残りの討伐債
先物取引の保証金をマテウスさんに送れたので、
まずはトムに休暇を出した。
これから行く場所はトムがいない方が
いいからな。
看板娘もトムが無事に戻ってきたので、
嬉しそうだった。
ほとんど我が家のようになった
宿屋の一室で、今まであったことを
思い出しながら寝てしまった。
翌日、お城で討伐債の売り上げを聞いてみると、
当初の勢いはどこへやら、金貨5万枚分が
売れ残りそうとのことだった。
傭兵を雇うにも、まだ討伐債が売れないのでは、
話にならないので、やっぱり俺が売って回ることにした。
そのためにトムに休暇を出したのだ。
ということで、王都立学校に向かう。
窓口で、社会科の教師を呼んでくれと頼むと、
社会科の教師は数人いると言う。
うーん。外見は体育教師という感じで、
課外で生徒たちに、街の経済活動を研究させている教師なんだが・・・
と言うと、ああ、と言って連れてきてくれた。
「こんにちは、先日はどうも。ユーキと申します。」と挨拶をする。
「ええと、何処かでお会いしましたっけ?」
すっかり忘れてしまったようだ。
トムと一緒にいたことや、
生徒たちに取り囲まれて危なかった話をすると、
思い出してくれた。
「少し話がしたいのですが・・・」
「では、こちらへどうぞ。」
社会科の準備室に案内された。
他の教師はいないようだ。
少し話をする。
やっぱり、この人は実践を重んじるタイプらしい。
そこで本題に入る。
「ギルドの履歴に興味はありませんか?」
「履歴?、ですか。」
そこでギルドの立て直し策として、
履歴管理を始めていること、
既にある程度の実績があることを
説明した。
「なるほど、それは興味ありますね。」
という訳で、交換条件として、
金貨5万枚分の討伐債を買ってくれないかという話をした。
「金貨5万枚ですか・・・私が決められる額ではないなあ・・・」
「そこをなんとか。」
「校長に話を通してみますので、少々待って頂いてもよろしいですか?」
暫く待っていると、社会科の教師が、校長を伴って戻ってきた。
「あなたが元勇者のユーキ殿ですな。話は大体聞かせてもらいました。」
「で、どうでしょうか?」
「我が校としても、討伐に貢献するのは良いことだと考えますよ。」
「ありがとうございます。」
頭を下げる俺を、校長が制止する。
「ただし、最近、卒業生の就職がなかなか決まらず困っておりましてな。」
なるほど、就職先としてギルドを開拓したいということかな。
このままメランさんだけでは困るだろうから、それは願ったりだな。
「ええ、我がギルドといたしましても、
王都立学校の優秀な生徒に働いていただきたいと考えております。」
その返答に満足したのか、校長がにっこり笑った。




