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作画スキルで異世界らくらくスローライフ  作者: 奏月脩/Shuu Souzuki
第一章 ハイエルフのお姫様に異世界召喚された件

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第18話 同じベッドの中で




 横たわるベッドの上。


 二人の美女が同じベッドに入ってくる。



「お邪魔しまぁす……」


「失礼いたします、マスター」



 就寝に際し、二人は既に薄着姿。


 そろりっと四つん這いになって迫ってくるのが、中々に目の毒だった。




 ……俺はすっと、その二つの素敵な谷間から目を反らす。


 我ながら紳士的だと称賛したい。


 彼女達も俺の殊勝な心意気を察してくれたのか、早々に俺の両脇に横になってくれた。



「おお、凄くふかふか。私が王城にいた頃のベッドよりもいいベッドかも」


「はい、本来私に睡眠は不要なのですが、この心地良さは、癖になってしまいそうですね……」



 少し小声になって、俺の耳元で二人が呟く。


 当たり前だが、広く描いたとはいえ元は一人用を想定して描いていたベッドだ。


 そこに三人で寝ているのだから、距離もかなり近い。


 それに、俺には妙齢の女性と同衾した経験などない。


 ミクやユリアほどの美女二人に添い寝してもらう状況なんてもっての他だ。


 二次元で妄想するくらいが精々で、あまりにも現実味が無いこの状況。


 しかし、それでも仄かな憧れくらいは勿論あって……。



 ある意味では念願の叶ったような現状に、頭では意識しないようにしていても、緊張でどうにかなってしまいそうだった。


 俺の心臓も、バクバクと激しい鼓動を鳴らし始めている。


 二人共俺と同じ石鹸を使ったはずなのに、びっくりするくらいいい匂いがする。


 心なしか、俺の作ったどの美容品とも違う香りがするようにも思えるくらいだ。



 いやぁ、女の子って不思議だなぁ……。


 俺が若干遠い目をして現実逃避していると、そこで、徐にミクが俺との距離を詰めて来た。


「ミ、ミクさん?」


 思わず敬称付きで読んでしまうほど動揺する俺に、しかし未だミクからの返答はない。




 ……どうしよう、めっちゃ柔らかい。

 

 ミクが突然距離を詰めて来た影響で、俺の二の腕にミクのおっぱいがあたっているのだ。


 正直、大変素晴らしい感触だったのでもう少しくらいはこのままでもいいかな……。


 なんて思っていると、そこで意を決したようにしてミクが俺の顔を覗き込んできた。



「……ねえ、ユヅル様。眠る前に少しだけ、お話いいかな?」



 まっすぐな眼差し。


 目にしたこちらが浄化されそうなほど澄んだ瞳で、ミクがこちらを見つめてくる。


 俺は思わず停止しそうになる己の思考に鞭を打って、なんとか彼女の問いに応えた。


「ああ、勿論だよ」


 まだ眠るには少し早い時間だし、何より他でもない好きな人の話だ。


 断る筈がない。


 しかし、それでもミクの方は少し不安に思っていたようで、俺の答えを聞いて如実に安堵しているようだ。


 ごろんっと、俺の正面から再び隣に横になると、彼女がほっと一息つく。


「……良かったぁ。断られたらどうしようかと思っちゃった」


「あはは、断ったりしないさ。俺も、ミクの話は気になるからさ」


「ほんと?ちょっと自分語りみたいになっちゃうけど」


「ああ、むしろ沢山聞かせて欲しい」


 俺が本心からそう告げると、ミクが柔らかく微笑んで、話を続けてくれる。


「ありがとうユヅル様。ユヅル様には、私達が今暮らしている集落の現状について、もう少しお話しておきたいんだ」


「俺が聞いてもいいのか?」


 話題が話題なだけに自分からは聞きずらかったことを彼女の方から切り出され、思わず目を見開いた。


 正直、俺としては今一番知りたいことでもあったので話してもらえるならとても嬉しい。


 俺がそう思っていると、ミクが真剣な声色で続けた。



「うん、むしろユヅル様にだから、聞いて欲しいの」



― ― ― ―




 それから、俺はミクが語った話の内容に、真剣に耳をすませていった。


 曰く、彼女の故郷であるという【メイル・エルダーグリーン女王国】は、【災害獣】と呼ばれる強大な怪物の襲来により滅亡してしまったという事。


 また、逃げ延びたのは、ミクを含めた一部の王侯貴族の娘や侍女達のみ。


 ハイエルフは外から男の人を取り込んで繫栄してきた種族の為、同族の異性はおらず。


 また、かろうじて逃げ延びられたのも、最低限身を守れる力のあった者達だけだったようだ。


 それで、今のミク達は女性だけで集落を築いていると。


 そして、ハイエルフは成人である100歳を超えるまでは男を目にすることが許されていなかった為、ミクや逃げ延びた若者のほとんどは今の今まで男を目にした経験さえないのだという。



「私達ハイエルフに寿命はないけど、それでももう数百年と異性のいない生活を送ってるの。だから、みんな口にはしなくても将来の事を不安に思ってるんだ。男の人がいないと子供もつくれないし、国の再興なんて夢のまた夢だからさ」


「なるほど……でもミクは、国の再興よりも集落の皆がまた笑顔で過ごせるようにって【祈りの神像】に願ったんだよな?」


「あはは、まあ、王族の生き残りとしては国の再興を一番に考えなくちゃいけないんだろうけどね……それでも私は、せめてこれまでずっと一緒に過ごしてきた皆が、少しでも元気を出してくれたらって思ってさ」


「そっか……」



 なんというか、ミクのこういう温かな人となりを知る度に、この子の事を好きになってよかったと心底そう思える。


 俺はまだミクと知り合ったばかりだが、それでもなんとなく、そんな彼女が多くの者達に慕われている様が目に浮かぶようだった。



「それでね、そんな私の願いに応じて召喚されたのが、多分ユヅル様だと思うの」


「まあ、状況的にはそうなるのかな?」


「うん、でね、その……正直、私が別の世界から召喚しちゃったこと、ユヅル様はどう思ってるのかなって」


「あー」



 ミクに言われて、今一度考えてみる。


 確かに、地球にいた頃の生活も、そこまで悪くはなかった。


 便利な現代社会で、好きな事を仕事にしてそれなりに自由に生きられて。


 ただ、それと同時に、家族と呼べる人もいなければ孤独な人生に変わりはなく。


 やはり、寂しくなかったと言えば嘘になる。



 それに比べて、今の俺の手には作画スキルという便利な異能力に、見違えるほど立派になった肉体と、人間離れした身体能力がある。


 加えて、ミクやユリアという魅力的な女性ともお近づきになれている訳だ。


 そういう意味では、不満と言うよりも期待感の方が強いというのが正直な気持ちだった。


 俺はそんな率直な思いを、ミクにも伝える。


「俺は、ミクやユリアとも出会えたし、この世界に召喚されて良かったと思ってるよ」


「ほんと!?良かったぁ……本心では恨まれてたらどうしようかと思っちゃった……」


「あはは、そんな事はないから安心してほしい」


「うん、ありがとねユヅル様」


 俺の答えに、またどこか安心したような微笑を浮かべてくれるミク。


 確認すべきことは聞けたという事か、ここからが本題だと言わんばかりに彼女が一つ息を整えた。


「あのね、それで、私がどうして急にこんな話をユヅル様にしたかっていうとね?」


「ああ」


「……その、ユヅル様に、私達の集落に来てもらえないかなって思ってさ」


「ミクの集落に?」


「うん。勿論、国の再興に協力してほしいとまでは言わないよ?でも、ユヅル様みたいな素敵な男の人と出会えれば、それだけで皆も元気になるんじゃないかなって」


「本当に、俺でいいのか?」


「勿論だよ!私、男の人と知り合ったのは初めてだけど、それでもユヅル様が素敵な人だって事はわかるよ?それに、こんな事私が言うのは図々しいかもしれないんだけどさ。私、お願いで召喚されたのがユヅル様で良かったって、心からそう思ってるの」


「ミク……」



 彼女からの思わぬお誘いと信頼に、思わず目を見開く。


 何せ、俺としては願っても無いお誘いだ。


 既に心が決まっている俺に、ミクが再度問いかけてくる。


「それで……どうかな?ユヅル様は、私と一緒に来てくれる?」


 どこか潤んだ瞳で、期待する様にこちらを見つめてくるミクに、どうしようもなく目を奪われてしまう。


 正直、彼女の期待するように、俺の存在が彼女の集落にとってどれほどいい影響を齎すことができるかは未知数だ。


 それこそ、いくら貴重な男であっても、お姫様を誑かした狼藉者として門前払いされる可能性だってある。


 それでも……初めて恋に落ちた女の子が、俺に向けてくれた確かな期待と信頼。


 それが、俺の心に確かな火を灯し。


 彼女の純粋で、優しい願いが、今、俺の身に託されているのだと思うと。


 一人の男としても、これに応えないという選択肢はありえないとさえ断言できた。


「勿論、俺の方こそ、ミクと一緒に行かせて欲しい」


「ほんと!?」


「ああ、ユリアもそれでいいか?」


「はい、私は元より、マスターにお供するだけですので」


「そうか……まあ、そういうことだから、ユリアともども、これからもよろしく頼むよ。ミク」


「うん、勿論だよ!本当にありがとう、ユヅル様!」


 心から嬉しそうに笑う彼女に、俺もまたどうしようもない程喜ばしい気持ちで胸がいっぱいになる。


 なんというか、ベッドを何台用意しようだとか、美女二人との添い寝だとか。


 そんなドギマギとした葛藤すらどうでもよくなってしまうほど、彼女の笑顔一つで心模様が穏やかになっていく。


 一緒にいて安心感を得られる人とは、きっと彼女のような人の事を言うのだろう。


 彼女が隣にいれば、たとえどんなに過酷な世界であっても前を向いて生きていけるような。


 そんな気持ちにさせてくれる力が、彼女にはあるように思う。


「あはは……なんだか、安心したら急に恥ずかしくなってきちゃった!」


 ミクは勇気を出してお誘いをしてくれた反動か、途端に顔を赤くして照れ笑いを浮かべていた。


 そんな彼女の表情がまた愛らしくて、思わずこちらまで頬を赤く染めてしまう。


「えっと、その……私からのお話はこれで一旦おしまい!だからその、おやすみ!ユヅル様!ユリア様!」


「あ、ああ、おやすみミク」


「おやすみなさいませ」


 すっと背中を向けて会話を切り上げたミクに、俺もユリアもここは素直に寝静まるのが粋だろうと互いに空気を読んだ。




 ……まあ、期待していたようなきゃっきゃうふふな展開は無かったが、結果的には悪くない一幕だったか。


 彼女からの申し出のおかげで、この世界での今後の道筋もより明確になった。


 まだ受け入れてもらえると決まったわけではないが、それでもミクの方から誘ってくれたおかげで、俺も本腰を入れて覚悟を決められた。


 あとは、全て俺の努力次第。


 幸いなことに、今の俺には天使であるユリアの存在や、破格の異能力である【作画スキル】まである。


 戦闘だって、アルちゃんのおかげで無双し放題だ。


 そういった意味では、様々な面で役に立てるとアピール材料には事欠かない。



 俺はひとまず、この約得な状況にこれ以上悶々とするようなこともなく、気持ちを切り替えて明日に備えることに重きを置いた。


 いつか、同じ状況を心から楽しめる未来が待っていることを信じて、ゆっくりと瞼を閉じるのだった。









↓同時連載中

「The Hero's Sweet Brides~学園の女子だけ貞操観念が逆転していくサバイバルクラフトゲームで、俺だけ既に神殺しと畏怖された異世界の救世主~」

https://kakuyomu.jp/works/822139838557577613

※もう一つのリンクはノクターンノベルズの為ここでは割愛。


・作者X

https://x.com/Shuu_Souzuki

作品の執筆状況などをたまに投稿していく予定です。

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