2022年5月29日 5時00分
「ぎゃふん!」
人生初めての走馬灯を体験していたら、上から美雪が居なくなっていた。
見渡すと1メートル横で美雪が転がっている。
「優人!」
どうやら美由が美雪を突き飛ばしたようだ。手にはどこから手に入れたか、鉄パイプを持っている。
「痛ってぇ...。」
美雪がよろよろと立ち上がり、額を抑える。
頭からは血を流している。
「滝内の彼女、営業部じゃねぇのか。」
美雪は手に、スパナを持って攻撃姿勢を取る。
電工ナイフは落としてしまったらしい。
「美由!気をつけろ!そいつ強いぞ!」
美雪に目を向けたまま美由は応答する。
「大丈夫。私の方が強い。」
「はぁぁぁあ!!」
美雪が美由に飛び掛かる。
美由は軽くいなして、鉄パイプで美雪の手を叩く。スパナが宙を舞った。
「歯がたたねぇ...。歯が立たないよ滝内...。頼もしい彼女を手に入れたねぇ。」
美雪は痛めた右手を左手で押さえながら距離を取る。
「他のSGももうじき来るわ!大人しく投稿しなさい!」
「ふふふ...。それはどうかな。」
美雪は胸ポケットからおもむろに笛を取り出す。
「まずい!美由!離れるんだ!」
ピィィィイイーー!
甲高い音が鳴った後、静寂が訪れる。
「な、何?!」
突然バサッバサッと音がして、目の前に雷獣が舞い降りてきた。
前に襲われたやつより大型だ。
「カ!カテゴリー3!?初めて見た...。」
「私のバディ、長良川よ。可愛いでしょう?」
美雪が愛おしそうに雷獣を撫でる。
クゥーンと言って、雷獣が目を細めた。
犬みたいだなと俺は思った。
「よしよし...。ん?命令?...えっ?...本部に...?。じゃあこのまま....?うん...分かった了解。」
美雪がぶつぶつと呟いている。
「私が居なくなるなら、滝内が死ぬ理由は無いわ。命拾いしたね。」
雷獣の背中に跨りながら、美雪は俺に話しかける。
どうやらこれに乗って何処かへ行くらしい。
「あんたの推理痺れたわ。また何処かで会おうね!」
バサッバサッと1人と1匹は宙に舞い上がる。
「逃すか...!」
美由が鉄パイプを振りかぶる。
「よせ!同期なんだ!」
俺は手で美雪の鉄パイプを抑える。
「松永社長に今日付で退職するって言っといてね!」
そう言い残し、美雪は空に消えていった。




