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不器用な怪異たちシリーズ  作者: 瀬戸 陽子


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【本編】Ep.20 孤高な九尾の狐

強大な妖気を持つ九尾が、ある夜ふと無防備な姿に戻ってしまう。

孤高の妖狐が、仲間たちに囲まれて少しだけ心を揺らすお話です。


とある夜。

なぎの寝息が、静かな部屋にゆっくり広がる。

月明かりがカーテン越しに淡く揺れ、

空気の粒が静かに光を返していた。


そのとき——

九尾の強大な妖気の圧が、ぷつりと糸が切れるように霧散した。


光が小さく弾け、

ぽふっ、と柔らかな音が畳に落ちる。


残ったのは、

ふわふわの小さな狐。


金色の毛が月明かりを淡く受け、

影がちいさく揺れた。


九尾(心の声):

(まずい……!

 この姿は……無防備すぎる……!

 誰にも……見られたく……)


座敷童子&呪いの人形:

「……かわいい」


そして、部屋の隅で光がちらちらと踊る。

神様の気配が、ふわりと揺れた。


どうやら“ちょっとだけ盛って”くれたらしい。


座敷童子は無言で近づき、

そっと抱き上げた。


もふっ。


九尾:

「っ……!?

 ちょ、なぜ……!」


呪いの人形:

「ちょっ、ずるい!……じゃなくて

何をやってるの!危ないから今すぐ離して!」


座敷童子:

「ふわふわ……あったかい……」


九尾:

「わ、我は千年の妖狐ぞ……!

 そのように扱うな!!」


呪いの人形:

「…大丈夫…なの?」


座敷童子は、きょとん、とした顔で呪いの人形を見たが、

すぐに

小さな狐となった九尾のしっぽをじっと見つめる。


座敷童子:

「しっぽ、もふっていい?」


九尾:

「だ、だめだっ!!」


座敷童子:

「……ちょっとだけ」


もふっ。


座敷童子がしっぽに触れた瞬間、

畳の影が一瞬だけ九つに増える。


九尾(内心):

(~~~~っっ!!

 な、なぜだ……!

 なぜ何も起きぬ……!

 昔なら……触れられただけで……)


呪いの人形:

「…なんで…

やっぱり弱ってる…?」


九尾(小声):

「……弱ってなどおらぬ!

……だが…し、仕方ない……

 ただし……他には絶対言うな……!」


座敷童子:

「うん。かわいいのは内緒にするね」


神様の光がそっと揺れ、

部屋全体にふんわりと温かい気配が広がる。


誰にも見えないけれど、

“かわいいバズ演出”は確かに完了していた。


九尾:

「かわ……っ!?

 も、もう知らん!!」


しっぽ、ぶんぶん。

その影が、月明かりの中で小さく跳ねた。


次話:【本編】Ep.21 九尾の狐 エピソード0「触れてはならぬもの」

2026/5/04 20:00に更新します

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