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10 始まった俺のいそーろーらいふ

 衛兵長ガンドは急いでいたらしく、アルファルドが俺を襲った状況などを念入りに聞き込んだら直ぐに部屋を出ていった。


 ベッドから降りて肩を回したり跳びはねたりしても、痛みや違和感は無かった。


 売るつもりだった両手剣は無くなっていて、俺を治療院まで運んでくれた武器屋のおっちゃんに尋ねたが、路地裏では見かけなかったらしい。アルファルドに盗られた可能性が高い。


 よって、今の俺は有無も言わさず、正真正銘立派な一文(いちもん)無しである。陽も沈み始めて夜が近づいてくるも、食べる物も風呂も泊まる場所も無い。


「おじゃましまーす」


 だがそんな中、俺に手を差し伸べてくれた人物が一人。


「リビングだ。好きに使ってくれや」


 それが、武器屋のおっちゃんであった。マジ神かよこの人。


 いかつい剣斧槍盾鞭鎧兜などの武器が並ぶ店の正面に対し、その裏側の部屋には緑色の小さな草木が壁沿いに置かれ、自然と心に安らぎを与えてくれる。初めて来る場所だが不思議と気分が落ち着いていた。


「おかえりなさい。遅かったね。あら、どうしたのその子?」


 ドアの音がして、女性の声がした。年齢からして、おっちゃんのお嫁さんだろうか。


「おうエレナ。こいつはな、路地裏で死にかけてた、ウチのお客さんだ。ついさっき治療院を出たばっかなんだ。名前は、グレイ、だったか?」


「グレイ・ソルドレイっす」


 俺はエレナと呼ばれた女性に会釈(えしゃく)して、挨拶した。


「初めまして。私はエレナ・グリュース。死にかけてたって、夫は言うけれど、大丈夫?」


「大丈夫だよ。もう完治してる」


「エレナ。グレイは今日ここで泊めるからな」


 おっちゃんはそう言って店番に戻っていく。


「そうなの。よろしくね、グレイ」


「こっちこそ。おっちゃんとエレナさんがいなかったら俺、今日は路上で寝る羽目だったし」


「お金が無いの?」


「無いというか、失くしたというか」


「それなら、占いの店に行きましょう!!」


「占い?」


 張り切るエレナさんはドアを開けて、俺をリビングの外に連れ出した。

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