表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元ギャル、火竜に転生。翼と尻尾と角の幼女でFランク冒険者始めます〜竜の叡智とガチ燃えスキルで異世界冒険〜  作者: 優未緋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/3

3

第3話


観測対象と仮契約



「あなたを観察したいです」


「やだ」


即答。


うちはそのまま踵を返して歩き出した。


関わったら絶対面倒なタイプだこれ。目がキラキラしてるやつは大体やばい。しかも魔法オタクっぽいし。


「待ってください」


「来るな来るな来るな」


歩くスピードを上げる。


――ついてくる。


「なんで普通についてくるの!?」


振り向く。


いた。


さっきの銀髪エルフ。


めっちゃ自然に横に並んでる。


「まだ話が終わっていません」


「終わったよ!うち断ったよね!?」


「承認されていません」


「誰に!?」


「私にです」


「ルールが独特すぎる!」


周りの冒険者がくすっと笑ってる。


うわ恥ずかしい。


でもリリアは全く気にしてない。


むしろ真剣な顔。


「あなたは明らかに異常です」


「その言い方やめて?」


「事実です」


「二人目!」


《同意します》


「だからお前は黙って」


頭の中でツッコむ。


リリアは少しだけ目を細めた。


「……今、誰と話しました?」


「独り言」


「変わった人ですね」


「君にだけは言われたくないんだけど」


しばらく歩く。


でも、離れない。


横にいる。


ぴったり。


「で、何したいの?」


諦めて聞く。


リリアは即答した。


「あなたを観察したいです」


「だからやだって」


「理由を説明します」


「聞いてない」


「重要です」


「聞いてないって言ってるでしょ!」


でもリリアは止まらない。


「あなたの魔力は異常です」


「またそれ」


「通常、人間の魔力は一定の流動パターンを持ちます」


「へえ」


「ですがあなたは違う」


一歩近づく。


「密度、流動、発熱、全てが規格外です」


「なんか怖いんだけど」


「さらにその翼」


「だから近いって!」


「魔力で維持されていますね?」


「まあたぶん?」


「ですが構造が不明です」


「知らんがな」


「つまり」


びしっと指を差される。


「あなたは“未知の魔法体系”です」


「言い切った!」


目が本気。


やばい。


これは完全に研究対象として見られてるやつだ。


「未知は観測する価値があります」


「怖い怖い怖い」


「なので観察します」


「強引すぎる」


一回、深呼吸。


落ち着け。


このまま押し切られるのは嫌だ。


「……逆に聞くけど」


「はい」


「観察してどうすんの」


「理解します」


「その後」


「応用します」


「怖いって!!」


リリアは少し首を傾げる。


「問題がありますか?」


「あるでしょ普通」


《合理的ではあります》


「お前はそっち側だろうね」


でも。


ちょっと引っかかる。


「……てかさ」


「はい」


「うち、この世界のことよく分かってないんだけど」


言った瞬間。


リリアの目が鋭くなる。


「やはり」


「やはりってなに」


「あなたは知識がありませんね」


「……あるけど」


「ありません」


言い切られた。


「文字は読める」


「はい」


「言葉も分かる」


「はい」


「でも」


一拍。


「街の反応、視線への戸惑い、ギルドでの挙動」


リリアは淡々と言う。


「すべて“初めて”の動きでした」


「……」


図星。


「つまり」


「言語理解はあるが、常識がない」


「言い方ァ!」


「事実です」


《正確です》


「お前ほんと容赦ないな」


腕を組む。


確かにそうだ。


この世界のルール、魔物の強さ、依頼の危険度、何も知らない。


今はなんとなくで動いてるだけ。


「ですが」


リリアが続ける。


「私は知っています」


「……」


「魔物の種類、危険度、依頼の難易度、地域ごとの特徴」


「へえ」


「そして」


一歩近づく。


「あなたの価値も」


「怖いって」


「取引を提案します」


「取引?」


「私が知識を提供します」


「うん」


「その代わり」


「観察させてください」


「実験対象じゃん」


「観察対象です」


「言い換えただけでしょ」


《同一です》


「うるさい」


少し考える。


正直、嫌だ。


でも。


便利そうではある。


このまま一人で動くのはちょっと不安だし。


それに。


「……戦えるの?」


「はい」


即答。


「理論上は」


「理論上!?」


「実戦経験は少ないですが、知識はあります」


「不安すぎる」


「ですがあなたも初心者ですよね」


「……まあ」


「なら同じです」


「絶対違うでしょ」


でも。


完全に間違ってるわけでもない。


「一人よりは二人です」


「それはそう」


「合理的です」


「友達いなさそうな言い方だな」


「いませんが」


「直球!」


一瞬、変な空気になる。


でもリリアは気にしてない。


「どうしますか?」


「……」


掲示板を見る。


依頼が並んでる。


読める。


でも分からない。


どれが安全か。


どれが危険か。


「……まあ」


ため息。


「いっか」


リリアの目が少しだけ開く。


「では」


「ただし」


指を立てる。


「観察はほどほど」


「難しいです」


「即否定すんな」


「努力はします」


「あと勝手に触らない」


「はい」


「あと話が長い時は止める」


「納得できません」


「長いからだよ」


「必要な説明です」


「もう長い」


リリアは少しだけ不満そうにしながらも頷いた。


「……わかりました」


「よし」


「ではパーティですね」


「いや仮な?」


「仮パーティ」


「そこ大事」


こうして。


うちとリリアは組むことになった。


まだ仲間って感じじゃないけど。


とりあえず、一人じゃなくなった。


「で、どれ受ける?」


掲示板の前に立つ。


リリアがすぐに指を差す。


「この三つです」


「早」


「ランクFで安全かつ効率的な依頼です」


「有能」


「最初からです」


「言うねえ」


依頼を見る。


スライム討伐。


薬草採取。


見回り。


「じゃあスライムでいいんじゃね?」


「妥当です」


「即決だな」


「初戦闘として適しています」


「ゲームっぽい」


依頼書を取る。


受付へ向かう。


ミレナがこっちを見る。


「依頼の受注ですね」


「これで」


「はい」


リリアが横で頷く。


「お二人で?」


「仮です」


「パーティです」


「温度差」


ミレナが少し笑う。


「連名で登録しておきますね」


「そんなのあるんだ」


「新人さんにはよくあります」


手続きが進む。


紙を書く。


確認。


「こちらで受理しました」


依頼票を渡される。


「対象は街外れの湿地帯、青スライム三体です」


「三体」


「核を回収してください」


「核?」


「スライムの中心結晶です」


リリアが即答。


「基本です」


「助かる」


依頼票を受け取る。


ギルドを出る。


外の空気。


夕方の光。


「……なんか冒険者っぽくね?」


「もう冒険者です」


「まあね」


少し歩く。


隣にリリア。


変な感じ。


「……ほんとに組んだな」


「合理的判断です」


「そればっかだな」


「事実です」


少しだけ風が吹く。


翼が揺れる。


尻尾も動く。


リリアの目が光る。


「あ、今の動き――」


「だめ」


「まだ何も言ってません」


「言う顔してた」


「観察眼がありますね」


「誰のせいだと思ってんの」


リリアはほんの少しだけ笑った気がした。


気のせいかもしれないけど。


うちは依頼票を見る。


スライム三体。


初依頼。


初戦闘。


「……よし」


顔を上げる。


「行くか」


「はい」


こうして。


うちの冒険は、ちゃんと“始まった”。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ