表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/81

Propulsepour réveiller ~覚醒する力~ -3ー

それから、僕たちは零無さんの入院する病院に向かった

慣れた足取りで廊下を歩く久遠

そのあとを追いかける



毎日来ているようだ

さびしいのかな?

さびしいという、そぶりは少しも見せないけれど、ずっとそばにいて一緒にいた人と離れて暮らしているのだから・・


羽矢と矢的の両親は海外で、働いている

毎年夏休みと正月にはかえってくるけれどほとんど離れている


羽矢の誕生日は7月の終わり、矢的の誕生日は1月のはじめだ。

両親は二人の誕生日を祝うために帰ってきているともいえる

毎年大量の誕生日プレゼントとお土産を持ってサンタクロースみたいに帰ってくる


病院の入口に入る


両親が、海外で働くようになったのは羽矢が中学校に入学した後すぐだった

その前にもよく海外に出張していたけれど多くても1カ月で帰ってきた

そのあいだも押さない羽矢にはとても悲しくさびしかった

今も時々そう思う


学校の事業参観とか・・・


後ろを向いても両親はいない

仕方がないとわかっていても求めてしまうのだ

だから、いまの久遠のさびしい気持ちはわかると思う


エレベータのボタンを押し、待つ


昔はよく久遠を羨んだりもした

家に帰ってただ今といえば優しい零無さんのお帰りなさいという声がする

お母さんのつくったご飯を食べ、今日会ったことを楽しそうに話す久遠が羨ましく思った


羽矢は、だから一時期久遠を突き放すようにした

離れていないと何かとんでもないことを口走ってしまいそうだったからだ


中学に入って、愛称で呼ぶのを禁止したのは、照れくさいという気持ちもあったが距離を置きたかったのだ

中学に入ってめったに羽矢はあえなくなったのに久遠はいつも親と一緒にいるから、ずるく思えたのだ

それでも週に数回、にいさんが仕事が遅くなるときとか零無さんに電話をしているみたいで家で夕飯食べていきなさいっていう。

だから、学校でいくら突き放して久遠とは違う友人関係を持ってもこうやって顔を合わせる


エレベータに乗り、久遠がボタンを押す


4月、5月はずっとそんな感じぎくしゃくしていた

久遠は相変わらずだったけど、羽矢のほうが距離をとっていたのだ


だけど、6月になって思った

スーパーに買い物に行ったときに目に入った文字

父の日

久遠は父親の存在を知らずに育った

羽矢も久遠の父親がどんな人か知らない

零無さんが何も話さない

写真の一つもない


「幼稚園のときお父さんの絵をかきましょう」って先生に言われて困っていた

結局、羽矢のお父さんを書いたんだっけ・・・

久遠の一番身近でお父さんなる人物が羽矢の父親しか思い浮かばなかったからだとか…


羨むか・・・・

親と一緒に暮らすことを羨む・・・

そんな気持ちで久遠につらく当たっていた自分が急に恥ずかしい存在に思えた

久遠は一度もねたんだり羨んだりしなかった

一度もそんなことで羽矢につらく当たらなかった


エレベータが零無さんが入院する階に止まる

エレベータを出て目的の病室に向かう



つらく当たったことを謝ると…

(羽矢派の両親が謝らなきゃいけないことしたら誠心誠意謝りなさいと教育した賜物)

久遠はつらく当たった羽矢のことを一度も責めずに、「初めからないものと、はじめはあって失うものだったら後ろの方が悲しいしつらいよね。」と、言って許したのだ


それから、久遠に優しくなった気がする



零無さんの病室の前にたどり着く


「羽矢、さっきのこと気にして考えてる?」


ずっと黙り込んで思い出に浸っていた羽矢

久遠には、羽矢が さっきの力について悩んでいるように見えたのだろう


「気にしていないといえばうそになるけど・・・久遠はこんなわけのわからない力を持っている僕でも受け入れてくれたから…まぁ、なるようになるかなぁって思っているよ。」


普通は驚いてさけたりすると思う

なのに、久遠は「あれの影響かしら?」

そういうだけで、怖がったり忌み嫌ったりしていない

羽矢よりも羽矢の力を受け入れているようにも思える


「うん。ならいいや。安心して、私が一緒にその力調べて、特訓してあげる」


きらきらした目で宣言された

久遠の興味対象の上位にランクインしたんだろうな・・・

まぁ、羽矢自身もこれについて少しでも多く知りたかった


「入ろう」

「あぁ」


ガラガラ

ドアを開ける

白い壁 白いベット

白い服を着た零無さん


「いらっしゃい。久遠。羽矢君もありがとう」

「あの、花もってきたよ。きれいでしょ。」

そういって花を掲げる

「まぁ、きれいなお花。ありがとう。」

「それ、羽矢が選んでくれたのよ。」


今、零無さんが持っている花束は、羽矢が選んだ花で構成されていた


「私、花瓶にお水入れてくるから待ってて」

そういって、来たばかりなのに花瓶を持って部屋を出ていく


「あのこったら・・・ふふふ」

「あの、零無さん。体そんなに悪かったんですか?」


ずっとききたかった質問


「そんなには悪くないわよ。手術して体の中の悪いものとってもらうだけですもの。」


ほほえみを浮かべながら返された答えは、あいまいだった

零無さんは、肝心なことや知られたくないことをいつもそのほほえみでごまかす

きっっと質問を変えてみてもダメだろう


「早く、戻ってきてくださいね。零無さんお夕飯食べれないのは悲しいですからっ」

「あら、頑張りがいがあるわ。あの子も料理上手よ。」


「久遠自分のお弁当頑張って作ってますよ。朝早く起きて、がんばってます」

「親のありがたみわかってくれたかしら・・・」

「ええ、きっともう十分意味に染みてると思いますよ。師匠は、あまり何もしませんから・・・」


零無さんは、大きなため息をついた

「ハルカ、私の行ったこと守ってないわね・・・後でお仕置きしないとね。」

「あはは。僕がバシたこと師匠に内緒にしてくださいね」

「わかってるわ。それよりどんなのがいいかしら、たこ焼きの中にもっさりわさびを入れる罰ゲームてきなのか、それともハルカの分だけピーマンたくさん入れるとか」


真剣に悩み始めてる

たこ焼きの中にわさびって・・・・羽矢は、零無さんを敵に回すと料理が罰ゲーム化することをこの時初めて知った


「ただいまぁ。」

久遠が戻ってきた。

タップリ水が入った花瓶に花を活けていく


それから今日会ったことについて話す

学校や部活のこと、テレビの話題

零無さんは、病院の中であった人の話をした

それを聞いて楽しそうに笑いあう



面会時間ぎりぎりまで3人は笑いあい話し合っていた

誤字脱字があったため、書き直しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ