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メルティ✕ギルティ〜その少女はやがて暗夜をも統べる〜  作者: びば!
2章。学園編〜それは、蝕まれた憧れ・上
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41。閑話 噂は推し語りにちかいもの

おーまーたーせ

 とある教室の中。

 お昼休憩ということもあり、友人と戯れる者、一人で黙々と昼食を取る者、机に突っ伏して爆睡する者さまざまだ。


「おい聞いたかタワシ。転入生が来たってよ!」

「タワシ言うな。聞いたかとかじゃなくて、もう放送でアホみたいな自己紹介してたろ」

「名前はえーっと……」

「メルティ・イノセント嬢。それくらい覚えとけ鳥頭」

「んあ、これは鶏冠じゃねぇって。ファッションなんだよ。……つか、何気にちゃんと気があるじゃねぇか、お前。ファミリーネームまでちゃっかり覚えちゃってさぁ?ん?」

「うっせ鳥頭。振りに振られること百回記念のお前に言われたくねぇよ。あと別に好きじゃねぇし。俺の相手にするには声が幼すぎる。それにシールが好きとかお子ちゃまかよ」

「あっれれぇ?別にわたくし、彼女にする話なんてしてませんわよぉ?」

「やめろその気持ちわりぃ声と仕草」


「なあ知ってるか、そのメルティちゃん実は婚約者がいるかもって話」

「あ?まあここに通ってる過半数が貴族だ。婚約者がいてもおかしくない。女性ならなおさらな。……つかどこ情報だよ、煮込み鳥頭」

「……長くなってね?あだ名。……いやさあ、実はどこかの王女様って話もあるぞ」

「は?そうなのか?」

「おっとぉ?結ばれる可能性が遠ざかりましたねぇ?ええ、錆びタワシの騎士団長さん?」

「殴るぞおい。あと俺はまだ騎士でもねぇよ。それから早く話せ」

「いてててて。……お前なぁ、すぐそうやって行動に出るのよくないぞ。俺相手ならいいけどさ。……んでな? メルティちゃんさ、昨日試験を受けたんだよ」

「まあ、そりゃあそうだろ」

「んで俺見たんよ」

「覗き見野郎が」

「いや違うね。こういうのを垣間見るというんだぜ。な、木製錆びタワシ君?」

「うっせ、トロトロ煮込み鳥頭」

「……でさ。もうすごかったぞ。やばかった。もう、やばい」

「なにも伝わってこねぇ」


「いやまじですごかったんだってば。お前も見にこりゃよかったのによ」

「生憎そんな本性も知らん一女子にどっぷりハマれるほど、俺の肝は大きくないんでね」

「ありがとう。これで俺のライバルは一人減ったわけだ」

「勝手にやってろ……つか何の話だよ」

「え、メルティちゃんが可愛くて強いって話」

「どうぞ」

「まずさ、すげぇのがさ、メルティちゃん素手なんだよ」

「?」

「剣はちょっとよくわかんないって言ったっぽくてな。総合武術で、なにも武器を持たず挑んだんだぜ。そんでガルー先生の剣を躱して蹴り倒してたぞ。ありゃ、絶対痛いぞ」

「はぁ??ガルー先生って、あのマッチョの?木剣でも猪斬れるって言う? さすがに盛り過ぎだろ」

「いやそれがそうじゃないんだよ。ガルー先生スタート三秒くらいで気絶したからな。なんか体調不良とかどうとかって言って今日早退してたし。だから今日の剣術は他の代理の先生だってよ」

「マジかよ。……いや、オーバーキル過ぎるだろ」

「いやありゃガルー先生に問題あるぞ。始まる前散々馬鹿にしてたし」

「うわぁ。……まあ、そういう先生なのは知ってたけどな。熱血なのは結構だけど、ちょっと行き過ぎというか。なるほどそれで蹴り飛ばしたわけだ」


「そう。そう!!それがかっけぇって思ってな、俺。痺れたぜ、あの蹴り。どうやったらあんな芯までダメージが入るのか全然わからん。……でな、まだあるぞ。メルティちゃん、魔法もやばくてさ。もう、魔女って感じよ」

「そりゃ誉め言葉じゃねぇだろ」

「いや、俺が新たに作ることにするんだ。魔女っ娘っていう言葉をな!!」

「……どっかで既に使われてるだろ、どうせ。……で、どこがやばいんだよ、熱々トロトロ煮込み鳥頭」


「その子の魔法が、よくわからないんだ」

「はぁ??」

「いや、まじだってば。強化魔法使って岩粉砕したと思ったら、炎の玉を氷漬けにして。最大魔法出力を図ろうとしたらあたり一面闇に飲まれるわ、先生の魔法を素手でほいほい止めるわ……逆に何ができないんですかって聞きたい。筆記試験も独り言すごかったらしいけど満点らしいからな」

「どうせカンニングだろ」

「お前……あんな清楚な子がカンニングするわけねぇだろ。しかも試験中に他の奴と頭ん中で交信できない限り、あの空間じゃ無理だろ、チートなんて」

「それは本当に人間なのかよ」

「だから実は魔族の王女なんじゃないかって噂ってわけよ」

「いや飛躍度よ」

「だってそうだろ。魔法かっこいい。体力もある。なのに見た目幼くて可愛らしい。これが揃ってプリンセスじゃないはずがあろうか、いや、ない!!」

「声でけぇよ、ロリコン熱々トロトロ煮込み鳥頭」

「そっちも変なあだ名つけんなよ、キノコぼこぼこ木製錆びタワシ」

「お前が始めたんだろ、このバツ百ナンパロリコン熱々トロトロ煮込み鳥頭が!」

「―――ー」

「―――ー」



 その男子たちの席から少し離れた所に、腕を組んで構えていたキツネは満足顔で頷くのだった。







次回更新は8/8(木)だーよ

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