精霊
シルヴィアから呪具を取り除いて数日後。洞窟周りの散策から帰ってきたらシルヴィアのお腹の上にふわふわの白い妖精のようなものがちょこんと座っていた。
歓喜の妖精に雰囲気が似ている小さな存在がわたしの帰宅に気が付いた。
「おおー、待ってたで!今日は帰りが遅いな思ってたわ!」
儚げな見た目と裏腹にガハハと笑いながら話しかけてくる。ギャップが激しい。
「ええと、どなたでしょうか……」
「うちのことわからんの!?ここ一週間ずっと一緒に居ったのに……。まあええわ!うちは冬の精霊、シェレヴィル!なんやかんやでこの小僧の中に閉じ込められてた精霊さんや!よろしゅうな!!」
「閉じ込められてた?」
「そうそう!自分、黄色いピカピカの石取り除いてくれたやろ?あれのせいで小僧の中に気が遠くなる時間閉じ込められとったんや!ほんまに助かったわ!」
詳しく聞けばシルヴィアがシェレヴィルを閉じ込めるための器、そして彼らが分離しないように縛り付ける役目があったのがあの呪具だったそうな。
「ずーっと昔。とあるニンゲンの国でなあ、死をもたらす冬を遠ざけたい言うた王様がおってな。冬の精霊みんな集めて閉じ込めてしまったんや。そんで、その器がこの小僧や。別の国から亜人だのなんだの言うて攫ってきたらしくてな。おかげさまで閉じ込められたうちらがくっついてもて上位の存在になってまったんやが。それに気が付いたニンゲン達がピカピカの石持って来てうちらが逃げられないように更にぐるぐるに縛りつけたんや!」
「悪魔憑きの呪具ではなかったのですか?」
「元々はあんな呪いついてなかったな。小僧がウチらを追い出そうとしたのとうちらが全員くっついてまうまで大暴れしたから付いたんちゃう?知らんけど。」
「えぇ……?」
要は不明である。
「そういえば、うちが外に出れたからそのうち小僧は目を覚ますで」
やっと起きるそうだ。
シルヴィアが目覚める前にシェレヴィルを本に記録したいと頼んだら記録どころか同期してくれた。おかげさまで冬の精霊と名乗る彼の詳しい情報を読むことができた。
『夢遊の精霊・シェレヴィル』
冬の精霊の集合体。夜と死を司る闇の精霊の長である。
雪のように白い頭髪に黒曜石のような黒く艶のある肌を持つ。身に纏う白い衣は彼の心を深く投影している。
儚げな見た目とは違い、少々気性が荒い。
対象を一時的に失明させたり幻覚を見せることができる。昏睡させることもある。
身に纏う衣は蝋で出来ている。それは彼の意思が反映され、武器にも鎧にもなるので遭遇した場合には刺激しないようその場を離れる事を推奨する。
羽から採取できる鱗粉には幻覚作用があり、取り扱いには注意が必要である。
身に纏う衣からは強い睡眠作用のある蝋が採取できる。これも取り扱いには注意が必要である。
『要はちょー強いっちゅーことやで!(^_-)』
……落書きまでされている。
シェレヴィルのイメージは雄の雪虫です。ふわふわ。




