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スライムスライム へなちょこ魔物使い  作者: 銀騎士
鉱山 採掘編

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148 エルダー ハイ ドラゴン 修修修


「……お前たちは逃げるんだっ!! こんなところまで追ってくるとはあんたも暇だな……」


 一番大きいドラゴンは仲間たちにそう言うと同時に、巨大な緑色のドラゴンに突進した。


 だが、巨大な緑色のドラゴンの尻尾の一撃をくらって吹っ飛んだ一番大きいドラゴンは、岩を何度も破壊しながら巨大な岩山に衝突してピクリとも動かなくなった。


「我を前にして挑んでくるとは見所がある。だが、お前たちは死ね!!」


 巨大な緑色のドラゴンは前脚を振り下ろし、前脚が直撃したドラゴンの身体は一撃で砕け散った。


 残ったドラゴンが恐怖に顔を歪めて後ずさるが、巨大な緑色のドラゴンは『炎のブレス』を吐いて、灼熱の炎に包まれたドラゴンは一瞬で燃え尽きて炭になった。


「こ、これでも上位種……エルダー ハイ ドラゴン……こ、攻撃力は三万超え……これじゃあ、ダーク ドラゴンより強いじゃん……」


(上位種なんか余裕って言っててごめんなさい……)


 『魔物解析』で巨大な緑色のドラゴンを視たシルルンの目の中に絶望の色がうつろう。


 うさポンはシルルンの首の後ろにしがみついていたが、エルダー ハイ ドラゴンを目の当たりにした恐怖で気絶し、シーラがうさポンを背に乗せて後退する。


 エンシェントはその種族で唯一無二の最強の個体だが、エルダーは高レベル且つ、古を生き抜いてきた魔物につく称号であり、この二つを満たしていたらどんな魔物にもエルダーの名は与えられる。


 そのため、高い戦闘力、豊富な知識と経験を併せ持つ恐ろしい個体なのだ。


「プリュ!! プリュリュリュ!!!」


 ドーラは怒りの形相でエルダー ハイ ドラゴンに突撃した。


「ほう、漆黒の個体……珍しいな……試してやる」


 ドーラの突撃に対してエルダー ハイ ドラゴンは尻尾を振るって迎撃した。


「ひぃいいいぃ!! ダメだドーラッ!!」


 シルルンは自身に『反逆』を発動して、ドーラを追いかける。


 結果、シルルンはドーラを背に庇えたが、尻尾の一撃を受けて激しく吹っ飛んで跪いた。


「がはっ!!」


 口から大量の血を吐いたシルルンは魔法の袋から緑色の果物を取り出して食いつき、シルルンの体力が回復する。


 彼がエルダー ハイ ドラゴンの尻尾の一撃を受けてこの程度で済んだ訳は、尻尾の一撃を『念力』で跳ね返そうと足掻き、そして、アダマンシールドで受けたからだが、そのアダマンシールドは一撃で拉げていた。


 口から大量の血を吐いたシルルンを目の当たりにしたドーラは、凄まじい速さでエルダー ハイ ドラゴンに目掛けて突撃した。


「プリュウウウウウウウウウウウウウウウゥゥ!!!」


 ドーラは突撃しながら咆哮して身体を巨大化させる。


「……ダメだドーラ……引き返せ……勝てるわけがない……」


 シルルンは思念で何度も「引き返せ」とドーラに命令した。


 だが、暴走したドーラにシルルンの声は届かなかった。


 シルルンは焦りの表情を浮かべて『魔物解析』でドーラを視る。


「怒りで攻撃力が上がってる!?」


(けどそれでも全く届かない……勝てる訳がない……いや、そうじゃない考えるんだ……考えるんだ!! 勝てなくていい……この場を逃げ切る方法を!!)


 シルルンは目を閉じて『超集中』で時を止めて逡巡する。


 そして、時が動き出したとき、シルルンの目は光で満ちていた。


 エルダー ハイ ドラゴンと同等の大きさまで巨大化したドーラは、怒りに顔を歪めて前脚の一撃を叩き込んだ。


「ほう、やはりダーク ドラゴンだったか……なかなかの一撃だ」


 ドーラの前脚の攻撃をエルダー ハイ ドラゴンは余裕で前脚で受け止める。


 激しい怒りで暴走したドーラの攻撃力は三千まで上がっており、『剛力』で六千、そして、シルルンの『反逆』により、一万二千という驚異的な数値まで跳ね上がっているが、それでもエルダー ハイ ドラゴンには遠く及ばなかった。


「ドーラ……少しの間だけ持ち堪えてくれ」


 シルルンは身を翻して、カティンとキルに視線を向けて『魔物融合』を試みる。


 眩い閃光に包まれたカティンとキルは、一瞬で融合が完了して一匹になった。


 そこには十メートルを超える漆黒のスタッグ ビートルが、青いオーラを纏っていた。


「我が名はアビス スタッグ ビートル。主よ何なりとご命令を」


「『剛力』を加味しても攻撃力は六千……これじゃあ届かない……」


 シルルンは即座に視線を青色と赤色のハイ ワイバーンに向けて『魔物融合』を試みる。


 眩い閃光に包まれた青色と赤色のハイ ワイバーンは、一瞬で融合が完了して一匹になった。


 そこには二十メートルまで巨大化した紫色のワイバーンが青いオーラを纏っていた。


「我が名はゲール ワイバーン。何なりとご命令を!!」


「『強力』を加味しても攻撃力は五千八百五十……これじゃあ届かない……だけど、そんなことは分かってる!!」


 シルルンは視線をアビス スタッグ ビートルとゲール ワイバーンに向けて『魔物融合』を試みた。


 だが、眩い閃光に包まれた二つの塊は、反発し合って一つにならなかった。


「がぁ……ぐっ……ぐぐっ……」


 顔のいたるところに青筋が浮かび上がったシルルンは、それでも『魔物融合』の出力を全開にして、力ずくで一つにしようと力を込めた。


「がはっ!?」


 シルルンは額の青筋から血が噴出し、口からも吐血して跪いた。


 一つになろうとしていた塊が、再び二つに分かれて眩い閃光が点滅して消えかけている。


「……な、なんでできないんだよ……できなきゃペットたちが死ぬんだよ!!」


 シルルンは憤怒の形相を浮かべて立ち上がり、再び『魔物融合』の出力を全開に、そして『超集中』も全開にして全力で力を込めた。


 眩い閃光が消えかけていた二つの塊は、再び輝きを取り戻して眩い閃光と七色の閃光が混ざり合い、二つの塊は一つになった。


 そこには三十メートルまで巨大化した紫色のドラゴンが青いオーラを纏っていた。


 紫色のドラゴンの頭部には漆黒の大顎が生えており、身体のあちこちに漆黒の棘が生えていた。


「クククッ、我が名はカイザー スタッグ ドラゴン。我が主よ……我の敵はどこだ?」


「おいおいおいおい、マジかよ!? なんだこのデカさは!?」


 ダイヤはカイザー スタッグ ドラゴンを見上げて絶句している。


「な、な、なんなのよさっきから!?」


 漆黒のペガサスは状況についていけずに驚き戸惑っている。


「あぁん? 一時的に魔物を融合できる『魔物融合』っていう能力だ。俺の本体が動きを止めたということはおそらく勝てるんじゃねぇか」


「『魔物融合』!? えっ!? 勝てる!? あのハイ ドラゴンに!?」


 漆黒のペガサスは放心状態に陥った。


「……攻撃力が一万七千超え!? いける!! いけるよ!! 敵はエルダー ハイ ドラゴンだよ!!」


 シルルンは言うと同時にカイザー スタッグ ドラゴンに『反逆』を発動した。


 これにより、カイザー スタッグ ドラゴンの攻撃力は跳ね上がり、軽く三万を超えた。


「クククッ、身体中から力が湧き出るようだ。これが主の力なのか……」


 カイザー スタッグ ドラゴンは不敵な笑みを浮かべていたが、エルダー ハイ ドラゴンに視線を向けると同時にその姿が消えた。


 次の瞬間、カイザー スタッグ ドラゴンは、エルダー ハイ ドラゴンの背後に出現し、エルダー ハイ ドラゴンの左前脚が宙に舞っていた。


「な、何が起きた!? なぜ我の左前脚が失われている!?」


 エルダー ハイ ドラゴンは左前脚から大量の血が噴出しており、それを目の当たりにしたドーラは面食らったような顔をした。


 彼は身体中から血を流しており、エルダー ハイ ドラゴンが本気なら、彼の命はすでに尽きていたのである。


「クククッ、まずは挨拶代わりに左前脚をもらった。次はどこを切断してほしい?」


「――っ!? いつの間に背後に!?」


 両者は弾かれたように対峙した。


「お前のような存在はこの我とて見たこともないな……」


「遊ぶなっ!! すぐに殺せ!!」


 シルルンは声を張り上げると同時に、ドーラに「すぐに戻れ」と思念を送りながら、魔法の袋から緑色の果物と雷撃の弓と水撃の弓を取り出した。


 ドーラは元の大きさに戻りながら飛行して、シルルンの胸に飛び込んだ。


「よく頑張ったね」


「プリュウ!! プリュウ!!」


 シルルンはドーラの頭を撫でながら、ドーラに緑色の果物を食べさせた。


 ドーラの体力は全快し、ドーラはとても嬉しそうだ。


「ドーラは下がって見てるといいよ。あとは僕ちゃんたちが片をつけるから」


 ドーラは頷いて後方に下がり、シルルンは超高速で戦いを繰り広げるカイザー スタッグ ドラゴンとエルダー ハイ ドラゴンに接近する。


「遊ぶなと言ってるだろ!! すぐに殺せっ!!」


(ぐっ……あまりに強くなり過ぎて僕ちゃんの命令に効力がない……)


 シルルンは手に持った水撃の弓と『念力』で操作した雷撃の弓で『十六連矢』を放ち、十六発の水弾と十六発の青白い稲妻が『弓術必中』により、全てエルダー ハイ ドラゴンに直撃し、その全てが『超集中』により、クリティカルしてエルダー ハイ ドラゴンは大ダメージを受け、さらに空から十六発の稲妻が降り注いだ。


「ぐっ、小癪な!? ヒール!!」


 エルダー ハイ ドラゴンはヒールの魔法を唱えて傷を回復するが、カイザー スタッグ ドラゴンに身体中を切り裂かれた傷は回復が追いついておらず、大幅に体力を減らしている。


「クククッ、我が主よ。この程度の者に何をそんなに怯えているのだ」


「いいから勝ってから言え!! すぐに殺すんだよ!!」


「クククッ、仕方あるまい……では我の全力をお見せしよう……」


 カイザー スタッグ ドラゴンは前傾姿勢をとって突撃しようとした瞬間、唐突に眩い閃光を発して身体が二つに分離し、その二つもさらに分離した。


「ぐっ、時間切れか……」


 シルルンは苦虫を噛み潰したような顔をした。


 『魔物融合』が解けて、バラけたカティンたちは意識を失ったまま地面に墜落した。


「ふははははははっ!? 惜しかったな!! お前の能力ちからがもう少し保てれば我を殺せたのになぁ!!」


「……」


 シルルンは反論せず、押し黙ったままだ。


「さてどうするつもりだ人族よ? またお前の能力ちからで魔物を強くするのか? だが、それをする時間を我は与えぬがなぁ!!」


 エルダー ハイ ドラゴンは『炎のブレス』を吐こうとしたが、その瞬間、エルダー ハイ ドラゴンが巨大な結界に包まれて動きを止めた。


「こ、この色の結界はっ!? お、お前はドラゴンテイマーなのかっ!?」


 エルダー ハイ ドラゴンの顔が驚愕に染まる。


「ふぅ、こうなる可能性も想定してたけど、さすがにこの結界を作り出すのはしんどい……」


 シルルンは自信に満ちた表情で言った。


 ドラゴンテイム。


 それはスライムテイムと同難度の技術であり、スライムテイムが技だとするとドラゴンテイムは力だと言われている。


 ドラゴンは通常種で全長十メートル。上位種で全長二十メートルもの巨体だ。


 そのため、テイムの結界でその巨大な身体を包み込むには、巨大な結界を作り出す出力ちからとドラコンの攻撃に耐えうる強度が必要不可欠なのである。


 この二つを併せ持つ者がドラゴンテイマーであり、その結界の色は金色なのだ。


 エルダー ハイ ドラゴンは激しい攻撃を繰り返し、金色の結界を破壊しようとしている。


「無駄だよ無駄……カイザー スタッグ ドラゴンと戦って消耗した体じゃ金色の結界は破れない」


 金色の結界を作り出したシルルンは消耗して肩で息をしており、ふらふらしている。


「……見事な結界だ。だが、結界に力を感じぬ。お前には我をテイムする力が足りんようだな……」


「勘違いするな……お前はいらないんだよ」


「くくくっ、戯言を……金色の結界といえど時間をかければ破壊できる。その時がお前の最後だ」


「その時間稼ぎのための金色の結界なんだよ!!」


「なんだとっ!?」


「消えろっ!!」


 シルルンは溜めていた力を解放して巨大な紫色の結界を金色の結界の上から被せた。


「ば、馬鹿なっ!? 多重結界だと!? しかもこれは退魔の結界!? うぎゃあああああああぁぁぁあぁああああぁぁあああ……」


 しかし、唐突に多重結界の中からエルダー ハイ ドラゴンの姿が消えた。


「――なっ!?」


 シルルンは振り返って驚愕した。


「……い、今のは危なかった……あと数秒遅ければ消滅していたところだった……」


 エルダー ハイ ドラゴンは声と表情を強張らせる。


「ど、どうやって結界の外に出たんだよ!?」


「くくくっ、テレポートの魔法だ。退魔の結界を破る方法は幾通りも存在するのだ」


「なっ!? テレポートの魔法は持ってなかっ……」


(『偽装』系の能力か……!? 持っていてもおかしくないのになんで想定できなかった……いにしえを生き抜いてきたエルダーの称号はさすがに伊達じゃない……)


 シルルンは悔しそうに固く唇を噛みしめた。


「我をここまで追い込んだ者は久しくいなかった……だが、それも終わりだ。お前が退魔の結界を放っても我はテレポートの魔法で回避するだけだからな……」


「ぐっ、もう勝つ手段が思い浮かばない……」


(……いや、考えるんだ……何か方法があるはずだ!! でもその答えが『魔物融合』と退魔の結界だったはずだ……それでも考えるんだ!! ……潜在能力の高いマーニャとペーガで『魔物融合』すれば勝てる可能性はある……だけどそれをする時間をどうする? エルダー ハイ ドラゴンは待っててくれない……やはり、勝てない……勝つ手段がないんだ……)


 シルルンは絶望感に打ちひしがれた。



 だったら諦めるのか?



 シルルンは自身の奥底から発せられた声にはっとなった。


「……僕ちゃんが諦めたらペットたちはどうなるんだ……?」


 シルルンは虚ろな目で呟いた。


(殺されるだけだ……だったら諦めない……諦めるはずがないだろっ!!)


 シルルンは意を決して魔法の袋からハイ ヘドロの剣を取り出して、自身に『反逆』を全開で使用し、さらに『反逆』を強化しようと『超集中』も全開で発動した。


 すると、シルルンは暗闇の中に立っていた。


「くくく、ついに出たか……我が血脈の中で真の『反逆』に目覚める者がっ!!」


 シルルンはそんな声が聞こえたような気がした。


 渦巻く激しい紫の炎に全身を焼かれたシルルンは一瞬で焼き尽くされ、シルルンの体は新生させる。


 我に返ったシルルンは目を開いた。


 彼は統率系、最上位のさらに上の能力である『叛逆』に目覚めたのだった。


 『叛逆』を発動したシルルンの身体は、紫色のオーラを纏っていた。


「お、お前……」


 ダイヤとザラはシルルンを見つめて絶句し、ペットたちの視線もシルルンに集中していた。


 彼らはシルルンの力が急激に跳ね上がったことを感じ取っていたのだ。


 ダイヤとザラは無言でシルルンの肩から跳び下りて、後退したのだった。 


「な、なんだその紫色のオーラはっ!? た、退魔の結界を取り込んだとでもいうのか!?」


「そうだとしたらどうする?」


 シルルンは意味深な笑みを浮かべている。


「ば、馬鹿なっ!? そ、そんなことはあり得んはずだ!!」


「主よ!! 今こそ俺を使う時だ!!」


 シルルンは魔法の袋の中から声が聞こえて、無意識に魔法の袋の中に手を入れて取り出した。


 すると、それは反逆の槍だった。


「待ちわびたぜ!! 主が俺の声に応じたということはやっと俺を手にする資格ちからに目覚めたんだな!!」


「……思念で会話ができることには驚いたけど、君は強い武器なのかい?」


 シルルンは怪訝な眼差しを反逆の槍に向けた。


「主よ……俺は最強だ!! だがそれは主が俺を使いこなせたらの話だけどな!!」


「最強と自負するのが気に入ったよ」


 ハイ ヘドロの剣を魔法の袋にしまったシルルンは、満足げな笑みを浮かべて反逆の槍を手にして構えた。


「き、奇怪なっ!? だが、我は惑わされぬ!!」


 エルダー ハイ ドラゴンは『炎のブレス』を吐き、灼熱の炎がシルルンに襲い掛かる。


 だが、シルルンは横に跳んで灼熱の炎を躱してから空高く跳躍して閃光になり、エルダー ハイ ドラゴンの『物理耐性』を貫通して胴体を突き抜けた。


 胴体から血が噴出したエルダー ハイ ドラゴンはただならぬ表情を浮かべている。


「――っ!? は、速いっ!? 我よりも速いというのか!?」


「主よ!! どうだ俺の威力は!!」


「気に入ったよ!!」


 シルルンは満足げな表情を浮かべている。


 反逆の槍は最高とされるアダマンタイトよりも硬度は上であり、あらゆる物理系の防御手段を破壊するのだ。


「パラライズ!!」


 エルダー ハイ ドラゴンは背後にいるシルルンに『捕縛』を放つと同時に、パラライズの魔法を唱えた。


 シルルンに『捕縛』は効かなかったが、黄色の風に貫かれたシルルンは麻痺して動けなくなる。


 エルダー ハイ ドラゴンは尻尾を斜め上から振り下ろすように振るい、シルルンは弾かれたように吹っ飛んで岩にぶつかって動きを止めた。


「がはっ!! 厄介な魔法だね……」


 麻痺から回復して立ち上がったシルルンは口から吐血したが、苦笑いを浮かべる。


「くくく、お前の弱点を見つけたぞ!! パラライズ!! ヒール!!」


 エルダー ハイ ドラゴンはパラライズの魔法を唱え、間髪容れずにヒールの魔法を唱えた。


 シルルンは黄色の風に貫かれ、エルダー ハイ ドラゴンの腹にあいた傷が塞がる。


「もう効かない!!」


 シルルンは『叛逆』により『魔法耐性』に目覚めており、パラライズの魔法を無効化し、閃光になってエルダー ハイ ドラゴンに目掛けて突撃する。


「そんな馬鹿なっ!? 『竜閃』!!」


 エルダー ハイ ドラゴンは『竜閃』を放ち、竜気を帯びた巨大な風の刃が凄まじい速さでシルルンに襲い掛かる。


「当たるかよっ!!」


 シルルンは紙一重で竜気を帯びた巨大な風の刃を躱して突き進む。


「躱しただと!? ならばこれをくらえっ!!」


 エルダー ハイ ドラゴンは『竜閃乱舞』を放ち、竜気を帯びた巨大な風の刃が無数に放たれる。


「なっ!? こんなの躱しようがない!?」


 シルルンの視界全てが竜気を帯びた巨大な風の刃に埋め尽くされており、『危険探知』が最大級の警鐘を鳴らして彼は死の予感が脳裏をかすめた。


(ま、負ける……でも、それじゃあ、ペットたちを護れない……護るにはここで死ぬわけにはいかないんだよっ!!)


「だったら突き破るっ!!」


 シルルンは決死の表情を浮かべて声を張り上げた。


「それだ主よ!! もっと気合を入れて叫べ!!」


「がぁあああああぁぁぁあああああああああぁぁ!!」


 シルルンは咆哮して空高く跳躍して閃光になって突き進み、シルルンの咆哮に呼応するように反逆の槍は一本だった穂が三本に増え、さらに五本になって口金の部分が高速回転し始める。


 それはまるでドリルのようだった。


 竜気を帯びた巨大な風の刃を反逆の槍で破壊して突き進んだシルルンは、そのままエルダー ハイ ドラゴンの腹をぶち抜いて背後に着地した。


「馬鹿なっ!? 我が竜気が破壊されただと!? あり得ん……あり得んことだっ!?」


 エルダー ハイ ドラゴンは雷に打たれたように顔色を変える。


 シルルンは再び空高く跳躍し、閃光になって加速する。


「ペットたちは……この命に代えても殺させないんだよっ!!」


 閃光と化したシルルンはエルダー ハイ ドラゴンの首元をぶち抜き、首が飛んだエルダー ハイ ドラゴンは、胴体から大量の血を噴出させて即死したのだった。


「マ、マジかよ……勝ちやがった……」


 ダイヤはなんとか言葉を発したが、ペットたちは目の前で起こったことが信じられずに放心状態に陥っていた。


「……とりあえず、ペガサス種の縄張りまで後退……あ、後は任せたよ」


 シルルンはペットたちに思念でそう告げると膝から崩れ落ち、そのまま意識を失ったのだった。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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ドラゴン レベル1 全長約10メートル

HP 3000

MP 400

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守備力 1000

素早さ 800

魔法 ファイヤボール スリープ エクスプロージョン

能力 炎のブレス 威圧 剛力 幻惑 咆哮 統率 物理軽減 魔法軽減



エルダー ハイ ドラゴン レベル88 全長約30メートル

HP 39000

MP 18000

攻撃力17000

守備力15000

素早さ14000

魔法 ファイヤボール スリープ エクスプロージョン アンチマジック パラライズ ヒール キュア ディスペル テレポート

能力 炎のブレス 威圧 剛力 幻惑 咆哮 統率 物理耐性 魔法耐性 能力耐性 痺れのブレス 竜閃 鉄壁 偽装 疾走 連続魔法 捕縛 竜閃乱舞


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― 新着の感想 ―
[一言] ペット達を守る為に戦うシルルンを見て 本当に、「ドラゴンの精神汚染?」が消えたんだな~と実感しました~ よかった、よかった。 あれ? まさか今度は「反逆」に汚染されるとか…な、ないよね…ね…
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