プロローグ
始まりますが、前のような毎日更新ではありません。あしからず
「……姉さん」
俺は、管理者から姉がある任務へ任命されたと知り、出立する前に施設内を走り回って、その姿を見つけると荒い息のまま声をかけた。
「おっす、イレヴン。どうしたの?」
「やっぱり……この任務はおかしい。“釜”が必要なのは解ってる。けど、わざわざ【魔王】の懐に在る時に潜入するのは、おかしいじゃないか!」
今思えば、この発言も【シャナズ】の立場を解っていなかった子供の言葉だったんだ。
「イレヴン。【シャナズ】と【魔王】間の力関係は絶望的な差がある。もし【神王】が現在機能していないって【魔王】側に漏れたら、それこそ抑止力となる“存在”が必要だ」
「でも……オネストも、シールも、ロビンも、皆この任務を受けて帰って来ない! 【魔王】を出し抜くなんて……無理だよ! やっぱり俺、デオス博士に言って―――」
「ダメだよ、それは」
「なんで!」
「疑うべきじゃない。きっと、そう感じることが出来るのは、イレヴンの持つ……かけがえのない特性だよ」
「姉さんは……」
「ん?」
「姉さんは気づかないの!? おかしいよ……こんなの! 俺は……俺達は、駒なんかじゃない! 俺達だって、苦しいし……悲しい。なんで……ソレを持つ事をしないんだよ!」
「イレヴン……君は変えられるよ。『スケアクロウ』の中に在る、唯一の可能性だ。君なら、ずっとずっと先に進めるハズだ」
「姉さん……」
「君は『進むべき者』で居続けるんだ。おれは……『残るべき者』にもなれない。けれど……それでも、可愛い弟と妹の糧に成れるならこれ以上の幸福は無いんだ」
「待って! 姉さん!」
「もう時間だ。ラーモを護ってあげてね。それじゃ」
「…………ずっと、死に場所を探していた」
俺は告げる。終わりの瞬間を悟ったその時に―――
大切なモノと向かい合う資格も無い。このままでいい。このまま―――終わりにしよう。
それは、まだ子供だった俺達が……見ることができた――最後の“夢”だった。
お前の中で親がその子を食べ、子がその親を食べるようなことが起こる。わたしはお前に対して裁きを行い、残っている者をすべてあらゆる方向に散らせてしまう。
※エゼキエル書 第5章10節より抜粋




