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不器用な怪異たちシリーズ  作者: 瀬戸 陽子


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■怪異相談室② 部下が生意気だ

怒りっぽい赤鬼が「部下が生意気だ」と相談に来ました。

怪異たちのゆるい助言が、鬼の心を少しだけ変えていきます。

相談:部下が生意気だ


赤鬼:

「若造風情が生意気ばっかり言いやがって!

 言うこと聞かねぇんだよ、最近の部下はよ!」


座敷童子:

「鬼さん!おに~のパンツは♪

ふんふふんふふ~ん…♪」


赤鬼:

「今それどころじゃねぇ!」


呪いの人形:

「……その前に、ちゃんとルール守ってるの?」


赤鬼:

「ルールってなんだよ!

 ……昔はコレで一発だったんだ!」


赤鬼は腕まくりをし、力こぶを誇示する。

床がミシッと鳴る。


幽霊:

…………………(オロオロ)


赤鬼:

「怖がらせりゃ従う!

 それの何が悪いってんだ!」


ドンッ!と床を踏み鳴らす。

空気が一気に張り詰める。


呪いの人形はびくっと震える。


神様:

「……少しは落ち着かんか。

 それでは何も解決せん」


……沈黙。


座敷童子:

「……それ、だめだよ」


神様:

「……ほぅ」


神様の目元が、ふわりと柔らかく光る。


赤鬼:

「あぁ?ならどうすりゃいいんだよ!」


呪いの人形は、不安そうに座敷童子を見る。


座敷童子:

(少しだけ言葉を探して)

「……大きい声出したり、びっくりさせるの、だめ。

 ……優しく教えた方が、きっと……」


幽霊:

指♡指♡指♡(うんうん、と伝えたいらしい)


赤鬼:

「優しく!?

 そんなことしたら付け上がるだけだろ!」


座敷童子:

「……ちゃんと、お話ししないと」


赤鬼:

「話す!?俺が!?

 鬼だぞ!角と金棒は伊達じゃねぇんだぞ!」


呪いの人形:

「……それ、ただ怖がらせてるだけ……」


赤鬼:

「うるせぇ!!」


幽霊:

…………(ビクッ)

指♡指♡(完全アウト、と伝えたいらしい)


座敷童子:

「ね? 今みたいなの……こわい」


赤鬼:

「……っ」


神様:

「今ので“言うことを聞かない理由”が

 実演されたな」


赤鬼:

「してねぇよ!!」


呪いの人形:

「……してた……」


幽霊:

指♡指♡指♡(三票目)


赤鬼:

「多数決やめろ!!」


座敷童子:

「鬼さん、まず……」

赤鬼の金棒を指さす。

「それ、使うのだめだよ?」


赤鬼:

「……あ?」


神様:

「ここでも、部下に使うものではないのう」


赤鬼:

「……これ持ってないと……

 ただの赤い大男になっちまうだろ(焦る)」


座敷童子:

「……そういうとこだよ」


赤鬼:

「グッ……!」


呪いの人形:

「……怒鳴るの禁止……

 ……床ドン禁止……

 ……威圧オーラ全開も禁止……」


赤鬼:

「禁止多くねぇ!?」


神様:

「全部、部下が嫌がるやつじゃ」


幽霊:

指♡指♡(完全一致)


赤鬼:

「……じゃあ、どうすりゃいいんだよ」


座敷童子:

「えっとね」

にこっと笑って、

「おやつ、出す」


赤鬼:

「……は?」


呪いの人形:

「……休憩時間、増やす」


赤鬼:

「……え?」


神様:

「成果を出したら、きちんと褒めるのじゃ」


赤鬼:

「……」


幽霊:

指♡指♡指♡指♡(拍手)


赤鬼は、しばらく黙ってから、

そっと金棒を床に立てかける。


赤鬼:

「……わかったよ。

 明日から……努力すりゃいいんだろ」


部屋を出る赤鬼と神様。


赤鬼:

「神様め……わざとここに連れてきたな」


神様:

「見た目より、しっかりした者たちじゃろ?」


赤鬼:

「あぁ……」

少し照れたように、

「ビビるどころか、真っ直ぐ見てきやがった」


金棒を担がず、肩を軽く回しながら歩いていく。


スッと、表情が晴れていた。

次話:【本編】Ep.10 にじむ気配

2026/2/30 20:00に更新します

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