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俺と君達のダンジョン戦争 作者:トマルン

第一章 導入や基本的な諸々

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第三話 はじめてのたんさく

 一歩踏み出した俺は、ドアにそっと耳を押し当てた。
 部屋を出る前に聞き耳は鉄板だよね!

『聞き耳』

「…………」

 『聞き耳』を意識してスキルを発動させたが、何も聞こえない。
 何も聞こえないと逆に不安だ。
 もしかしたら何者かが、俺が出てくるのを待ち構えているなんて馬鹿らしい想像が頭に思い浮かぶ。

 いや、だいじょうぶ……だいじょーぶ!
 総理なんて初めは何の装備も持たせずに部屋の外へ行かせようとしたのだし、きっと何もないんだよ。
 いけるいけるいけるって!

 よし……よし! …………よっしゃ!
 いくぞぉ、俺はいくぞぉぉぉ!
 しゃあ、しゃあ、わっしょい!!

 そっと、音を立てないようにドアノブをゆっくり回して、ほんの少しだけドアを開けてみた。

 部屋の外は廊下に繋がっているようで、大理石っぽい白い床が真っ直ぐ伸びている。
 明かりも付いているので、懐中電灯の出番は今の所なさそうだ。
 何も存在しないことを確かめて、慎重にドアを開けて部屋の外に出た。
 もちろんドアを閉じるときも、音を立てずにゆっくりと閉じた。

 廊下は幅2mほどで結構広く、高めの天井には有機ELらしきベースライトが等間隔で並んでいる。
 見た限りでは、人の気配は感じないし、脅威になりそうな箇所も見当たらない。
 難点なのは、今自分が履いているミリタリーブーツでは、慎重に歩かねば音が鳴ってしまうことか。
 こればかりは仕方がない、部屋から出て、周囲の安全も確認したことだし、更新されているであろう端末を確認する。

『ミッション 【探索開始】 成功
 報酬 10000円 が 端末 に振り込まれました』

『ミッション 【初めての探索】
 いずれかの部屋を探索しましょう
報酬 10000円
依頼主:日本国国防大臣 加藤忠正
コメント;油断大敵、慎重なのは良いことである』

 これで30000円、所持金は着々と増えている。
 コメントを読む限り、俺の探索姿勢は間違ったものではないらしい。
 政府からも後押しされているので、これからも超絶慎重スタイルでいこう。
 命は1つだしね。

 ミッションで課せられた探索する部屋はどこでも良いらしいので、執務室から廊下に出て左側の部屋を探索しよう。

『聞き耳』

 部屋の中からは物音一つしない。
 執務室を出た時と同様に、ドアをゆっくり開ける。
 もちろん、10秒毎に廊下を見渡すことも忘れない。

「………!」

 部屋の中は真っ暗だった。
 やばいやばいやばい、俺は慎重にドアを閉めた。
 いきなり懐中電灯の出番ですか、そうですか。
 無理だってぇぇぇぇ!

 だって万が一部屋の中に何かが潜んでいたら、電気付けた途端に襲われちゃうだろ!
 あれ、そう考えると、さっきドアを少しだけ開けた時も、廊下の光が部屋の中に入ってたんじゃあ……
 そこまで考えた俺は、迅速に、かつ音を立てずに執務室に退却した。

「――― はあ、はあ、はあ、はあ」

 荒い息を吐きながら、執務椅子に体を預ける。
 もちろん、執務室の施錠はばっちりだ。

「さっきは流石にヤバかったな」

 さも大冒険を繰り広げたかのように独り言ちるが、実際は廊下に出て隣室のドアを少し開けただけだ。
 我が事ながら、先が思いやられる。
 でも仕方ないよね、ビビりだもの。

 俺は息を整えてから、ナイフを抜いて逆手に構える。
 ここに来て、今の醜態を政府に曝している事を思い出したのだ。

『聞き耳』

 視界の端に映る地図、索敵マップには何も表示されていないが、万が一を考えて聞き耳を行う。
 廊下からは何も聞こえない。
 先ほどと同じように音を立てずにドアを開け、再び隣室に繋がるドアの前でスタンバイした。

『聞き耳』

 先ほど同様、何も聞こえない。
 懐中電灯を廊下で点灯させて、僅かに開けたドアの隙間からそっと隣室の中に転がした。
 チラリと多段ベッドが見えるも、俺はすかさずドアを閉める。

『聞き耳』

 全神経を集中させて、耳をそばだてる。
 何か物音がした瞬間、執務室に転進するためだ。
 右手に握ったナイフ? 気分だよ。

 しばらくしても室内からは何も聞こえなかった。
 念のため10分ほど待っても、何も聞こえなかった。
 ナイフを左手に持ち替えてもう10分待ったが、何も聞こえなかった。

 ゆっくりとドアを開けて室内の様子を確かめるが、懐中電灯がドアを閉める前と同じ位置で多段ベッドを照らしているだけだ。

『目星』

「!?」

 直ぐ近くの真横から反応があった!?
 しまった、俺としたことが索敵マップに反応せず、透明かつ臭いも音も気配もしない敵性存在の事を失念していただと!!?
 無駄な抵抗かもしれないが俺は、反応に向けて咄嗟にナイフを構えた。

 室内照明の点灯ボタンでした。
 やれやれだぜ!

 懐中電灯を回収しつつ点灯ボタンを押して、明るくなった室内を慎重に見渡す。
 ドアの近くには私室にもあったクローゼット2つと歓談用らしきテーブルセットが1つ。
 それ以外はずらりと三段ベッドが並んでいる。
 おそらく20台を超えるだろう三段ベッドには、見た限りでは綺麗に折りたたまれた寝具以外何も存在していない。

『聞き耳』

 何も聞こえない。

目星!

 ……あれ?

 目星!!

 …………発動しないな。
 端末をステータス画面に切り替えて、スキルの『目星』を見てみる。

『目星:再使用まで残り 58分46秒』

 うわ、連続発動できないタイプだよ。
 ゴミスキルがっ!
 聞き耳先輩を見習えよ。

『捜索』

 反応なし。
 おそらく安全だと思われる。
 よし、探索始めるか。

 初めは当然の如く入り口近くのクローゼット。
 何が飛び出してきても良いように、ナイフを向けつつ回避態勢を取りながらクローゼットを開けてみる。
 針金かロープを括りつけて開けることも考えたが、それだと開けるたびに音が出てやばい。

 クローゼットの中にはナイトキャップが入っていた。
 おっ、これ俺のやんけ。
 しかも俺が小学生の時から愛用していたものだ。

 これが無いと眠れずに死活問題なので、安全策を取ってナイトキャップだけ私室のベッドに置いてきた。
 改めてもう一つのクローゼットを開けると、中には紙の箱が1つとお茶の入ったペットボトルが2本置いてある。

 箱はずっしりしていて結構重たい。
 箱に貼ってあった付箋には、『国防軍戦闘糧食 上野君用スペシャルセット』と手書きで記載されていた。
 あったけえ、優しさがあったけえよ…………

 いざと言う時、万が一にもほっぽり出せないので、これらも私室に置いてきた。
 室内の三段ベッドを一床ずつ調べるも、寝具以外は何も存在しなかった。
 そして部屋の奥までたどり着くが、テーブルセットと本棚が2つずつあるだけだ。
 本棚には『世界の昆虫記シリーズ』『世界の詩歌シリーズ』など、おそらく娯楽用だろうが、恐ろしく興味を惹かれないラインナップが揃っている。

 残念ながら、俺がこの本を読むときは来ないだろう。
 一通りの探索が終わり、安全の為に執務室へ戻ってミッション画面をチェックする。

『ミッション 【初めての探索】 成功
 報酬 10000円 が 端末 に振り込まれました』

『ミッション 【迅速な探索】
 5つの部屋を探索しましょう
報酬 32式普通科装甲服3型
依頼主:日本国外務大臣
コメント;臆病は恥ではないし、誰も馬鹿にしないぞ』

 励ましの言葉ありがとうございます。
 でも、これだけは言わせて下さい。
 難易度と報酬上がり過ぎじゃない?
 一万円から装甲服は飛ばし過ぎでしょ。
駄目だこの主人公、へタレすぎる。
早く来てくれヒロイン!
+注意+
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