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170話

「急に呼び出してどうしたの?」


「話が合って」


「話って?」


「付き合ってほしくて」


「なるほど...ってそんなのいいから。愛ちゃん抜きで私を呼びだしたってことは何かあるんでしょ」


「流石さくらさん、最初にさくらさんに呼び出されたときのことを思い出して再現してみました」


「そっか。あれは初めて瑞樹とちゃんと話したときだもんね」


「そうだよ。呼び出されてどうなるかとドキドキしていたけどね。別の意味」


「そうだね。この一年で瑞樹も言うようになったからね。その別の意味ってやつを実行してやろうじゃないか」


「すいません」


「よろしい」


俺は愛が真紀に勉強を教えた翌日さくらさんを屋上に呼んだ。

球技大会前、さくらさんから愛は実は不器用というのを教えてもらったときのことを思い出す

まさかあの時不器用だから練習に付き合ってほしいと相談を受けた俺が、今後は愛の不器用さについてさくらさんに相談することになるとは。

本当に世の中はわからないと笑いたくなる


「それで用とは?寒いよここ」


確かに冬の屋上は寒い


「愛には内緒にしてほしいんだけど、真紀がこの高校を受験したいって決めたんだけど、学力が足りていなくて塾には行かない方向で愛が勉強を教えていたんだけど...」


「真紀ちゃん、うちの高校を受験してくれるんだ。嬉しいな。愛ちゃんが勉強教えるのが上手ではないことは瑞樹もわかっていたでしょ」


「わかっていたけど、愛が嬉しそうに言うから...」


「瑞樹は愛ちゃんに甘すぎる。りんご飴ぐらい甘いからね」


確かに俺は愛に対してりんご飴ぐらい甘いかもしれない。

だって仕方ないよね。甘やかしたくなるような彼女だから


「すいません。それでさくらさんに真紀の勉強をみていただけないかと」


「いいよ」


さくらさんは即答した


「そんなあっさり?いいの?」


「いいよ。私が力になれることがあるなら協力するよ。真紀ちゃんは辛い思いした時私は何もやっていない。だからこれぐらい手伝わせてよ」


この男気あるところがさくらさんの魅力だ。

本当に素敵な人だと思う


「ありがとう。あとは愛になんていうかだけど」


「それも私がどうにかするから大丈夫」


「好きですさくらさん」


「キモイ」


「ごめんなさい」


いや本当に男はみんな惚れますよ。

前に愛より劣っているといっていたが、近くで愛をみていたらさくらさんの方がすごいと思うんだけどな

もう少し自分に自信を持ってほしいところだ


それからさくらさんは勉強会を企画した

いつものメンバーを誘ったが、余瑞があるとかで俺、愛、敬都、さくらさんの4人に真紀が入る形の5人の勉強会になった


「なんかこのメンバーで集まるの久しぶりだね」


「文化祭あたりから桐生さんと鏡さんも仲良くなって冬くんも仲良くなったからね」


文化祭前までは4人でいることも多かった。

最近は敬都は鏡さんと一緒にいたし、さくらさんも冬くんと話す機会が多かった。

てかこの人たち付き合っていないの?ってたまに思うけど聞かないことにしている


「瑞樹さん」


「敬都さんどうしたかね」


「俺たちの陰キャライフはどこにいったのかな」


「気持ちだけは陰キャだよ俺らは」


「はい、そこネガキャンしない」


「はい」


俺たちはいつものようにさくらさんに怒られる

この流れも当たり前になっている

そして愛は今日も眼鏡の先生姿できている


「瑞樹さん」


「なんだい敬都さん」


「どうして嶋野さんは眼鏡女子になっているのかな」


「きっとあれは先生になっているんだよ」


「そうなんだ」


「そうなんだよ」


「中村うるさい」


「えっどうして僕だけ」


「みっちゃんはいいの」


「だって」


「リア充爆発セロ」


「だから2人うるさいって」


「えっ愛は」


「はっ?」


さくらさんの目が怖くなる

これ以上何も言うなと言っている


「ごめんなさい」


「真紀ちゃんごめんね。今日は私たち4人いるからわからないところあったら聞いてね」


「はい」


俺たちは勉強を始めた

集団の勉強が苦手な人もいるが、個人的にこの時間は嫌いではない

一人だとすぐにSNS見てしまうけど、みんなが勉強していたらサボれる空気ではないから頑張ろうと思える

早速真紀が1つの問題に苦戦していると


「真紀ちゃん私に任せて」


待ってました!と言わんばかりに愛が真紀の隣に近づく

そしてわからないところを教える。

教え終わると愛は満足そうに自分の席に戻る

真紀の顔は全く理解できていないようだ


「真紀ちゃん、私にも見せて」


「は、はい」


さくらさんが援護する

そしてさくらさんが教えると真紀は理解できたのか顔がさっきと違う

流石さくらさん。教えるのがうまいと思っていたけどこの一つの問題で差を見せてしまっている

愛は全くそれに気づいていないようだけど


「愛ちゃん」


「どうしたのさくら?」


「愛ちゃんは勉強を教えるのが上手ではありません」


「何を言っているのかなさくらは?」


めちゃくちゃストレートにいったなこの人

愛が少しピリッとした感じでさくらさんに対抗する


「真紀ちゃん。愛ちゃんの説明わかった?」


「わかったよね?」


真紀は目を泳がせながら


「いや~。私の理解力が皆無なのが悪くて。愛ちゃんが悪いとかでは決して...」


「がーーーーん」


愛がうなだれる

珍しい光景に少し面白い


「だってさっきの愛ちゃんの説明聞いていたけど、私でもよくわからなかったよ。むしろ愛ちゃんの頭の中どうなっているの?って感じ」


「えっ教科書暗記すれば全部わかるでしょ」


「逆に教科書の内容頭に入っているの?」


「入っているよ。普通でしょ」


「なるほど。だから教え方が偏っているのか。私も教科書の内容は頭に入っているけど、それを踏まえて上で自分なりに解き方を模索してやっていて愛ちゃんは感覚的に教科書に書いていることと先生に言われたことを覚えて答えをだしている感じか」


「まぁそんな感じかな。違うの?」


「間違ってはいないんだろうけど、理解できていない人に教えるのには違うかもね。例えば...」


さっきの問題をさくらさんが教える


「なるほど。やっぱりさくらは教えるのがうまいね」


「愛ちゃんが感覚に頼りすぎているんだよ」


「それで点数とれるから仕方ない」


「まぁそうなんだけど」


「なぁ瑞樹さん」


「なんだい敬都さん」


「この2人やっぱり化物だと思う」


「俺もそう思っていた」


「私も」


化物2人の会話を隣で聞いていた俺たちは3人は目の前の会話をまったく理解できなかった

教科書の内容が全部頭に入っている?先生の言葉も頭に入っている?

どっちも頭に入っていない俺たちは絶望的なんではないだろうかと現実逃避したくなった。



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