【本編】Ep.18 花粉地獄の連鎖
春の公園で花粉が大暴れ。
神様の“善意”が暴走し、いつもの怪異たちが次々と巻き込まれるお話です。
日が高く、
時計の針がやけに遅く感じる、
まどろみの時間。
近くの公園にて。
春の気配がふわりと流れ込む。
……と同時に、花粉も容赦なく舞い始めた。
光に照らされて、空気の中に小さな粒がきらりと見える。
口裂け女(鼻声):
「くちゅんっくちゅん!……花粉つら……」
神様(真剣):
「ふむ……花粉か。
ならば――遠くへ追いやれば良いのじゃな!」
神様、両手を広げる。
空気が震え、風が巻き起こる。
葉がざわつき、紙片がひらりと舞った。
ビュオオオオオオッッッ!!!
口裂け女(涙目):
「ちょっ……待っ……
くちゅん!くちゅん!
悪化してるぅぅぅぅぅ…くちゅん!」
花粉、倍速で舞い上がる。
陽の光に混ざった粒が、まるで小さな嵐のように渦を作る。
もはや視界がザラつく。
口裂け女(鼻声):
「くちゅん!……目の前が黄色……開けられないよー……」
九尾の狐(少し離れた所から):
「くしゅんっ」
九尾の狐、妖力が乱れ――
「ポンッ!」(狐)
「ボンッ!」(人)
「ポボポボポンッ!」(狐→人→狐→人)
くしゃみの度に姿が切り替わり、
変身のたびに尻尾が床を叩く。
砂埃と花粉が小さな竜巻のように巻き上がった。
九尾の狐:
「やめろ……!
妖力が……安定し……くしゅん……ない……!」
座敷童子(冷静):
「……神様、やめてあげて」
神様(自信満々):
「いや、風は効いておる!
花粉がどんどん飛んでおるぞ!」
座敷童子:
「だから悪化してるんだってば!
それ“拡散”って言うの!」
神様:
「…つまり……」
(無駄に溜めたドヤ顔)
「“バズる”わけじゃな」
口裂け女:
「ちがうーーくちゅんっ……
ワタシキレ……くちゅん……
もうムリ……」
九尾の狐(涙目のまま狐の姿):
「花粉……許さぬ……」
神様(まだ気づいていない):
「よし、もっと風を――」
一瞬、全員の顔が凍りつく。
座敷童子(全力で止める):
「やめてぇぇぇぇぇ!!」
神様:
「…なぜじゃ?」
神様は手を降ろす。
と、同時に風が止まった。
風に舞っていた花粉がふんわりと落ちてくる。
各々の顔の前に差し掛かると…
全員(一斉に):
「くちゅん!」
…数秒後
神様:
「……は……」
(全員が振り向く)
「……はくしょん!!」
時計の針は変わらずゆっくり進む。
ただ、周囲20メートルだけが地獄だった。
次話:■怪異相談室⑥ 花粉がツラい
2026/4/27 20:00に更新します




