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俺と君達のダンジョン戦争 作者:トマルン

第二章 序盤戦とか外交とか色々

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第三十話 休暇中の一大事

 混迷を極めた従者ロボ成長問題は、筆談をしようにもまさかの日本語を書けないことが発覚し、結局謎のまま終わってしまった。
 装備によるステータス向上効果は適応しているみたいだし、最悪ステータスが成長しなくても何とかなるだろう。

 従者ロボを100体揃えても片手間で壊滅できそうな、我が国の誇るヒト型決戦兵器を眺めながら、俺は暢気にもそう思った。
 当の決戦兵器は装甲服の補修を終えて、今度は毛糸で編み物を始めている。
 流れるような手捌きで編み込まれていくが、何を作っているのかはさっぱり分からない。
 というか、その編み物セットをいつの間に入手していたのかすら、さっぱり分からない。
 俺って補給全般を管理してるんだよね?

「お花のコースターですよ」

 俺の視線に気づいたのだろう、高峰嬢は手元からこちらに顔を向けて優しく微笑む。
 へー、花かー。
 作製途中だから良く分からないが、確かに言われてみれば花弁はなびらのように見える。
 だが、元々花には興味がなかったせいか、ぱっと見ても彼女が何の花を模しているのか分からない。

「何の花なんだ?」

 俺の素朴な疑問に、高峰嬢の手が不自然に止まった。
 柔らかくも強い意思を秘めている彼女の目が、僅かに伏せられる。
 どうしたどうした?
 もしかして何も考えてなかったとか、そんなパターンか?

「…… んぅぅ」

 悩まし気なくぐもった声が漏れる。

「ちょっと気になっただけだから、そんなに気にしないでくれ」

 別に高峰嬢の作業を止めてまで気になっていた訳じゃない。
 俺としては、彼女が花を編もうと虎を編もうと構わないのだ。
 折角の休みなんだから、自分の好きなように編めば良いじゃない。

「………… そうですね」

 なんとなく、もどかしそうな様子だ。
 まあ、いい。
 俺は高峰嬢との会話を打ち切って、手元の端末に視線を落とす。
 高峰嬢と白影の端末とリンクさせた結果、彼女達のステータスも俺の端末で一括して表示できるようになった。

 現在受諾している端末ミッションは、ダンジョン内の素材採取と技術情報の収集。
 これに関しては、機会を見て機械帝国に潜入しなければならないな。
 末期世界は有用そうな技術なんてなさそうだし、放っておいても良いだろう。
 機械帝国へは、ロシアと話を付けることができれば良いのだが、絶対に何かしらの対価は必要になってくるはず。

 面倒だし、国際連合がいない時を見計らってパパっと回収しちゃうかな?
 いや、国民の目があるから、秘密工作は駄目か。
 だとすると、事態を起こして国際連合単独での攻略を放棄させるか?
 うーん、でも末期世界と機械帝国への侵入を禁じられている俺達では、国際連合を動かせるだけの工作はキツイなー。

 俺は八方塞がりになってきた思考を一旦止めて、端末画面を操作して俺達のステータスを表示させる。

『上野群馬 男 20歳
状態 肉体:過労(小) 精神:普通
HP 9 MP 28 SP 14
筋力 11 知能 18
耐久 9  精神 18
敏捷 11 魅力 11
幸運 21 
スキル
索敵 90
目星 20
聞き耳 50
捜索 50
精神分析 15
鑑定 50
耐魔力 25』

『高峰華 女 20歳
状態 肉体:健康 精神:幸福
HP 32 MP 2 SP 32
筋力 34 知能 2
耐久 31 精神 24
敏捷 34 魅力 20
幸運 4 
スキル
直感 95
鬼人の肉体 15
鬼人の一撃 10
貴人の戦意 95
我が剣を貴方に捧げる 10
装備
戦乙女の聖銀鎧
戦乙女の手甲
戦乙女の脚甲』

『アルベルティーヌ・イザベラ・メアリー・シュバリィー 女 19歳
状態 肉体:健康 精神:焦り(小)
HP 14 MP 12 SP 20
筋力 16 知能 12
耐久 16 精神 6
敏捷 30 魅力 19
幸運 4 
スキル
超感覚 40
隠密行動 30
投擲 30
耐炎熱 30
無音戦闘 25
妄執 55
装備
黒い頭巾
黒い装束
黒い手甲
黒い脚甲』

 今更だけど俺のMPが無駄に高いな。
 数値だけなら、高峰嬢のHPと良い勝負だ。
 問題があるとするなら、使う当てがないことくらいか。

 白影は典型的なスピードタイプだ。
 精神状態が『焦り(小)』とあるけど、一体何かあったのだろうか。
 しかし、相変わらず精神と幸運が低いなー。

 高峰嬢は安定しているね。
 知能とMPは相変わらずの糞ステだけど、筋力、耐久、敏捷が俺の3倍以上ってどういうことなんでしょう。
 そして順調に増えている鬼人シリーズ。
 恐ろしい娘!



「トモメ殿、一大事でござるよ!」

 俺がのんびりとステータスを眺めていると、白影が焦りながら食堂に駆け込んできた。
 彼女も休日をゆっくり過ごしていたようで、いつもの全身黒尽くめではなく、彼女なりの私服を着ている。
 彼女の料理を食べているとき、毎回彼女は着物だったので薄々感づいてはいたが、白影の私服は見事に和装っぽかった。

 白影の瞳と同じ蒼の振袖に濃紺の袴、足は焦げ茶のブーツを履いたそのスタイルは、正に大正浪漫たいしょうろまんというべきか。
 金髪蒼眼の彼女であるが、何故か見事に大正浪漫とマッチしている。
 高峰嬢とは方向性の異なる、いや、時代が異なるお嬢様っぽさを醸し出していた。

「騒がしいですねー」

 先程まで黙々と花を模したコースターを編んでいた高峰嬢が、露骨に顔をしかめる。
 めちゃくちゃ不機嫌になったぞ!

「トモメ殿、一大事なんでござるよぉ!」

 しかし白影はそんな高峰嬢に目も向けず、端末片手にお茶を啜っていた俺に詰め寄る。
 ああっ、高峰嬢が編物をテーブルに置いたぞ!?
 くそ、こうなったら……

「どうした、白影?」

 とりあえず、高峰嬢は気にしない方向で話を進める。
 いちいち気にしてたら、俺の胃がもたないしね。
 仕方ないね。

「機械帝国を攻略中の国際連合が、スタート地点に集積していた物資を何者かに爆破されたのでござる!!」


「………… なんですと?」

 おいおいおいおい………… おいっ!!
 本当に一大事だぞ、それ!!?

 スタート地点に、モンスターは侵入や攻撃ができないはずだ。
 ということはだ。
 スタート地点に集積していた物資を爆破したのは、地球人類な訳で。
 まさかの味方撃ちが発生しちゃった訳で。
 下手すると他世界との戦争の真っ最中に、地球人類間で戦争が勃発しかねない……

 やばいよ。
 やばいね。
 ヤバイ、ヤバイヤー、ヤバエスト。

 やってらんねぇよぉぉぉぉぉぉ!!

「爆破の原因は分かっているのか?」

 もしかしたら、何らかのミスで勝手に自爆しただけかもしれない!
 一発だけなら、誤射かもしれない!!
 微かな希望を籠めて聞いてみる。

「何者かの破壊工作でござる。
 犯人は不明。
 ただ、爆心地付近に人間の遺体と、幾つかの魔石が残っていたようでござった」

 うーん、謀略くせぇ。
 しかも、国際連合だけでなく、俺達まで巻き込まれそうな臭いがしてやがる。
 犯人候補は、末期世界の攻略が難航している人類同盟か、さしたる成果を出せていない第三世界の連中あたりか?
 どちらも実績、士気、魔石の獲得量が芳しくなかったはずだ。

 それに対して国際連合は、階層攻略がそれなりに順調だったらしいし、ライバルの足を引っ張りつつ、俺達を利用して自分達の利益を得よう、とかそんなところでしょ。
 バレバレなんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
お花の伏線は次話に回収。
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