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LOST DIVINITA`=AFTER*THA:REIN❛S  作者: 白雪
第一章 旅立ち
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Ⅰ,日常

 ――遥か遠き昔に、女神が生誕したという。

 彼(か)の女神は生あるもの、生なきものを等しく慈しみ、やがてひとつの大地を創造した。

 女神の涙は癒しの大湖に、女神の抱擁は天地を分かち、女神の歌声は奇跡を。

慈悲深き女神に感銘を受けた使徒は、いつしか【人間】として産声を上げ始めた。

 そして、己の生きる大地にこう名付けたとされている。


「『我らが讃(たた)える約束の大地、エヴァレガーデン』!」

 誰もが知る神話を無邪気にそう締めくくった、詩吟遊人にしてはあまりに元気の良すぎる少女の声はどこか微笑ましく、街の往来を行き交う人々を和ませる。

「こら、アイラ」

 しかし、すぐそばで聞いていたレインは呆れ顔で、すぐさま妹の頭を軽く小突いた。

 アイラはすっかり拗ねて、じとりとした目つきで兄に抗議する。

「いたっ! もう、なにするの。お兄ちゃん」

「それはオレのセリフだ。いつも言ってるし、言われてるだろ。大声で読み聞かせするな。目立つし、あとうるさい」

「なっ! ひどい!」

 ムキになったアイラが喧嘩腰に反論しかけた頃合いに、束ね髪を横に流した女性が鍛冶屋からやって来る。レインはそれに気づいて、アイラへの小言をぴたりとやめた。

「母さん! 聞いて、またお兄ちゃんがあたしに怒ったの」

「と、言ってるけど。実際はまた騒いで、レインに注意されただけよね。アイラ」

 胸に飛び込んで甘えてきた娘を抱きしめながら、母であるフィキサは柔く言い当てる。

「うっ⋯⋯」

 一転して、アイラはきまり悪そうに顔を苦くした。その様子に苦笑して、フィキサの手はやさしくアイラの跳ね毛を撫でた。

「もう、相変わらずなんだから。この子は」

「起きてもう大丈夫なのか、母さん」

「ええ。今日は調子がいいのよ、だから、そんな顔しないで」

 レインの心配を笑顔で返したフィキサは、あ、となにかを思い出したように目を細めた。

 どこか、なんとなく嫌な予感がした。

「そういえば、いま街の広場に踊り子が来ているらしいの。よかったら、ふたりとも見に行ってきなさい」

「え! なにそれ!? すごく見たい!」

 踊り子、という言葉に真っ先に目を輝かせたのは、案の定というべきか、やはりアイラだった。

(つまり、『連れて行ってあげて』、と⋯⋯)

 興味津々といまにも身を乗り出して、飛び出して行きそうなアイラに手を引かれながら、言葉の意図を理解したレインは、母の機嫌の良さそうな笑顔に息を吐いた。

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