船旅
お城から出た俺は、トムと合流して、
まずは海洋都市アクアに向かう。
王都から海洋都市アクアへは
乗り合い馬車が出ていた。
ニーズがあるせいか、
物流が発達しているなあ。
人の行き来も多いせいか、
特に盗賊に襲われることもなく、
海洋都市アクアに着いた。
緑も多く、潮風が優しい港町だ。
ギルド経営に携わる者としては、
ここのギルドも見ていきたいが、
先を急ぐことにして、港に向かった。
隣国のアリタイ行きの船はたくさん出ていた。
特に貨物船でも構わなければ
金貨10枚と非常に安いし、便数も多い。
ただし、水食料は持ち込み必須で、
床に雑魚寝となる。
普通の旅客船だと便数は限られるが、
1人金貨100枚で、朝昼晩の飯は出るし、
相部屋だがベッドあり。
まあ、そこまで倹約することもなかろうということで、
普通の旅客船の切符を2枚買って、乗り込んだ。
トムは初めての船旅ということもあり、
相当はしゃいでいた。
俺は甲板に出て、行き来する船を数えていた。
ちょっと数えるだけでも、大型の帆船が
いくつも通りかかる。
そうしているうちに、夜になり、
船の中の食堂で夕食の時間となった。
さて、トムを探して夕ご飯を食べるかな、と
見回すと、トムがちゃっかり、同年代の女の子の対面に座り、
楽しそうに夕飯を食べていた。
あれあれ。
トムに話しかける。
「あれ、この女の子はどうしたんだ?」
「船の中で仲良くなったんだ。いいだろ。」
トムは全く隅に置けんなあ。
女の子は恭しく、挨拶をする。
「初めまして。コルネリアと申します。」
慌てて、こちらも挨拶をする。
「こちらこそ、初めまして。ユーキと申します。」
コルネリアの隣に座っていた紳士も挨拶してきた。
「私は、ルキウスと申します。貿易商をやっております。
ささ、立ったままというのもなんですから、こちらにどうぞ。」
と、トムの隣に座るように勧めてきたので、
遠慮なく座る。
ルキウスさんはコルネリアの父親かな。
それにしても貿易商か・・・それは丁度いい。
こちらも職業を名乗っておこう。
「私は、王様の命を受け、ギルドの立て直しをしております。」
「ああ、元勇者のユーキ殿ですね。お噂を聞いておりますよ。」
ああ、そうだよね。
隣国アリタイの使者を追い払っちゃったもんね。
それは知っているか・・・
気をとりなおして、夕食を始める。
ルキウスさんは意外と話し上手で、飽きさせない。
貿易の話も色々教えてもらった。
これで、隣国のアリタイに着いてから、
途方に暮れずに済みそうだ。




