191話
「奈央さんいらっしゃい」
「お久しぶりです。あと娘がいつもお世話になっています」
えっさっきのテンションどこにいったの?
気のせいか気丈な感じに見えるけど、うちの母さんに緊張しているようにみえる
「そんな緊張しないでいいのに。電話でも話したじゃない」
「そうなんですが。こんなお友達みたいな距離感で人と接するのに慣れていなくて」
「もうお友達でもあるし、親戚みたいなものでしょ」
母さんが俺と愛にウインクしてくる
もう俺と愛が将来結ばれるのは両親公認らしい
「確かにそうだけど」
「お母さんって意外に人見知りなんだね。ふふっ」
「な、なにいっているのよ。普通でしょ」
「私としてはいつも強がっていただけって知れて面白い」
愛が奈央さんをからかって笑っている
すごくいい光景だけど、なんか汗が止まらないのはどうしてだろう
きっと奈央さんから殺気が溢れてきているからだ
「みっちゃん。こんな娘と一緒にいて大丈夫?私にしない?」
「えっ?」
急に奈央さんはこっちに話を振ってくる。しかも絶妙に愛が怒りそうなワードで
「いい年のおばさんが高校生をくどかないでください。警察呼びますよ」
「おばさん...?]
「違うの?」
愛が胸を張って言い返す
アニメでよくみる愛と奈央さんの間にバチバチとした何かがみえるような気がする
「はいはい。愛ちゃんも奈央さんもそれぐらいに」
そこに父さんが登場する
いつも絶妙なタイミング。ナイス!!
隣で真紀がほっとしているように見える
愛もさすがに父さんには言い返せないらしく大人しくなる
「見苦しいところをお見せしました。改めてお久しぶりです。急なご訪問になってしまい申し訳ございません」
奈央さんは父さんに頭を下げる
「いえいえ。真奈ちゃんから話は聞いていました。なので頭をあげてください。せっかくこられたので中に入ってゆっくり話しましょう」
「はい」
いい感じに父さんが場を収めて俺たちは家の中に入る
出発するときにはなかったごちそうがテーブルに並んでいた
「すいません。これぐらいしか用意できてなくて、よかったら食べてください」
奈央さんは手に持っていた保冷バックから最高級の肉の塊を出した
そんなものが入っていたの?
しかもよく動画でみるステーキ屋さんのステーキになる前の肉の塊みたいだ
「こんな豪華なものもらっていんですか?」
父さんもさすがに驚いているように見える
「これって高いやつじゃないの?」
母さんも驚いている
「全然です。来る途中にあった肉屋さんの一番いいのをちょうだいといったらこれを出してきたから買ってきただけなので」
母さんと父さんは顔を合わせて笑う
「やっぱりおかしかったですか?」
奈央さんの表情は一気に不安な表情に
「いや、やっぱり親子だなと思って」
「ほんとそれ。奈央さんと愛ちゃんがそっくりすぎて」
それは俺も思っていた。
前にうちの家族にお礼をしたいといって愛が美味しい魚を買いに行ったら
ブリを一匹買ってきたときのことをいっているのだろう
あのときも...
「愛...その袋に入っている魚は?」
「魚屋さんで一番おいしいのをくださいっていったらこれを出してきたから買ってきた。これ美味しいの?」
「料理次第じゃないかな」
あの時も母さんと父さんは驚いていた
まぁ2人が美味しく料理してくれたから嬉しかったけど
「前に愛ちゃんが魚を私たちに買ってきれくたときもブリ一匹買ってきたのを思い出して」
「あれは驚いたよね。4キロぐらいあったよね」
「あんた魚はダメでしょ。捌かないとダメなのよ。馬鹿なの?」
「いやいや。その肉も切らないと焼けないでしょ。人のこと言えないよ?」
ダメだ。この二人別の意味でいい距離間になってしまっている。
あと根本的な部分はすごく似ている
2人とも美人だけどちょっとポンコツだ
「まぁまぁ。せっかくなのでそのお肉も焼いて食べましょう」
父さんがYouTubeの動画をみながら鉄板焼き屋さんみたいな焼き方で料理しくれた
この日の御馳走は最高に美味しかった。
ところどころ愛と奈央さんの言い合いが始まるけど、途中から慣れてきて面白くなって松岡家は笑って見守っていた。
しかも酒を飲んだ奈央さんと母さんはかなり盛り上がって、最初の緊張はなくなっていた。
普段からしっかりしている奈央さんにとって母さんは心を許せる友達みたいな存在なのか楽しそうに笑っていた。
その顔は楽しそうに笑う愛にそっくりだなと思った




