Vague de l'infraction~百鬼夜行~ -1-
そいつらはあらわれる
罪を犯した能力者を始末するため
深い霧が、あらわれるとき罪を犯した者は恐怖する
彼らが現れる予兆だから。
自分が壊される予兆だから、恐怖する
逃げても逃げ切れない
彼らは、たとえ地の果てでも罪人を追う
地獄の果てまで追い詰める
また、絶望の淵に立たされたものが彼らに出会ったとき
彼らに、すくわれる
それは、悪におそれられ、善人におそれられ、絶望にあえぐものに欲せられる存在
リーダーは、長い銀髪に金色の目をした青年
彼の後ろにつき従うように、列をなすもの
あるものは異形の手足を持ち、またあるものは、この世のものともいえぬ美しさをまとい
彼の後ろにつく
彼らは、そのうち畏怖と敬意をもってこう呼べれるようになった
――――――百鬼夜行
初老に入りかけた男は叫んでいた
追い詰められていたのだ
彼は罪人
法律ではさばけぬ罪を犯した罪人
能力所の存在信じているものも知っているものもまたそうである者も圧倒的に少ないこの世の中
しずかに、たしかに
能力犯罪が発生していた
初老に入りかけた男の名は、斉藤 五郎 といった
斉藤五郎は能力者だった
その能力は、洗脳
自分の目を見たものを洗脳する力
これには、いくつかの条件があった
一日に3回しか使えないのだ
また、30秒以上自分と目を合わせないといけない
斉藤 五郎はこの力を使って、人殺しや犯罪を命じた
自分の手を一切使わない犯罪
実行犯と斉藤五郎の関係はほぼ皆無
道であったものを、路地裏に連れ込み無理やり目を開けさせ洗脳するのだ
斉藤五郎は、世界が嫌いだった
太陽が消えたというのにいつもどうり普通に生活する人間にむかついたのだ
普通に暮らそうと皆努力していることも気が付かずただこの男は自分一人置いて行かれた気がしたのだ
壊してやろうと思ったのだ
このどうしようもなく腐りきった人間で埋め尽くされた世界
腐りきった人間を殺してやるっ
しかし、自分の手を汚す勇気はなかった
そんなと気にこの力に目覚めた
洗脳されたものたちが突如刃物を振り回し、人間を殺しまわった時にはこうスカッとした
洗脳された幼い子供が、愛していたはずの両親を殺したとき、この力は愛よりも上回る力だと確信した。
アイが何よりも強いなど幻想だということが証明されたのだ
わたしは、神に選ばれた
腐った人間を処刑するために・・・
ああ、これで世界はましにある
斉藤五郎のほうが、腐っている人間だということに気が付かないまま
罪もない人間をいけにえに彼の新世界に対する報復はつづく・・・・そうさっきまでは、続いていたのだ。
斉藤五郎は逃げていた
追われていたのだ
誰におわれているのかわからない
警察ではないだろう
サイレンの音も声も喧噪も何もしない
いつの間にか人気がないところまで逃げてきた
なぜ逃げているのかわからない
自分お腹に後ろめたさなどないはず
あるとしたら本能的な恐怖によって逃げているのだろう
ライオンに追われている追うなそんな気配が迫りくる
紫雲の隙間からザクロのように赤月が顔を出す
「てめぇ、やっちゃあならないことをやったってわかってねぇだろう。力におぼれたなっ。」
吐き捨てるように燃えるような赤い髪の男は言い放つ
その男がいつからいたのかわからない
自分が、いつこの男の前に来たのかもわからない
「これは、私の力だ。私が使いたいように使って何が悪い」
力ーーー洗脳の力
夜の闇に光る金色の瞳が男を軽蔑するように見る
「わりぃ―――よ。人さまに迷惑かけてるし、やっちゃってるしな…イロイロ」
イロイロには、彼がやった数々の犯罪が含まれているのだろう
殺人
放火
それから強姦
「私あは神の力を手にしたんだ。神に選ばれたんだ。だから、何をしても私は許される特別な存在」
声を張り上げるように言う
そう、この力を持つ自分は特別
だから、何をしても許される
自己暗示のように心の中で繰り返す
「はぁ、神の力ねぇ~あきれた。声がどんな代物じゃわかってなぇな。これはな、選ばれたわけじゃねぇよ。むしろ、呪いじゃねぇのか。」
「呪い・・・?」
呪いだと・・・この崇高なる力が、そんなものであるはずがない
「ふん。みんなそういうけど、神なんているわけ?」
赤い髪の男は神などひとかけらも信じていないという目をしている
そして、憐れむようにこちらを見る
「いるっ。私は選ばれたのだからな」
こちらのすべてを見下すような男の態度は無性に腹が立った
すると男の後ろから突然濃厚なプレッシャーに似た何かを放つ存在が現れた




