まずは話し合い。
「ではこれを…」
「ええと…こっちと合わせながら計算しても良いのよね?」
「あとこの書類も合わせると楽だ」
「ありがとう」
差し出した書類を今やっている書類と合わせながら、スミレさんは理解しながらノーミスで計算し、更に15分ほどで金額を減らすことの提案まで出してきた。
「さすがスミレさん…ホント凄い…」
「嫌だわ…美愛ちゃんのお手伝いだもの。 それに翻訳魔法まで掛けて貰ったし、字も書けるから楽なのよ」
にっこりと照れた様に微笑んだスミレさんを見て、パトリックに書類を渡すと。
彼は驚いたように書類とスミレさんを見る。
「優秀でしょ、スミレさん。 私の向こうの世界では、スミレさんに計算させたら一番だったもん」
「……本当に凄いですね…照らし合わせただけでこんなことまで考え付くなんて…」
「やだぁ…そんなこと無いですよ~…」
パトリックに褒められて、スミレさんは嬉しそうに身体をくねくねさせた。
『ミア、すまぬが妾のとこまで飛んで来れるか?』
「ん? リーチェ様?」
『急にすまんが、リヒト達との話が進まなくてな…』
「了解~。 パトリック、スミレさん見てて。 リーチェに呼ばれた」
「解りました」
「スミレさん、ごめん行って来る~。 解らないとこあったらパトリックに聞いて」
「はぁい。 いってらっしゃ~い」
ニコニコと微笑む二人に声を掛け、私は移動魔術でリーチェの居る場所へと飛んだ。
そこに居たのは、リヒトとアレク。
そして、リーチェにユーグだった。
「なになに? なんかあったの?」
「いやスミレのことじゃ。 【神様の御子】では無い彼女をこちらに住まわせるに、それなりの理由が無いと他の者に示しがつかんのじゃ…ミアの執務を手伝うと言っても、彼女は異世界の人間で、【神様の御子】としての能力は一切無いしのぅ」
「ようは…他の大臣とかが煩い訳か…」
「一応リヒト達の許可はあるがそれだけでは弱い。 伴侶を持つとかせねば城に永住も厳しいのじゃ」
「ほうほう…あ、じゃあ良いや。 パトリックに聞いて、スミレさんと結婚してもらうわ」
「「「「え?」」」」
驚いている4人に私はにっこりと微笑んだ。
「スミレさんの好みなのよね、パトリック。あ、もちろん二人が了解すればの話だし、それにパトリックも満更じゃなさそうだし…イケる」
「ミア? お主…」
「その問題は私の方で何とかするから。 それよりお願いしても良い? 出来れば守りやすいように、ユーグの住んでる階に二人の部屋を用意して欲しい」
「それは出来るが…大丈夫なのか?」
苦笑する4人に頷いて、アレクの言葉に微笑んだ。
「私の観察力はスミレさんと、セリアのとこの騎士団長さんからのお墨付きだから」
「出来れば数日以内に返事が欲しい。 大臣達に報告しなければならないから」
アレクの言葉に深く頷いて。
「了解了解。 あ、その時、悪いんだけどリヒト様、マリアにスミレさんの後継人頼んで良い?」
「あぁ。 マリアに言っておこう」
「ありがと~。 じゃあ戻るね~」
リヒト様にちゃっかりお願いしながら、執務室に移動魔術で戻った。
────────まずは話し合い。




