決して私欲にだけ走ったわけじゃありません。
「と言う訳で、スミレさん…は大丈夫みたいだけど、パトリックはどうかな?」
先程、リーチェ達から聞かされた事を、執務室で真面目に仕事していた二人に告げると。
──────パトリックは唖然とした表情で固まった。
「ありゃ? パトリック?」
「ぇ、あ…あの……私とスミレ様が、ですか?」
「だってパトリックとスミレさん、歳近いし…」
「え?!」
驚いたように勢い良くスミレさんの方を振り返ったパトリックに、私と彼女は首を傾げた。
「あの…私は42歳ですよ?」
「うん? だから近いよね?」
「──────────え?」
「ふふふ…美愛ちゃん。 どうやら、パトリックさん…私たちのこと相当年下に見てるわよ?」
「え?」
スミレさんの言葉に更に首を傾げると、パトリックは爆弾を落としてくれた。
「ミア様と…スミレ様………まだ十代でしょう……?」
「──────────え?」
「………やだ…そんな年下に見られていたの?」
困惑したパトリックの声に、先に復活したのはスミレさんだった。
「私、37歳ですよ?」
「────────────────は?」
驚いて更に固まるパトリック。
「ちなみに、美愛ちゃんは今25歳で、私は37歳です」
「はぁっ?! いや…そんなばかな…まだ十代では無いのですか?」
「ふふふっ…美愛ちゃん、私達どうやら物凄く下に見えたようよ? 海外じゃ日本人って若く見られるものね~…」
「な、なんですと…」
「やだわ~…そんなに若く見られたのは初めてよ~」
きゃっと両頬に手を添えて笑うスミレさんに、私は衝撃が強すぎてパトリックと同じように驚いてぽかんとしてしまった。
「……パトリック…」
「…すみません…………てっきりセリア様と同じくらいかと………」
「ふふふっ…もうパトリックさんって天然なのね」
────────その一言で片付けるスミレさん…最強すぎます…
「それよりどうしましょう…私が誰かと結婚しなければならないのよね?」
「あ、うん…スミレさんとパトリックだったらお似合いだし…良いかなぁって思ってたんだけど…」
「結婚はお互いの気持ちがないとすぐに破綻してしまうでしょう? 私も……パトリックさんなら楽し…安心できるから嬉しいけれど…パトリックさんに想い人がいらっしゃるなら…申し訳ないわ」
──────明らかに楽しそうって言いそうになったよね…
ジト~っとスミレさんを見ていると、パトリックが恐る恐る、だが嬉しそうに声を上げた。
「私も…可愛くてこんなに優秀なスミレ様が…こんな私でも良いと仰ってくださるなら…これ以上の幸せはありません」
────────あ…スミレさん完全に堕ちたな…
顔を真っ赤にして俯いてしまったスミレさんを一瞥して、私はパトリックを見た。
「ではパトリック…スミレさんをよろしくな」
「こちらこそ…良縁を結んで頂き、ありがとうございます」
深々と頭を下げたパトリックに、私はにっこりと頷いた。
──────────決して私欲にだけ走ったわけじゃありません。




