十一幕:入学(演者・・・春日美久)
瀬川さつき
元気っ子。春日美久と同室。不真面目な面がある。
「もー、さつきちゃん、いったい何したんです? 罰に掃除をさせられるほどのことやったです? しかも入学式当日です!」
「ごめんごめん。でも何やったかは……言えないかな」
言えないようなことをやったです……?むー、とりあえずはやく掃除を終わらせないとです。入学式に遅れちゃうです!
「ここまで手伝ってくれてありがとう☆ 全部やってもらうのも悪いし、先行ってていいよ〜」
「ちゃんと終わるです〜? 時間は見とくですよ。遅れちゃダメです!!」
正直あんまり信用ないですが……
「はーい、じゃあね〜☆ また入学式のときに」
「はいバイバイです」
むー、心配です。
………入学式の会場ってどこです?いえ、わかっているんです。校内地図も何回も見たんです。なのにたどり着かないです……
「風紀委員だけど、どうかしたか?」
風紀委員の腕章をつけた先輩と思われる男の人が助けてくれたです。よかったです。
「あの、中等部の入学式に行きたいですが、迷ってしまったです。すませんが、道を教えてほしいです」
「あー、中等部の会場はあの大きい建物。そしてそろそろ時間がやばいから急いだ方がいいぞ」
あれですか。って、時間です!?本当です……私はどれだけさまよってたです?ううー、急げです!!
「ありがとうございますなのです」
このままだと完全に入学式はサボってしまうことになったです。
「いや、仕事だからな。まあ、どういたしまして」
いえいえ、とっても助かったです。って、時間時間。急がないとです。さあ、あの星を目指すです!!!
◇◆(演者・・・フランス出身の怪盗)
美久を見送った風紀委員は、懐からカードのような物を取り出すと、誰かと通話し始めた。
「脚本通りに進んでるよ〜、姉さん。あの方向オンチ逆にすごいね。ああ、うん、今日一日は入れ替わる予定ー。というか定番の様に本物はふんじばってトイレに入れて来たけどあれでいいのかな? あと、風紀委員になってあの引きこもり風紀委員長サマの迷惑さがよくわかった……副委員長なんて白髪がありそうだったよ。胃と毛根大丈夫かな〜。うん、確かにこの1年は更にやばくなるけどさ。あと姉さん、そのセリフかっこいいけど中二くさ…あ、スミマセン。似合ってます、トテモカッコイイデス。だからその怪盗やってる奴が言うんじゃねーよ的な沈黙やめてください。はい、あのど腐れピエロへの皮肉ですよね、はい、スミマセンデシタ。え、ちょ、念話切んないで」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇(演者・・・春日美久)
「はぁ、はぁ、走り、すぎた、です」
ううー、疲れました。空でも見てひと休みして……人!?なんか人が空から落ちていて……しかもそれがヒーロー君(仮)なような気がするですが……見間違えです、幻覚です、きっと。でも、眼福だったです。
よし、幻覚、幻覚……急がないとです。行くです。あれは幻覚、幻覚、幻覚……妄想です?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ずいぶん遅かったね、ギリギリ〜☆ あ、席ココで大丈夫?」
「はぁ、だい、じょう、ぶ、です」
う、走って来たのにもう始まるですか。
「これより、凰璃学園中等部、入学式を開始いたします」
第何回とか言わないんですね。あと、起立、礼とかもないです。
「礼とかしないんです?」
気になったので知らないかもですが、小声でさつきちゃんに聞いてみたです。
「かなりの身分の人もいるからねー。やらせると無礼者☆ってなっちゃうんだよ。外国の人も多いしね〜」
なるほどです。よく知ってるですね、さつきちゃんは。
「学園長祝辞」
学園長先生ですか…どんな人です?想像つかないです。
って、え?いきなり現れたです!?しかもあの人は…面接の時のおじいちゃんです!?
「あー、新入生の諸君、ご入学おめでとう。学園生活を存分に楽しむといいぞい」
おじいちゃんは言い終わると消えてしまったです…どういうことです!?
「新入生代表雨宮拓都より入学の言葉」
そうして出てきた雨宮君は……王子様!?というくらいのイケメンだったです。おじいちゃん?そんなことより王子様です!!!
周りの人達も声援を送っていたので、私もやるです。
くっ……爽やかな笑顔がもはや凶器です。かっこいい、という言葉では足りないレベルのイケメンです……
「本日はこんな大役を務めさせていただきありがとうございます。さて、…………」
声までイケメンとは……もう、ずっと聞いていても飽きない声です。はぁ〜
王子様!!王子様!!!
「…………ご清聴ありがとうございました。」
はっ、もう終わってしまったです!?聞いていた時の記憶がないです……くっ、まあいいです。惜しみない拍手と声援を王子様にっ!!!!
「そんなかっこいいかな〜?」
小声で言われたので、小声で返したです。
「とってもカッコイイです!!!!!」
はぁ、とため息をはかれたです。心外です!さつきちゃんもそのうちわかるですよ、王子様のすばらしさがっ!!
「…………生徒会長の言葉。三年、賀茂智憲殿」
壇上に上がってきた生徒会長さんは、緑色の髪の、これまたイケメンさんです。雨宮君が王子様なら、生徒会長さんは王様という感じです。
「あー、新入生の諸君、入学おめでとう。
あー、そうだな、なんだ、程々にやれ。以上だ」
堂々たるお言葉です。カッコイイです。しかし、短すぎると思うですが……
「賀茂君、ありがとうございました」
いいのです!?こんな短いので…
「えー、次はクラス発表を致します。壇上をご覧下さい」
いきなり壇上に現れた立体映像には、クラス分けのことが投影されてたです。えーと、春日、春日……見つけたです!C組、です。が、瀬川の文字はありません。D組、だったです……
しゅう君は……E組。離れちゃったです。まあ、小学校ではずっと一緒でしたし、たまには離れてもいいです。
「あちゃー、離れちゃったね。ま、隣のクラスだし、どうせ同室だからね」
「むー、残念ですがC組でお友達をつくるです。目指せ! 友達100人です!!」
とっもだっちひゃっくにんでっきるっかな〜です。
あと……ヒーロー君(仮)はこの中にいるです?もし、あの時見たのは幻覚ではなくヒーロー君(仮)が上空から登校するようなお金持ちだったということもありえるです。この学園はお金持ちの子が多いですし。むー、でも名前がわからないです。
「頑張れ☆」
外国人です?銀髪だったですし。でもこの学園にはカラフルな髪の人が多いです……うーん、わからないです。よし、ここは運命を信じるです。
「おーい、美久、無視かい?」
「あ、ごめんです。ちょっと考え事してたです。えっと、次は新入生歓迎会です?」
凰璃学園の新入生歓迎会なんてきっととても豪華です!!楽しみです。
「あー、うん、ソウダネ……」
?さつきちゃんの反応が変ですが……気にしないでおくです。
「何があっても驚かない方がいいよ……」
何があるです!?ちょっと怖くなってきたです……ん?
「さつきちゃん……ステージが広くなっているのは気のせいです?」
「あー、そのうちわかるよー。うん」
適当です……というか、明らかにあのステージの所だけ空間が広がっている感じですが……
「祭事委員会委員長、日比谷誠だ。新入生歓迎会、盛り上がって行こうぜ!!!」
ドカンと爆発し、とってもカラフルな光が出てきたです……さっきから不思議なことばかりが起こってるです。
「あー、そして新入生の……えー、言葉なんだっけ。カンペないか? ない? ま、いーや。この学園は、魔法を習う場だ!! 己の力を信じ、拳を振るえ!!!」
……いや、魔法使いは拳を振るわないと思うです。それより、魔法ってどういうことです?本当です?
「美久、魔法はホントのこと。私も魔法師だよ」
驚きの連続で、なんとも言えないです。でも……
「とてもワクワクするです。私も魔法が使えるですか?」
「うん、使えるよ☆ そのうちあんな風に」
さつきちゃんが指した上級生の人達は、何かを少し言うだけで炎や水なんかを出しているです。
憧れの、魔法。それが、使えるです。
「私、この学校入って良かったです!!!!」
「美久、よくわかったからもうちょい声量下げて」
……すみませんです。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆(演者、退場)
「虹色の巫女姫、世界の鍵なり。神に、悪魔に、すべてに愛されし者なり。そして………」
ここ、凰璃学園の新入生。『日の本の学び舎の新星なり』の通り。
「楽しみだなぁ。生かして捕らえないとな。ボスに怒られちゃう」
でも生きてればいいよね?ああ、楽しみだ。四肢をもごうかな?いや、内蔵を取り出そうか……皮をすべて剥ぎ取るのもいいな。いつ壊れるかな?ああ、楽しみだ。楽しみで仕方ない。
男は不気味に笑いだした。世の中の全てを嘲笑うかのように。
ただ、笑う、嗤う、呵う、哂う………………




