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婚約破棄だそうなので私は闇落ちした王子の下へ行きます。どうぞ勝手に破滅してください  作者: クレキュリオ


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エピローグ 幸せへの羽ばたき

 王位継承レースから、数か月後。

 今日はセド王子が、王位を継ぐ日である。

 同時に大切な行事と、とても大事なものがある日でもある。


「本当に……。私なんかで良かったんですか?」


 レイアは白いドレスを着ながら、緊張していた。

 自分は下級貴族。相手は王族。格差があり過ぎると思った。


「なんでダメだと思うんだ?」

「だって……。絶対大勢に反対されたでしょ?」

「ああ。されたな。でも、俺の道を決めるのは、俺自身だ」


 王子も白いスーツに身を包んでいる。

 レイアの手を引きながら、中庭の見える自室へ向かう。


「それを教えてくれたのは、レイア。君だろ?」

「そう……。でしたね」


 王子はカーテンの開いた窓を、大きく開けた。

 ベランダに出て、中庭に集まった人々に手を上げる。


「皆! 今日は私の即位式と結婚式に集まってくれて、ありがとう!」


 セド王子はレースの後、レイアと婚約を交わした。

 

「俺は一度、責任から逃げ出した。国を導くという、責務から」


 レイアの肩に手を置きながら、王子は演説を続ける。


「だが彼女が教えてくれたんだ! 立ち向かう事の勇気と、本当の強さを!」


 レイアは今、とても幸せの気分だった。

 最初の婚約はスポンサーの為に行ったものだった。

 互いの事を思い合って、結婚できるとは思っていなかった。


「そしてこれより、王として最初の責務を果たす!」


 兵士達がベランダに、縛ったコンドを連れてきた。

 彼の悪事は洗いざらい、調べられた。

 その断罪を、新たな王に委ねると判断された。


「コンド。俺はお前を絶対に許さない」


 コンドの悪事の中には、王子の暗殺も含まれていた。

 母と従者を奪った事を、セド王子は決して許さないだろう。


「死んで終わらすなど許さない。お前は監獄島で、永久に暮らすんだ」


 監獄島は凶悪犯を閉じ込める、孤島だ。

 周囲が海で囲まれているため、脱獄することは不可能。


「レイア……! これで終わったと思うなよ……!」


 縛られながらも、強い憎悪を向けるコンド。

 彼の力があれば、監獄島の囚人をまとめかねない。

 それでも王子が罪状を決定した理由はあった。


「残念ながら、その復讐は永遠に果たせない」

「なんだと?」

「今からお前の記憶を消去する。お前は自分が何者すら分からぬまま、永遠に監獄島で暮らす」


 王子の言葉を聞いて、コンドは青ざめた。

 それはこの国で最も重たい裁きだ。

 

「監獄島にはお前に利用された者達も居る。精々仲良く暮らすんだな」

「待ってくれ! 何の証拠があってそんな……」

「ドアが洗いざらい吐いた。罪を軽くする条件をあっさり飲んでな」


 必死で逃れようとするコンドを、衛兵が拘束する。


「どうだ? 利用しようとしたものに、復讐される気持ちは?」

「ドアぁ……! 絶対に許さんぞ!」

「その感情も消される。連れていけ」


 兵士達がコンドを処刑上に連れていく。

 彼は記憶を消されて、そのまま監獄島に閉じ込められる。


「最初の仕事は終わりだ! これよりパーティを開催する! 皆、楽しんでくれ!」


 セド王子……。セド王はそう告げると、自室に戻った。

 ベッドの脇に座ると、ふぅっと息を吐く。


「演説って言うのも大変だな。父上の苦労が少し分かったよ」

「これから、沢山あるんですから。慣れておかないと」


 レイアが傍で彼を支える。


「不安ですか?」

「いいや。大丈夫さ。君と一緒なら……」


 王子は魔道具を取り出した。


「でも次の演説の前に、ひとっ走りして良いか?」

「もう! しょうがないですね。ちょっとだけですよ!」


 レイアは仮想空間を作り出した。

 セド王は魔道レースの熱中を思い出していた。

 選手として出る事はもうないが。偶にレイアの練習を手伝っている。


「コイツにも、報告しないとな……」


 セド王は魔道具に語り掛けた。

 彼を勇気づけてくれた、大切な相棒に。

 自分達の結婚を発表する。


「それじゃあ、早速走りますか!」

「ああ。そうだ。レイア。次のレースも、頑張れよ」

「ええ! 貴方をガッカリさせたくないですから!」


 レイアとセド王は、手を繋ぎながら走り出した。

 コースを前に進むだけではない。

 未来へと向かって、彼らは駆けだしたのだ。

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