10.勇者達の冒険の始まり
□南都『ウヌファスト』の広場にて
その日の南都は他国からも沢山の人が
集まっており、お祭り騒ぎだった。
広場では大規模な式典が行われている。
ウヌファストを統括する
貴族や領主、商業組合の有力商人達。
穂波達が前日に出会った
魔法アカデミーの校長も揃って、
勇者達に激励の言葉をかけ、送り出す。
街の子どもからお年寄りまで、
皆が旗を振り、声を上げて勇者達に
声援を送った。
門の外には100人程の兵士達と、
勇者が最初に目指す聖域『オラコール』
から迎えに来た、数人の聖騎士が
待ち構えていた。
開かれた大きな西門の前に、
勇者一行は立つ。
アクト
「いよいよだね、みんな・・・」
バーグ
「そんなに力むなよアクト。
今から緊張してたら最後までもたねぇぞ?」
イノス
「バーグの言う通り。我々も一緒です」
フォロア
「アナタは勇者なんだから、
胸張って歩けばいいのよ!
もし男共が役に立たなくても、
このアタシがいるんだから!!」
バーグはやれやれといった様子で
フォロアを覗き、イノスは苦笑いする。
アクト
「フフッ・・・ありがとうみんな。
それじゃあ行こうか」
勇者達は横一列に並び、
始まりの一歩を踏み出した。
穂波
「「行きましょーう!!」」
ところが、何故かその中に
ニコニコ笑う穂波と何食わぬ顔の
ハチクの姿があった。
フォロア
「ってぇぇ!!!
なんでアンタ達がいんのよぉぉぉ!?」
フォロアが大声でツッコむ。
ハチク
「私達も『聖域』を目指してる。
どうせ行くなら、ついでに連れていって
もらおうと思ってな」
穂波
(聖域?)
穂波はハチクから「勇者達と話しをつけた」
とは聞いていたが、始めて聞く場所だった。
恐らくハチクがアクトと話した時に、
適当な理由を探り合わせたのだろう。
フォロア
「ハァ・・・あのねぇ!!
遊びじゃないのよ!!
なんでアナタ達の護衛までしなきゃならな…」
迷惑そうに声を荒げるフォロアに、
ハチクは落ち着けと言わんばかりに
話を遮る。
ハチク
「こんだけ大勢で行くんだ。
何もあんたらだけの世話になろうだなんて、
図々しい事を言うつもりはない。
自分達の身ぐらい自分達で守れる」
穂波
「そ、それに私達も何か出来る範囲で
お手伝いしますので!」
それでもフォロアは気に食わない様子で、
これには隣りの仲間もフォローしてくれた。
バーグ
「いいじゃないかフォロア。
なにも遠征に加わろうってわけじゃないんだ。
あんな辺境の平和な街に、女の子二人連れて
行くぐらい朝メシ前だろ?」
イノス
「そうですよ。
女性だけで旅するにはちょっと遠いですし。
我々だって、ただ運んでもらうだけ
なんですから...」
フォロア
「・・・私はただ、アクトが勇者だからって、
みんなにコキ使われるのが…」
すると今度は、見かねたアクトが
フォロアの肩にそっと手を置いて諭す。
アクト
「フォロア。心配してくれてありがとう。
でも、大丈夫だから。
今回は聖域まで騎士団が送ってくれるし。ね?」
フォロア
「・・・アクトがそう言うならなら
いいけど…」
少し気まずい雰囲気になってしまい、
申し訳なさそうな顔をする穂波。
アクトはそんな空気を払拭する為、
騎士団の隊長に声をかけて、
出発する事にした。




