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俺と君達のダンジョン戦争 作者:トマルン

第二章 序盤戦とか外交とか色々

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第三十一話 事件考察

 機械帝国第2層の攻略を優勢に進めていた国際連合。
 何者かがその物資集積地を爆破した事件は、俺達日本勢を始めとした地球の各勢力に影響を与える大きな波紋となるだろう。
 爆心地から発見された人間一人の焼死体、幾つかの魔石。

 犯人候補として考えられる存在は3つ。
 1つ目は、国際連合と対峙しており、現在末期世界第2層の攻略が難航している人類の最大勢力、人類同盟。
 彼らにとって、今回の件は対峙している国際連合の力を削り、探索も押し留めることができて優位に働いている。

 2つ目は、人類同盟と国際連合の二大勢力に加入していない第三世界の国々。
 未だ目立った成果や多くの魔石を獲得していない彼らにとって、今回の件による国際連合の機能低下は、優勢に進んでいた機械帝国第2層の制覇を横取りする良い機会となる。
 また、単純に国際連合が機能停止している間に、機械帝国内のモンスターを狩れることも考えられる。

 3つ目は、国際同盟の自作自演、もしくは内部からの犯行だ。
 順調に見えていた国際連合だが、もしかしたら何らかの障害が発生していたのかもしれない。
 その場合、他勢力からの工作に見せかけて損害を負い、人類同盟や俺達日本勢から支援を引き出そうとしていることが考えられる。
 また、国際連合内の勢力争いにより、主導しているロシアの権勢を削ぐために行った破壊工作ということも考えられる。

 しかし、とりあえず考えられるものを挙げてみたが、これらの候補には、犯行を行った場合、いずれも致命的な不利益がもたらされるな。
 なにせ、俺達探索者は自室やトイレ、お風呂以外の空間では、祖国に生中継されているのだ。
 何らかの後ろ暗いことをやろうものなら、本国の国民丸ごと十字架を背負いかねないぞ。

 下手をすれば、戦後に第四次世界大戦が勃発しかねない。
 ただでさえ、第三次世界大戦で地球の半分が荒れ地となったというのに、第四次世界大戦なんてやろうものなら、今度こそ文明崩壊が起きてしまう。
 第三次の時は上手いこと逃げた俺の祖国だが、ダンジョン戦争で俺達がトップを独走している現状、第四次だと真っ先に狙われるだろう。

 うん、やべぇな。

「トモメ殿ぉ、これからどうなるのでござろうか?」

 俺は不安げにこちらを見つめる白影を見やる。
 今回の件を伝えてくれた彼女には、事の重大さが良く分かっているのだろう。
 今までは一応相互協力の姿勢を見せていた人類が、今後どのような関係に変容してしまうのか。
 握りしめられた彼女の小さな手が、微かに震えていた。

「また物資を購入して、終わりじゃないんですかー?」

 能天気に小学生みたいなことをのたまった高峰嬢。
 この程度いちいち聞くなよな、彼女の表情からは口よりも明確に自身の意思を伝えていた。
 知能2だと生きてるのが楽そうだなー。

「…… 知能2は黙ってなよ」

 ぼそりと呟かれた、言ってはいけない一言。

「!!!?」

 俺の心臓が跳ね上がる。

「?」

 良かった、高峰嬢は気づいてない。
 誤魔化すために、彼女にニッコリ微笑んで、俺は今後の情勢を考える。

 犯人が誰にしろ、焼死体の身元調査が急務だろう。
 恐らくはいなくなっても構わなそうな第三世界のどこか、もしくは他勢力の小国家か。
 いずれにしても、各国間で疑心暗鬼が渦を巻き、国際連合の快進撃は停止するはずだ。
 その場合、俺達日本勢力が求められるであろう役割は2つ。

 1つ目は、今回の事件における中立の立場からの調査。
 意図しないことだが、俺達日本勢力は日仏だけの小勢力でありながら、人類屈指の戦力を保有し、ダンジョン攻略の最先鋒となっている。
 その上、国際連合や人類同盟、その他の国々とは中立か友好的中立を保っており、非常に使い勝手の良い立ち位置だ。

 しかも、白影引き抜き事件のために結ばれた協定により、しばらく探索は休止して手が空くことは決まっている。
 こんな状態で、事件調査を主導しないわけにはいかない。
 調査するにせよ、他の第三勢力に押し付けるにせよ、まずは俺達が主導して解決までの道筋を作らなければならないだろう。

 2つ目は、今回の事件で大きな損害を被った国際連合への支援。
 本来ならば人類の最大勢力たる人類同盟が主導すべきものだが、彼らは末期世界で泥沼の消耗戦を繰り広げている。
 そんな現状、余裕のある俺達が、何らかの形で国際連合を支援する役割を担うことになるだろうし、国際連合からもそれが求められるはずだ。

 その場合は、階層攻略における取り分を明確に決めておかなければ、後々非常に面倒臭いことになる。
 もちろん、断ることもできるけれど、その場合は、後々の外交関係が恐ろしいことになるので現実的ではない。

 うーん、舵取りが難しいなー。
 どう転んでも、俺達への負担がそれなりに重くなってしまう。
 はっきり言って、面倒臭い。
 いっそのこと、知らない振りして引き籠っちゃおうかな?
 一応、協定を守る為にしばらく引き籠ってました、とでも言っておけば、ある程度言い訳にもなるだろう。

「白影、君は情報収集中、誰かに見られたりしたかい?」

「ふふふ、拙者は忍びでござるよ?
 拙者の隠密は、何者にも見破ることなどできはしない!!」

 流石NINJA!
 少々不安だけど、ここは彼女のステータスを信じることにしよう。

「よし、じゃあ、何も知らなかったことにして、しばらく引き籠るか!」

 魔石も今までの蓄えや、納入した分を考えれば、1、2週間は耐えられる。
 俺がそう思っていると、手元の端末がチカチカと光りだした。

『ミッション 【政治工作をしましょう】
 国際連合の物資爆破工作の件を上手いこと利用して、我が国の国際的地位を高めましょう
 中華民国、福建共和国、大韓民国、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、ロシア連邦、アメリカ合衆国、インド、オーストラリアの地位が低下すれば尚良なおよ
報酬 LJ-203大型旅客機 8機
依頼主:日本国外務大臣 菅義政
コメント;世界の皆には、内緒だぞっ!』

 うわー。
 凄い大雑把な指示がきたな!
 というか、地位低下を狙う国に同盟国や友好国が混ぜってるんですけど!?
 黒い!
 どす黒いぞ、我が祖国!!

「明日頑張ろう」

 今日はちょっと考えたいし、ミッションで根拠地から出られないから、明日頑張ることにしよう。そうしよう!

「私はぐんまちゃんに付いていきますよ」

「裏工作なら拙者にお任せあれ!」

 高峰嬢と白影を見ると、力押しという選択肢が唐突に脳裏に浮かびあがる。
 いや、しないけどね。
 俺がかぶりを振りながら、お茶をすすっていると、白影が高峰嬢の手元を見つめていた。
 能面のような無表情、視線の先には楽しそうに編物をしている高峰嬢。

 もしかして彼女も編物が趣味だったりするのかな?



「…… リナリア、ねぇ」
作者の好きなお花はホウセンカ!
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