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28 食べる食べる食べる

 進化したせいで空近くになったスタミナを回復させるべく、ひたすら食べる。

 まずは残っていた蛇から。

 あれだけ食べきるのに苦労していた蛇の残りが、ペロリとあっさり私の腹の中に収まる。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『毒耐性LV6』が『毒耐性LV7』になりました》


 ちょうど蛇を食べ終わるあたりで、毒耐性のスキルがレベルアップした。

 この蛇のおかげで毒耐性が2レベルも上がった。

 ウマウマ。


 進化前ならこんだけ食べればお腹がパンパンに膨れてたはずだけど、食べた端から異空間に消えてんのか、ていうくらい不自然なほどお腹は膨れない。

 本当に食べたものが全部消えていってるみたいだ。

 それと反比例して赤の総スタミナゲージがグングン回復してるけど。

 うーん。

 この世界に来てからというもの、結構不思議現象には色々と遭遇してきたけど、今の私のお腹の中が一番不思議かもしれない。

 どうなってんだこれ?


 まあ、深く考えても仕方ないよね。

 ここはそういう世界って割り切らなきゃ。

 そういう不思議現象の解明は学者にでも任せておきましょ。

 

 というわけで、蛇を食べきっても私のお腹は膨れていない。

 膨れていないし、満足もできていない。

 赤の総スタミナゲージも満タンには程遠い。

 

 幸いなことに、今ホームの中には魔物の死骸が山になっている。

 進化前までどうやって食べきろうか悩んでいたくらいの量がある。

 さすがにこれだけの量があれば、この異次元腹も満足してくれるに違いない。


 というわけで、いただきます。

 食べる。

 食べる。

 食べる。

 ひたすら食べる。

 うむ、前世では私かなり食が細い方だったんだけど、今世は食いしん坊キャラでいけるな。

 今ならどんなフードファイターにも負ける気がしないぜ!


 いや、マジで私の腹はどうなってんだ?

 明らかに私の体の体積以上のもの食べてるのに、まだまだ入るぞ?

 本当の本気で腹が異次元に繋がってるんじゃないよね?

 考えても仕方ないって分かってはいるんだけど、やっぱ自分の体のこととなると気になる。

 気になっても答えがわからないのがこう、ムズムズするというかなんというか。

 ダー!

 考えない!

 今は何も考えず、無心で食べ続けるんだ!


 食べる。

 食べる。

 食べる。

 食べ、あ、もう何も残ってないや。

 ハエ?

 私、あんだけあった食料全部食べたのか?

 …食べたんだよな。

 何も残ってないもんな。

 マジかー。

 まだ腹八分目くらいなんだけど。

 赤の総スタミナゲージもそんくらいだし。

 こんだけ食べても腹一杯にならないのかー。


 まさかこの先ずっとこんな感じじゃないよね?

 進化のせいでエネルギー使い尽くしちゃってる今回が特別なだけだよね?

 でないと、私そっこう餓死する自信があるんだけど。

 それは困る。

 めっちゃ困る。

 まさかねー、そんなことないよねー、ないよね?

 もしそうだったら進化とかとんでもない地雷なんですけど。


 いや、よく考えると、そうじゃなくても進化って割りと地雷じゃないか?

 気を失うし、エネルギーほぼ空になるし。

 どんくらいの時間気を失ってたのかわかんないけど、その間は無防備になるってことでしょ。

 私はホームの中にいたから全然問題なかったけど、他の魔物からしたら、進化って結構命懸けなんじゃないか?

 私ってつくづく運がいいな。


 それに、進化に成功しても、その後エネルギーが尽きかけっていうのもやばい。

 私みたいに備蓄がなかったら、エネルギーがなくてヘロヘロの状態で獲物を求めて狩りに行かなきゃいけないわけだし。

 そんな状態だと下手すりゃ返り討ちに遭うんじゃないか?

 私ってつくづく運がいいな。

 こういうのって、主人公補正とかご都合主義とかいうのかな?

 まあ、蜘蛛が主人公なわけないけどね。

 運の良さに胡座をかけるほど、今までの蜘蛛生は平穏無事ってわけじゃなかったしね。


 もし次の進化が同じレベル10で起きるんだとしたら、レベル9あたりになった時点で準備しておいたほうがいいかもしれないなー。

 今回は本当にたまたま万全の状態で進化することができたけど、普通は何の準備もなくこんな上手くはいかないだろうし。

 あー、ホント、あの蛇を仕留めることができてよかったー。

 あの蛇がいなかったら私、ホーム作ってこんな食料溜め込むこともしてなかっただろうし。

 蛇様ありがとう!


 さて、ある程度回復したけど、私の腹はまだ満たされてない。

 食料を全部消化しきった今、このホームにいる理由もない。

 脱ヒッキーここになる!

 というわけで、お世話になったこのホームを引き払ってまた当てのない旅に出発しよう。


 ありがとう第二のマイホーム。

 本当はただの仮宿のつもりだったけど、思わぬところで結構長居してしまったよ。

 さらばだ!


 意気揚々と出発する。

 とりあえず、まずは腹を満たすために獲物をみつけよう。

 そのあとは、まあ、いつも通り当てもなく彷徨うことになるけど、できればダンジョンの出口を目指したいところ。

 

 次の進化があるとしたら、私の体は大きくなると思う。

 見た目全く変わってない今回の進化ですら、こんだけの影響が出てるんだし、懸念してた進化直後に巨大化、ってパターンもありえなくはない。

 そうなると、この今いる通路じゃ、大きさ的にちょっと不安。

 できればもっと大きな通路に出ておきたい。

 一番いいのはやっぱり外に出るってことだと思う。

 下手にダンジョンの中ででかくなっちゃうと、出口が小さかった場合、外に出られなくなるって可能性もあるし。

 さすがに一生このダンジョンの中で生活っていうのはやだしなー。

 

 うん。

 まあ、とにかく今は獲物を探そう。

 話はそれからだ。

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― 新着の感想 ―
 この世界の魔物って……、うんこするのか?  もしも、しないのであれば、食べたものをすべてエネルギーに変換していることになるのだが……。
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