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IRREGULAR'S HISTORIA  作者: 古河新後
第2部 Artificial life スケアクロウ
23/56

プロローグ

始まりますが、前のような毎日更新ではありません。あしからず

 「……姉さん」


 俺は、管理者から姉がある任務へ任命されたと知り、出立する前に施設内を走り回って、その姿を見つけると荒い息のまま声をかけた。


 「おっす、イレヴン。どうしたの?」

 「やっぱり……この任務はおかしい。“釜”が必要なのは解ってる。けど、わざわざ【魔王】の懐に在る時に潜入するのは、おかしいじゃないか!」


 今思えば、この発言も【シャナズ】の立場を解っていなかった子供の言葉だったんだ。


 「イレヴン。【シャナズ】と【魔王】間の力関係は絶望的な差がある。もし【神王】が現在機能していないって【魔王】側に漏れたら、それこそ抑止力となる“存在(もの)”が必要だ」

 「でも……オネストも、シールも、ロビンも、皆この任務を受けて帰って来ない! 【魔王】を出し抜くなんて……無理だよ! やっぱり俺、デオス博士に言って―――」

 「ダメだよ、それは」

 「なんで!」

 「疑うべきじゃない。きっと、そう感じることが出来るのは、イレヴンの持つ……かけがえのない特性だよ」

 「姉さんは……」

 「ん?」

 「姉さんは気づかないの!? おかしいよ……こんなの! 俺は……俺達は、駒なんかじゃない! 俺達だって、苦しいし……悲しい。なんで……ソレを持つ事をしないんだよ!」

 「イレヴン……君は変えられるよ。『スケアクロウ』の中に在る、唯一の可能性だ。君なら、ずっとずっと先に進めるハズだ」

 「姉さん……」

 「君は『進むべき者』で居続けるんだ。おれは……『残るべき者』にもなれない。けれど……それでも、可愛い弟と妹の糧に成れるならこれ以上の幸福は無いんだ」

 「待って! 姉さん!」

 「もう時間だ。ラーモを護ってあげてね。それじゃ」





 「…………ずっと、死に場所を探していた」


 俺は告げる。終わりの瞬間を悟ったその時に―――

 大切なモノと向かい合う資格も無い。このままでいい。このまま―――終わりにしよう。





 それは、まだ子供だった俺達が……見ることができた――最後の“夢”だった。

 お前の中で親がその子を食べ、子がその親を食べるようなことが起こる。わたしはお前に対して裁きを行い、残っている者をすべてあらゆる方向に散らせてしまう。

 ※エゼキエル書 第5章10節より抜粋

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