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episode 2 縁ある場所


桜子ちゃんの提案で、再び南十字路へとやってきた。

昨日とは違い、昼間に来た為あたりが見渡せる。人の住んでる気配が少なく、大通りを通る車の音も遠く聞こえる。


「やはり、夜とは雰囲気かだいぶ違いますね。」


「そうだね。とりあえずこの辺り歩いてみよう。何か分かることがあるかもしれない。」


中原さんは、ストーカー女を地縛霊かと思った、と言っていた。

俺はオカルトや、心霊現象についてそんなに詳しくはないけれど、地縛霊ってその場に留まっている幽霊のこと、だったよね。


「桜子ちゃん、桜子ちゃんはオカルトとか、幽霊関連は詳しかったりするの?」


「正直、そんなに明るくありません。オカルトサークルに入ったのも、兄様がいたからですし。」


そこは、何となくそうだろうなと思ってました。

俺達だけではどうする事も出来ない。早い所中原さんにどうにかしてもらうしかないか。


十字路に差し掛かる所の一本道を歩く。昨日ストーカー女を最初に見かけたのは大通り手前にあるカーブミラーに映っていた時。


なら、あの付近に何かしらの手がかりがあるのではないだろうか。



「あっ・・・海さん。ここ、神社があるみたいですね。」


桜子ちゃんが指差す方向には長い一本階段、その階段の脇に、石の表札が置かれあり、【南相馬神社】と記されていた。


正直、神社には全くもっていい思い出がないので渋い顔をしながらそれを見つめてしまう。


「こんな所に神社だなんて、何かありますよ〜と主張してあるようなものではありませんか。早速行ってみましょう!」


桜子ちゃんに押されるがまま、その神社の階段を上る。思った以上に急階段になっており、上りづらい。

転びでもすれば大惨事になるだろうな。


息を切らしながらようやく上り終わる。ヤバイな、大学に入って体力が落ちたのかもしれない。勉強も忙しいが、少しばかり筋トレ始めよう・・・


神社自体は思った以上に綺麗で、近くに住んでいる人だろうか?

神社の脇の日陰で、数人のご年配の奥様方が話し込んでいる姿が見える。


奥様方はこちらに気付いたのか、優しげな、微笑ましい笑みを浮かべて会釈してきたので、こちらも会釈を返す。


「とりあえず、参拝しようか。」


「そうですね、一応神様の所在地に足を踏み入れたのですから。」


習わしに従い参拝を済ました。こちらを見る奥様方の生暖かい視線がやけに落ち着かない。

それは桜子ちゃんも一緒だったのだろう、行動的な彼女はすぐにその奥様方の元へ向かい訪ねた。


「あの、何か気になる物でもありました?」


「あぁ、ごめんなさいねじろじろ見たりして。若い2人がこの神社にお参りに来るとつい昔を思い出してねぇ」


1人の奥様の言葉に、周りも賛同し始める。

私も死んだ亭主と、今でも夫婦でなど。

話の意図が掴めず、困惑していると桜子ちゃんが話しかけた奥様が


「この神社にはねぇ、無病息災、健康長寿、安産祈願、縁結びに効果があるらしいのよ。若い男女の恋人がこの神社にお参りに来ると、必ず結ばれるって言い伝えもあってねぇ。」


と教えてくれた。それに桜子ちゃんが凄い形相をしながら、奥様に詰め寄る。


「恋人ではありません、一切、断じて。」


「あ、あら、そうなの。ご、ごめんなさいね。」


なんだろう、優しげな視線から一気に憐れみな視線に変わった気がする。

俺、美少女に全力で拒否られてる可哀想な男にでも思われたのかな。


ん?なんか今割と重要な事を聞いたような気がするけど・・・気のせいか?


「あの、皆様は毎日のようにここでお話をされているのですか?」


「えぇ、この辺りに住み始めてから毎日のようにここに来ておしゃべりをしているのよ?」


やはり、この辺りの住人か。ならストーカー女について・・・いや、この人たちに聞くとしたら


「あの、この辺りで何か変わった事とかありませんか?些細なことでいいんですが・・・」


「変わった事?う〜ん、あっそう言えば先週だったかねぇ、毎日神社へ参拝に来ていた藤原さん、あの人入院したらしいわよ?」


「まぁ!あの藤原さんが?熱心な参拝者だったのに・・・」


「もう長くはないって聞いたのよ、まだ若いのにねぇ。」


話の話題はその藤原さんという方に移っていく。


「あの・・・」


俺はその藤原さんが入院されている病院名を聞き出し、その場を離れた。

今回の件にあまり関係がない気もするが、得られた情報として持っておくべきだろう。


神社の階段を降り終わった後、時間を確認すると時刻は17時を回っていた。暗くなる前に帰った方がいいか。

桜子ちゃんも明日学校だろうし、あんな事があったばかりだ。早めに自宅に戻らせた方がいいだろう。


「桜子ちゃん、今日はもう帰ろう。この場に長居するのは、あまり得策ではないだろうし。」


「・・・そう、ですね。個人的にはまだ調べたいのですが、明日は残念ながら学校がありますので。」


恨めしげにこちらを見て来るが、それに気づかないふりをしつつ南十字路を抜ける。

大通りへ出る前に、カーブミラーへと視線を向ける。


女の姿は、ない。


桜子ちゃんを自宅まで送り届け、しばらくお世話になる虎之助の家まで帰路に着いた。



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