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この神木は、千年以上前に雷が落ちたらしくて

「この神木は、千年以上前に雷が落ちたらしくて、それ以来、時が止まったようにここに立っとるんや。不気味な感じだから人はほとんど近寄らんな」


 吹戸の言ったことが、横の説明版に書かれていた。


「開戸妹、それで、あのクサビ型文字はなんて書いてあるんだ?」


「『$%#&」~#“‘&%#』かな? つまり、『神は竜を竹のクサビで封印した。竜の生命力の源にクサビを打ち込み、大地に縫い付けた。竜を畏れるならこの場所に近寄るな』かな」


「なるほど、ここにちょっかいを出したら竜が出てくるぞと脅しているのか? 改変か?歴史の勝者らしく……。どうしたら、今までみたいに次元融合空間に行けるんだ? 開戸さん」


「多分、この竹を引っこ抜いたらいいと思う」


 いや、簡単に答えたけど、今までのような次元融合空間の世界じゃなくて、この世の3次元、物理法則の問題だから……。


「先生ぇ~、チャチャとバールをぶち込んで、引っこ抜いてえな!!」


 根戸、気楽に云ってくれるな。このバールのサイズだと、本来抜けるのは5寸クギぐらいだぞ。俺は思わず、藁人形が刺さっていないか探してしまった。さすがにご神木に呪いの人形をぶち込むような不届き者はいないようだけど……。


(もし、俺が呪われたら一生責任とれよ!!)


声には出さないが、思い切り毒づいて、バールを振りかぶった。


 カッキィーーーーーーン!!!!


澄んだ金属音がする。うん、上等な備長竹炭、いやこの硬さはセラミックだ。


「くぉらぁ!!!! 鬼法なしでどうするのよ!! ふざけてるの?」


 背後から、黒いオーラを出した瀬戸さんが睨んでいた。別にふざけたわけでなく、ドラゴンが居なかったんで、鬼法を使うのを忘れていただけ……。


「もののふ!! つわもの!!」


 大和言葉で身体強化と超加速の魔法を掛ける。陽炎かげろうのようなオーラが俺の体から立ち昇る。景気づけに軍歌(公式)を流したスマホを俺に向けてくれる。


「勇気100倍!! あ~あっんパンチ!!」


 士気が上がって、思わず某アニメのセリフが?! 気合を込めバールを振りかぶり、今、まさに振り落とさんとした時、俺の鬼法を感知したように、天を割るような稲妻が俺たちに直撃しようと天から降って来た。


 ここで、こう来るか?! 封印の結界のセンサーに触れたとは思ったけど……。ならば、初披露を……。


「逆ねじ(クロスカウンター)!!!!」


 とばり、ひふせに続く、結界第三弾だ。衝撃を吸収したり受け流したりするのではなく、弾き返す鬼法だ。


 はた目にはすっぽ抜けたように見えるバールはブーメランのように回転しながら、上空で、稲妻と衝突し、稲妻を黒竹にはじき返した。


 稲妻を受けた竹は、落雷の轟音と竹が裂ける爆音とともに、巨大な漆黒のドラゴンを吐き出した。今まで見たドラゴンよりだいぶ大きい。全長二〇メートルはあるだろうか? しかし、稲妻に撃たれてボロボロになっているのは鱗がない羽だけだ。


 あの巨大な稲妻に耐性のあるウロコだとしたら、あのトカゲ野郎は金属性のドラゴンか? 属性としては最強だな?!


 ドラゴンはこちらに向かって急降下しながら、ブレスを吐いた。金属の光沢を持つイバラのようなものが、広がった網のように、俺たちを襲う。


「ひふせ!! 矢ふせ!! 刃ふせ!!」


 障壁を3つ展開する。だけど、3つの障壁は粉々に砕けた。


 しかし、想定通り。俺は障壁を展開し、ドラゴンの視界から消える。その間に俺は右手に冷気を左手に熱気を集める。


貝蜃かいやぐら!!!!」


 大和言葉を吐くと、俺は超加速で、漆黒のドラゴンに向かう。


「飛び浮石ふせき!!!!」


 次から次に飛び出す大和言葉。必殺技を大和言葉に言い換える発音を開戸妹に特訓してもらったのだ。


 空中に空気の塊を浮かせその上を高速で、イバラのような触手を躱しながらドラゴンに肉薄する。しかし、躱したイバラは俺には構わず、そのまま、ゼミ生に向かっているのだ。


 俺がドラゴンに一撃を入れる前に、イバラは瀬戸や開戸兄弟、吹戸そして根戸の体を四方から貫き……。


 いや、輪郭がわずかに揺れただけで、手ごたえが無い。


 ドラゴンの表情から余裕が消え、焦りが浮んだ。


 所詮、トカゲ野郎よ!! 俺から意識が外れたわずかな隙をついて、前転からドラゴンの脳天に踵落としを決めた。


 金龍神の神通力で治してもらった右足は、どこかのインフレバトル漫画と同様に、怪我をする前よりもずっと強化されているのだ。


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