64 鑑定様は本当に頭のいいお方
鑑定様マジパねえわ。
表示された一覧には、私が取得可能なスキルが、必要なポイント数とともに載っている。
私の今のポイントは200。
必要な最低ポイントは100なので、100ポイントのスキルを2個か、200ポイントのスキルを1個獲得できる。
まあ、それはいい。
ここで重要なのは、鑑定結果に未習得のスキルが表示されたってことだ。
表示さえされてしまえば、二重鑑定ができる。
つまり、私はスキルを取得せずに、未習得のスキルの効果を鑑定で調べることができるのだ!
素晴らしい!
この機能を使えば、有用なスキルを探し当てることができるし、前みたいに使えるかどうかビクビクしながら取得する必要もなくなる。
それに、わざわざスキルポイントを支払わなくても、場合によっては熟練度稼ぎで習得できそうなスキルも見つけられる。
未習得のスキルの幅が一気に広がった。
というわけで、とりあえず一覧に表示されてるスキルを片っ端から鑑定していこうじゃありませんか。
《熟練度が一定に達しました。スキル『過食LV5』が『過食LV6』になりました》
鑑定しつつ食事を続けてたら、また過食のスキルレベルが上がった。
それでもまだ猿はいっぱい残ってるし、私の腹もまだ限界は遠そう。
すげーな私の腹。
異次元腹の称号とかないかしら?
ふう。
素晴らしいね。
今表示されてるのだけでもスキル図鑑が作れそうだわ。
300ポイントまで貯めたらもっと増えないかな?
多分増えるよね。
けど、そこまでいくのにレベル上げるのがなー。
今回は猿との死闘でアホみたいにレベル上がったけど、普通はこんなに一気に上がることなんてないしねー。
けど、ポイントを消費しちゃったら、いま表示されてるスキルも表示されなくなっちゃうわけだ。
それは困る。
けど、いいスキルがあったら取りたい。
なんというジレンマ。
どうしよう。
スキルを取るか、そのままにしてポイントを温存するか。
くぅ、悩む。
すでに表示されてるスキルは鑑定を終えている。
その中でも、いくつか気になるスキルがあった。
『魔力感知:魔力を感知できるようになる』
『魔力操作:魔力を操作できるようになる』
この2つ、もしかして、魔法使うのに必要なんじゃない?
いかにもそれっぽいし、この2つが並んで表示されてるのにも作為を感じる。
多分、2つセットで効果を発揮するタイプのスキルだ。
ちょうど200ポイントで2つとも取得できる。
けど、大問題がある。
実は、私は既に魔力感知を持ってる。
探知の中に。
そう、探知のスキルの中には魔力感知も含まれてる。
ということは、魔力感知を単体で取得したとしても、探知に統合される可能性があるわけなのだよ。
それはいただけない。
というか、そうなったら、私は一生魔法を使えなくなるかもしれない。
探知を発動させることはできないし、そうなると魔力感知も発動できない。
私の予想通り、この2つのスキルがセットで魔法の発動に必要なスキルなのだとしたら、詰んだかもしれない。
え、なにこの悪質なバグ?
イヤイヤ。
そうと決まったわけじゃまだない。
きっといつか魔法も使えるようになるよ。
そう、だから、この件は保留にしておこう。
探知を使えるようにする可能性があるスキルも、なくはない。
けど、それこそ本当に使えるようになるのか怪しいし、貴重なスキルポイントをこれ以上無駄になるかもしれないことにつぎ込みたくない。
ここは、やっぱり効果がはっきりしていて、それでいてすぐ使えるスキルがいい。
前にスキルポイントで取ることを検討していた毒爪は、もうその上位互換の毒攻撃を持っているからいらない。
SP消費緩和、これはあって損はないけど、過食がある今、優先度はそこまで高くないかな。
というか、HP自動回復も熟練度で自然に取得できたし、SP消費緩和もそのうち取れるかもしれない。
とまあ、悩んでるフリしてるけど、実はもう目をつけてるスキルは決まってる。
あとは、スキルを取るか、ポイントを温存するか、その選択をするだけだったりする。
それほどまでに、そのスキルは他とは一線を画していた。
いろんな意味で。
『傲慢(100):神へと至らんとするn%の力。取得する経験値と熟練度が大幅に上昇し、各能力成長値が上昇する。また、Wのシステムを凌駕し、MA領域への干渉権を得る』
意味がわからん。
説明文の意味も、何でこんなスキルがたかが100ポイントで取得できるのかも。
n%、W、MA領域と、とりあえず意味不明な単語を鑑定してみたけど、結果は全部『鑑定不能』。
説明文でかろうじてわかるのは、このスキルが経験値と熟練度を増やす効果があるのと、成長に補正が掛かるらしいということのみ。
それだけでも破格の性能だ。
正直、どうしようか迷う。
こんなわけのわからないスキル、危険すぎる。
どんなデメリットがあるのか、わかったもんじゃない。
けど、それを考えても、メリットが大きい。
経験値と熟練度を増加させてくれるスキルは、他には見当たらない。
成長補正は、どれだけの効果があるのかわからないけど、あるのとないのとじゃ、大違いだ。
ホント、どうしよう。