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碧城学園奮闘記(仮)  作者: 朝比奈 黎兎
憂鬱な球技大会
14/15

1-2


 球技大会まで2週間。それまでの期間、体育の授業は球技大会の練習になり、放課後も練習がある。


 いくら控えとして参加するという形で登録した理麻であっても、体育の授業での練習は必ず1回は試合に出なければならないし、チームの連携目的で放課後の練習もそれなりに参加しなければならなかった。


 元々理麻の体力はそれほど多くはない。試合にはそれほど出る予定ではないのだが、それでもパス練習など人数合わせのために練習に参加することはある。


 今日は体育館の指定練習日の日だった。バスケットコートが3面ほどあるうちの1面を使い、現在理麻のクラスのチームはミニゲームをしていた。


(なんで……あんなに、動けるんだろ……)


 それをコートの外に体育座りをして、見学する理麻がいた。


 連日の疲れのせいだろうか、ミニゲーム前の軽いウォーミングアップの時に立ちくらみがした。それを玲治に見つかり、即座に今日は帰れと言われたのだ。しかし、一応理麻も練習に参加する気はあるのだ。途中で帰るのは嫌だと言い張り、こうして見学をしているのだ。


「あっれー?ここにサボりちゃんがいるね」

「え?」


 頭上から影が差したと思ったら、そんな声が聞こえてきた。それも間近から。突然の出来事に理麻は驚きを隠せず、素早く顔をそちらに向けた。こんな体調でなかったら、飛び上がっていたかもしれない。


 かがみ込み座り込んでいる理麻に、視線を合わせるような姿勢の生徒がいた。この学園の副会長――――遠藤歩である。しかし理麻は彼が副会長であることを知らない。食堂で会ったといえば会っているのだが、会話をしたわけでもないため、理麻に覚えはない。


 (誰、この人っ……、先輩?ど、どうしよ……玲治いま、試合してるし……)


「ま、会長には告げ口しないけどね。……わざわざうちのボス売りに行くような真似できないし」

「え……」

「んーん、こっちの話」


 正確には理麻の『え……』は、会長という言葉に反応したものなのだが、歩は自身のつぶやきをごまかすような返事をした。


 あの食堂での一見以来、理麻の中で生徒会長=怖い人という図式が成り立っていた。そのため、先ほど歩の言葉で彼もまた会長の仲間で、なにかしに来たのではないかと、警戒心を抱き始めていた。


「あ、あの……」

「ん?……あ、そうか。ここじゃ初対面か。なんか今更自己紹介ってのも、変な感じするなぁ。ま、しょうがないか。俺は遠藤歩、こう見えて生徒会副会長やってまーす。よくサボって会長に説教という名の暴力振るわれてまーす、よろしくね、篠宮理麻くん」

「え、あ……はい、って、なんで僕の名前……」

「えぇー、俺前に食堂で一応君に会ってるんだけど。まぁあの怖―い会長のインパクト強かったかもしれないけどさー。そこで確か一緒に食べてた子が、篠宮くんの名前言ってたんだよ」


 そこまで話を聞いて、そういえば会長の後ろにいたうちの一人に似た人がいるのを思い出した。顔に出ていたのか、歩は思い出してくれたんだねーと、にこやかに笑った。


「副会長さん、何か、用事ですか?」

「んー、見回りだよ。体育館とグラウンドの指定練習にそれぞれ決められたクラスが使用しているかどうかの確認ね。たまに1年の練習日を3年が無理やり使用してる――――なんてこともあるからね。そういうのを取り締まるのが、生徒会の仕事なんだよ」


 ほらといって理麻に見せたのは、バインダーにはさまれた体育館・グラウンド指定練習仕様クラス名簿というプリントだった。表のようになっていて、各クラスと日付が書かれている。そして確認欄という場所には『おっけー☆』と大きく書かれていた。絶対にそんな表記の仕方を推奨してはいないだろうことは、理麻にもわかった。


そんな書類を出した歩は、もちろん会長から鉄拳制裁を食らいます。

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