするのかって?

 寺に預けられる前に色んな悪人に物を投げつけていた。その悪人達から千幸子によって救われた被害者達の数は四人。そして今日寺に来たイケメンの男達の数も四人。


 ……察しの良い人なら分かるだろう。その四人こそが()()()()()()()()()()()()()だ。


 他の三人達は弟夫婦からある程度の情報を知っていたが、あと一人。彼の顔は俺もしっかりと見た事がある。彼こそが千幸子が寺に預けられる原因となったお坊ちゃんだ。

 彼はあの事件後、セキュリティが厳しい所に引っ越してそのまま会っていない。相手の親からお礼の品を貰った時に聞かされたそうだ。(高価な物は断ったそうだ)

 それに他の三人もあれ以降特に接点がなかったから助けた本人も覚えていないだろう。俺も彼の事はついさっきまで忘れていた。


 だから千幸子が四人の顔を忘れても仕方がない。しかも千幸子は唯我独尊な所があり、周りの噂なんて気にはしない所がある。


 だからあの子には分からないだろう。

 どう見てもあの四人は()()()()()()()()()事を。







 いけない事だろうが千幸子達の話を盗み聞きをした。

 千幸子の事を守ってくれたとは言え、事の発端は彼等だし心配して話を盗み聞いたのだ。

 そしたら『前世』とか『転生』とか摩訶不思議な話をし始めたのだ。


 いや、仏教では『六道輪廻』と言う言葉があるし『転生』は信じられている。だけどそれが本当の事かと言うと、俺は実際に見た事がないから分からない。僧侶として失格かもしれないが、死んだ後の事等生きている間は分からないから仕方がないとしか言い様がない。

 だけど彼等の話は説得力があり、本当に『前世』『転生』があるのではないかと思う様になった。


 いや、重要な事はそれではない。

 明らかに彼等が千幸子を見る目は()()()()()だ。

 千幸子よ、何故それに気付かない。いや彼等が隠しているから分からないかもしれないが、眼差しとか明らかにソレだ。


 と言うか千幸子が彼等に笑顔を向けた時に四人は一斉に顔を背けた。隠れて見ていた俺でも分かる程彼等は耳まで真っ赤になっている。


 身内ながら千幸子は可愛いし、笑うとそこら辺のアイドルよりも可愛い。しかも彼等にとって千幸子は正義のヒーローだ。憧れの人だ。それらが合わさった故に顔を背けたのだ。

 ……本人は分かっていないだろうが。















「千幸子」

「何、伯父さん?」

「四股はいけないぞ。誰か一人を選びなさい」

「はぁ? 会長達とはそんな感じじゃないし、只の友人だよ。それに四股なんてそんなはしたない事はしません」

「そうか……なら良い」








 伯父さんは君達の()を知っているぞ。千幸子が幸せなら誰でも構わない。


 だから頑張れ少年達。まずは千幸子に自分達が好きだと言う事を自覚させてやってくれ。


『彼』は生徒会の誰かと言うのは皆様のそれぞれ好きな方に。


千幸子のお相手に選ばれるのは『彼』なのかそれとも他の生徒会のメンバーなのか。


それは今現在の伯父さんですら分かりません。

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[一言] 露出狂に石····
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