俺はみんなの方を振り返った
俺はみんなの方を振り返った。
「終わったな。山を下るか?!」
「自分、うちらを囮にしたちゅうわけやね!!」
「信じられない!! なんか、鉄のイバラが向こうの方に行ったと思ったんだけど、もし、貝櫓が失敗していたら……、もし、ドラゴンの知覚が視覚じゃなかったらどうなっていたと思うの?!」
「結果的にだけど、上手く云ってよかったよ。ほんとに」
「「「「そういう問題じゃない!!!!」」」」
そんなふうに責められながら、駐車場まで降りてきた。レンタカーのところに人混みができている。その人混みの中に花形さんがいた。向こうも俺を認めたみたいで、俺たちの方に駆けてきた。
「どうしたんですが?」
「ああっ、まだ知らないんですね? これを見て、あなたたちが出かけてから撮ったのよ。府庁の上空に円盤がいるの。こんなのが世界各地の大都市の上空に浮かんでいるのよ。どうやら、先日現れた惑星ニビルから飛んできた円盤みたいで、宇宙戦争でも始めるつもりかしら? いやな予感がして、あなたたちを呼びに来たの」
俺たちは花形さんから差し出された携帯モニターの画面を見た。
「でかっ?!っていうかでかすぎ!!」
「なんでこんなのが空を飛べるんだ?」
「なんか怖い」
みんな口々から言葉が出たが……、俺もその通りだと思う。想像を絶するでかさだ。非常識だけど、山が浮いてるとしか思えない。
「こんな風に八尾駐屯所からでも、見えるのよ。実際に測量したところ直系一キロの円盤型飛行艇だって、上空五千メートルのところに止まっているんだって。今、大阪近辺にある自衛隊基地や駐屯地は厳戒体制なの」
「確かに不気味ですよね。とても友好を築こうっていう感じじゃない。それで歓待式はどうなったんですか?」
「それは後で、とにかく車に乗って! 自衛隊が私たちを六甲まで案内してくれるそうよ」
俺の問いに、花形さんは、今度は携帯テレビを俺たちの見せてくれた。
テレビはニューヨークの国連ドームでのアヌンナキたちの歓待式が始まろうとしているタイミングだった。
七名の巨人アヌンナキたちと、国連は事務総長をはじめとする重鎮たちと、アメリカをはじめとする常任理事国および非常任理事国の国家元首かそれに次ぐ者たちが、集まっているようだ。
その中には、ニューヨーク在中、次期スメラミコトの長女とその婿がいた。日ノ本の貴賓としての出席らしいが……、この人は十年前に一般人になったはずなんだが、その他の人物も、昨日の今日で、よくこれだけのVIPが集まったものだ。それだけ、この事態を重く見ているんだろうけど……。
事務総長がアヌンナキたちに歓迎の言葉を発している。笑えるのが英語を日本語に通訳していることだ。
お・も・て・な・しとか云っているが、それがアヌンナキに通じるか?
アヌンナキは「エルドラドが消滅した。どこに隠した?! 誰が隠した!!」の一点張りだ。その計画をぶち壊したのが俺の先祖ということを俺たちは知っているが、この会場にいる人達は何のことか分からないだろう。
答えに詰まる国連側に、いよいよ、アヌンナキは激高した。
「お前たちサルじゃあ役に立たん。エルドラドとともに滅べ!! 新たに従順な奴隷を創生することにする!! ほむらはぜ!!!!」
そう叫ぶと同時に、掌から火の玉を撃ちだしたのだ。火の玉は爆発を起こし、交渉団は火だるまに……。それでも、何人ものSPが拳銃を抜いてアヌンナキに発砲したが……、アヌンナキの目前で、すべて弾は見えない壁に弾かれた。
「「のわきはぜ!! かまいたち!!」」
アヌンナキが腕を振ると爆風が吹き荒れ、ドーム内の人も物も壁や扉に吹っ飛び、風の刃に八つ裂きにされ、肉片が壁に張り付いた。
ここにいた人たちはみんな即死だ。あまりの惨劇にそうとしか思えなかった。
一部始終はテレビを通して、全世界に中継されていた。この会場でただ一人生き残っているカメラマンに向かってアヌンナキは親指を下に向けて言ったのだ。
「あまのいましめ(キル ゼム オール)!!」
その言葉を合図に、大都市上空に留まっていた円盤型母船の下部からまぶしい光の柱が大地に向かって降り注ぎ、その下にあった大都市は、直径2キロ以上にわたって地上の物は消滅した。
日本で犠牲になったのは、北海道、東京、大阪、名古屋そして福岡の大都市であった。
犠牲になったのはそれだけではない。円盤型母船の上部から鳥かごのようなものが現われ、そこから各属性のドラゴンが放たれた。さらに側壁部のハッチからはSFアニメで見るような大型のX翼型や小型のH翼型の戦闘機、それに大型のデルタ型の爆撃機が次々に飛び出して周りの都市を爆撃しだしたのだ。
ここまではテレビの中の出来事だ。




