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La fille qui a été restreinte~拘束されし少女~

大陸ファーガリアの首都 ヴァ―カス

その中心地であるゼレスシス城の王の間


王の間には、この国の王である、ルーデビッヒ・ディリ・ファーガリアその人と、その息子であり王位継承権台一意であるクローデリザラグ・・ハリス・ゼレスシス

そして、宰相並びに各々の大臣が並ぶ


兵たちが室内や室外を警備し、呪術による強力な結界がはられているその場所に目がつぶれてしまうのではないかと心配するほどの強烈な光とガラスが砕けるような音ともに結界が、壊された。

厳重な警備の中、侵入者が現れたのだ。



「あなたがこの国の王で間違いないかしら?」


凛として澄んだ声が、少女の声が響く

まっすぐで聞きやすく、はきはきとした口調


目を覆っていた手を外してみる

閃光とともに侵入してきたのは年端もいかぬ少女だった。

ライムグリーンに琥珀色の瞳を持つ黒服の少女は、宮殿に突如として現れる

ライムグリーンの髪は長くさらさらとしている

指を通したら、水のように指の間から零れ落ちていくのだろう。

琥珀色の瞳には強い意志が宿っている

黒い背中の大きく開いた丈の短いドレスに、黒いバラの髪飾り

とても、王に謁見する者の服装とは思えなかった。

この国の子の時代の主な服装は肌の露出を少なくするものというわけではない。

丈の短い衣服や背中の大きく空いた衣服なども普通に着用されている

しかし、公的な場においては肌の露出を少なくしたものが推奨されている

王の間にいる女性は皆、肌の露出を最低限に抑えた見苦しくないもので気温に合わせたあつさの生地である


侵入者に、礼装をしろというのもおかしいかもしれないがそれほどまでに少女はこの場にふさわしくない服装であったのだ。

もし大きく開けられた背中から、黒い羽根が現れたら堕天使のような姿になりそうだった

実際この国には、有翼種は多数存在する。

記憶の中にある有翼種の情報と少女の要旨を比べてみるが、該当しそうな有翼種は思い当たらない

肌や髪、瞳の色、体つき そのどれもが、記憶の中にある有翼種の情報と異なる


結界が破られたことに対する混乱と閃光によるダメージを受けたものたちもすぐに復帰し、本来の仕事を行う


王の前に、現れた少女に近衛兵が捕縛の術を放つ

縄に刻まれた呪術式、鎖に刻まれた呪術式が、反応し少女を拘束する

縄や鎖はへびのように絡み付き、ありとあらゆる拘束により少女の動きを封じる

頭上からは猛獣を閉じ込める檻が少女を覆う

電撃が流れるこの檻は、侵入者捕縛の時によくつかわれるものだ

少女を捕縛した名和は刻まれた呪術式により個体情報を探っている

近衛兵の一人が持つ端末にその生態データーが贈られてくる仕組みだ


拘束し終えるまで、30秒もかからなかっただろう

それほどまでに、ここの兵は優秀な人材が集まっていた



少女は、つかまり身動きもとれず檻の中に閉じ込められ、周りに自信の味方もいないというのに堂々と言い放つ

拘束されたというのに特に何も反応をしなかった少女が、初めに起こした行動は声を上げて質問することだった。


「アナタが、地球人を捕まえ研究しそして殺せと命じた張本人で間違っていないかしら?そういうことが行われたことを知っているかしら?」


まずはじめに思ったのは、少女の言葉についての疑問ではなく、口をふさがなかったのか!というものだった。

兵たちが持っている、拘束具の中には、相手の声を封じるものは間違いなく入っているはずだ

呪術師が相手の場合、詠唱をさせないために口封じはまず最初にやることといっても過言ではないだろう

ふっと、直感的思い至る疑問

口をふさげなかったのではないか?というものだった。

兵たちが、放った拘束の呪術が無効化されているのではないだろうか。


「知っている。」


王は、短く答える

記憶の中から、少女の放った言葉に該当する事柄を思い出す

新たに見つかったものの住む惑星を研究するためにそこから知能の高い生物を連れ去り研究し、場合によって殺すことを、王がずいぶんと昔に命令したものだ

あの時は半信半疑であった

調査隊が見つけた、その惑星には独自の文化を持った住人が存在するというものだった


「そう、エルを…エスポワールという魔獣をあの船に幽閉し実験しろと命じたのはあなたで間違いないわよね?」


少女はやはり顔色一つ変えずに質問を続ける

少女の問いに対してしばらく逡巡した後 王は言う


「間違いないな。だがそれがどうかしたのか?」


少女が先ほど口にしたのは、魔獣エスポワールの名

その名をもちろん知っていた

この国の住人で知らないものはいないだろう

有名な逸話の登場人物であるのだから、親から聞かされることはまれなことではない

しかし、話を聞くと少女はこの国の住人ではなく、その惑星の住人

なぜ、ほかの惑星のものがこの惑星の魔獣の存在を知っているのだろう?


そして、この少女はなぜ神話の真実の内容を知っている?

魔獣エスポワールは勇者により殺されたことになっている

だが、実際は違うのだ

民の間で流れて信じられているような逸話や物語は真実とは異なる

勇者――――――祖先は、魔獣を倒せなかった

倒せなかった代わりに祖先たちは魔獣の持つ膨大な魔力を封じ、その力を利用することをたくらんだ

惑星と惑星を飛ぶ、宇宙船の中ひそかにその実験はこの国が創立して以来続けられている



まさか、宇宙人をこの目で見ることができ会話できるとは思ってもみなかったと場違いに思う


「えぇ、そのせいで私たち人間は実験材料として1万人近く死んだの。そして生き残ったのは、私だけ。ねぇ、王様。あなたは、地球という発見した新たな惑星をどうしたい?支配下に置く?滅ぼす?それとも和平を結び末永く付き合う?」


縛られていることを気にもせず、堂々と言う

その姿は、とても美しい

まるで、戦いの女神のように勇ましい



少女を捕縛する鎖が高圧電流をその身に流す

力なきもの《人種》ならば死んでしまうほどの威力で流される電流

《妖精種》や、《獣種》でも気絶するほどの威力

バチバチという音を立て一見したところ《人種》である少女を感電死させようとした発動された呪術式

紫電の光が少女を痛めつける。

悲鳴を上げずに気絶するか死ぬかと思われたその呪術式はきちんと発動したにもかかわらず少女は意識を保っていた。

少女の顔色は、やはり変わらない

立ち姿もふるまいも何も変わらない

少女のきていた衣服は、焼かれ、燃え尽きているのにその下にある肌には傷一つない

傷がつき再生した様子もなかった

もし、再生しているのだとしてもこの速さは異常以外の何物でもない


「はぁ、せっかくオシャレしたのに。それより、いきなり女の子を裸同然にするなんてこの国おかしいんじゃない?まざ、大事なところは見られてないし、いいけどね。再構築(リコンストラクション)


あまりにも短い呪文

聞いたことがない呪文


少女の衣服は少女の発した呪文にこたえ復元されていく

すべてが復元するまで要した時間はわずか5秒

詠唱を短縮した上にこのスピード恐るべきものだ



王の隣の席で座る王位継承権1位の王子である自分はこの少女に間違いなく見とれていた

その外見、自分たちに似ている《人型》

しかし彼女の耳も手も足も顔立ちも、自分たちとは微妙に違う


そして彼女が話す言語

この宮殿にかけられている翻訳時術のおかげで、理解できるがこの惑星のどの言語とも異なる


「おい、黙らんか。ここは、王の…」


隊長格の男が、少女にこれ以上しゃべらせないように怒鳴る

しかし、その声は先ほどの衣服復元の呪術の腕前のせいか隠し切れない動揺がある


「関係ないわよ。私の王様ではないもの。私はあの人の民でも何でもない。あの人の命令をあなたたち兵のように守る必要はないわ。それに、黙らなかったらどうするの?」


挑発。

どうして、この状況であんな軽口がたたける

自分の状況が理解できないほどに頭が悪いのか?

いや、そういうわけではない

これは、圧倒的なまでの自信

自分をここにいるものでは傷一つつけられないという自信


黒い服からのぞく四肢は、白くきめ細やかで美しく傷一つない

傷一つ追わずにこの宮殿に入ってこられたということだ。

この宮殿特に王や王子のいる場所にはかなり強烈な結界が張られている

それに、許可なきものが無理に入ろうとすればやけどを負ったり感電死するはず。いったいどうやって侵入したというのだ。

しかし、目の前にいる少女は傷一つない


息をのむ


この少女はかなり強い

其れこそ王国の1個騎士団くらい軽々伸してしまうほど

相当な呪術の腕前であることも先ほどの衣服復元の呪術で分かっているのだ


王よ。父上よ。気が付け。この少女を殺そうとしたら最後こちらが殺されるということに!



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