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異世界でギルド経営  作者: materialism
10/47

城内での打ち合わせ

ギルドの立て直しを命じられた俺は、

メランさんと、お茶をしながら打ち合わせをしていた。


なにしろ、使者のおっさんよりも早く王様に

説明する必要があったから今日は何も

食べていなかったのだ。


流石は城内の食事ということなのか、

フレンチトーストは柔らかくしっとりで

バターにも蜂蜜にもよく合うし

紅茶の香りも上品で、主張し過ぎていない。

胃袋よりも心の方が満たされていく。


そして、目の前には

黒いドレスのメランさんが、

俺の資料に目を通しつつ、

長い髪をかきあげながら一緒に紅茶を

飲んでいるのだから堪らない。


メランさんは、よく見ると髪も瞳も漆黒と

言っていいほどに黒かった。

黒髪と白い肌のコントラストが美しい。

メガネも似合いそうだなあと見とれていると

「聞いていましたか。」と睨まれた。

何か説明をしてくれていたらしい。


「・・・」

「三度目はありませんからね。」

と念を押されながら、もう一度説明をしてもらう。


所詮、俺の資料は1日程度のギルドにいただけの

情報量しかないところを俺の想像力で補って

いるので、細かい部分では間違っている。


それはある程度予測はしていたのだが、

状況は俺の想像以上に厳しいことが

判明した。


まず、先ほどのプレゼンでは、必要経費として、

金貨10000枚ほど必要であるとしていたのだが、

財政難であるため、そんなに出せないとのこと。

そこまではいい。ある程度予測していた。


ただ、俺の方も、初めに貰った金貨100枚が、

既に60枚になっているので、生活資金が必要だ。

その旨を告げると、金貨1000枚を用意してくれるとのこと。


問題なのは、ギルドの掲示板の運用見直しだ。

ギルドの掲示板の管理を厳重にするというのが、

俺の再建策の骨子ではあるのだが、

それはやってみたことがあるのだと言う。


結果、締め付けが厳しくなった王都を嫌い、

大多数の冒険者が他の都市のギルドに移動してしまったとのこと。

そうなれば、冒険者相手に商売をしている宿屋、武器屋、薬屋など

からクレームが上がるのは想像に難くない。


そういう訳で、ギルドの掲示板のルールを

しっかり守らせず、現状を見守ることにして、

最近やっと冒険者たちが戻ってきたのが

現在の状態であるらしかった。


それでもお城のそばの宿屋なら

冒険者以外の需要もあるので、

良かったが、トムの家のように

中心街から離れた場所にある宿屋では

経営は大変だったのだろう。


少し考える方に気をとられていると、

また、睨まれた。はい。御褒美ですね。これは。


「まあ、私よりも妹のメリッサに聞いた方が早いわね。」

「その妹さんには何処に行けば会える?」

「メリッサはギルドの窓口をしているの。

本当はお城の会計補助をしていたのだけど、色々あってね。」


あの長い髪の女性はメランさんの妹だったのか。

確かに似ている訳だ。


「最後に1つ聞いていいかい?」

「なに?」

「そのドレスはずっと着ているのか?」


ええ、もう睨んでもくれず、ジーと真顔で見つめられてしまいましたよ。

それではギルドの窓口に行きますか。

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