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で、例のシュメール文字だと言われる

「で、例のシュメール文字だと言われるクサビ型文字はどこにあるんだ?」

「先生、その内側に……」


 瀬戸の返事に、俺は巨石の裏側を覗き込む。確かに描かれているが、岩に重なってほとんど見ることができない。しかも、いつ崩れるかも分からない雰囲気だ。なるほど、これじゃあ観光資源にはならないか。


「先生、クサビ型文字はある?」

 開戸妹の言葉に、隙間に突っ込んだ首を引き抜いた。


「ほとんど、岩が邪魔して読めない。もっとも、俺じゃ読めないんだけど……」

 俺が途方に暮れるしかない。


「岩をひっくり返せばいいよ」

「それが一番やな」

「お前ら気軽に言うなよ。歴史ある遺跡を壊せばなにを言われるか?」

「せっかくここまで来たのに? ひっくり返せばええやん。知らんけど」

「知らんのやったらいうな!!」

「見ている人もいないです。バレなきゃいいんですよ。ばれなきゃ」


 瀬戸、それは……、どこかで聞いたセリフだ。でも真理ではある。

見た目はすごい不安定なんだから。しかし、この字を読めるようにするには、隙間に入って押し広げるように倒さないと……、できるのか?


 そこで、俺はハタと手を打った。そして、巨石の間に入り込んで気合を入れる。


「つわもの!!(身体強化)」


 呟くと同時に、俺の細胞が原子レベルで再構成されるのが感じられる。前のときは切羽詰まっていたから、ここまで冷静に感じることはできなかったが。これが暗黒粒子の力……。


 そして、俺は巨石に手を当て、一気に両手を広げる。ほとんど重さを感じない。でも、ひっくり返って、ズシンと地面を振動させた衝撃はその重さを物語っている。


「これで、見えるようになった? 開戸さん」

「はい」


 開戸妹はそう答えて、巨石のクサビ文字の彫りをなぞりながら考え始めた。

「「&%$#=~|¥{‘%“!&}」かな。

 書いている内容は、「ここに神々は古代蛟龍を封印することを決した。大気を焼き尽くす古代蛟龍を死国に祓った後、秘術を使い封印した。誰も眠りを妨げるな。厄災が降りかかる」だって」


「あのニンスン王妃が探し求めたという古代蛟龍という言葉が出てきたけど……、あまりに抽象的で意味が分からないな? 瀬戸さん、なんとかならないか?」


「どうでしょう、水が関係していれば、何とかなるかも」

 そう言って、瀬戸はクサビ型文字に手の平を這わせた。


「ラッキーです。ここって、大昔は供養塔みたいに扱われていたみたいで、時々水を掛けられていたようです。一番はっきりしている記録は、最後にやって来て水を掛け祈りを捧げた巫女ですね。


「再びこの大地に天から神が現れる。だけどその神は神を偽装するもの。この地に略奪が溢れ、すべての人に世の終わりが訪れる。それを逃れたいのなら、海からやってくる異国の民に協力して魔物と戦い、古代蛟龍を蘇らせよ!!」


でも、そう告げた女の子は、エセ予言者として巫女の位をはく奪され、その後この場も神事を行う場所ではなくなったようです。そこから残留思念は無いですから」


 考古学の場合は地層がすべてだが、伝承や昔話となると……。しかも、開戸妹のクサビ形文字と瀬戸のサイコメトリーした内容は真逆のような気がする。まだ俺が整理できていないのに、吹戸の関西弁が気に障る。推理小説でよくある決めゼリフが……。


「なんや、そういうことやったんか!!」

「吹戸、何が分かったんだ?」

「古代蛟龍は人類の敵。天から現れた神も敵ちゅうこっちゃ」


 うん。それだと俺たちに味方はいないということだね。開戸兄、ここは突っ込んでいいところですか? いや、念のために背中に仕込んだバールを抜いた方がいいですか?


「吹戸、もう少しまともな推理が出来ないのか?」

「なんや。まともな推理ちゅうのを聞かせてえな」


「よし、まずこの巨石遺跡はクサビ型文字が刻まれた内容は古代の伝承だと思われる。瀬戸さんがサイコメトリーした巫女は世界が滅亡を避けるために、異国の者と共闘しろって内容で、クサビ型文字の伝承を否定している。


そして、現実は、俺たちが襲われたように、ギルガメッシュたちを含めこの集落全体が襲われた。結果的に共闘してドラゴンを退けたんだろうけど……」


 ああっ、ここまで言って、何となく頭の中が整理されてきた。それに気付いた根戸さんが声を掛けてきた。


「どうしたん? 歯切れが悪いけど?」

「いや、瀬戸さんは魔物と言っただろ。でも、実際に襲ってきたのはドラゴンだ」

「それがどないしたん?」


「ドラゴンって云うのは日ノ本では竜のことだよな。文献をみれば間違いないと思う。これはアヌンナキたちが考えたミスリードってやつじゃないか?」


「そっやな、ドラゴンを暴れさせて、古代蛟龍も悪者にするんや。神代の伝承も古代蛟龍は畏れられ、この地に封印されているもんな」


「そうだよ。西洋だと竜は悪魔の使い、人間と敵対するもので一貫している。でも、日ノ本じゃ両方の考え方があるよな。これって、世界中であの竜が暴れ回ったんだよ。そして、竜は日ノ本でも暴れ回ったけど、それ以前は龍を神として祀っていたんだ」

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