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無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第四章 暗殺者の選択編

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第189話 ジャキの力

 ガロウが弾除けになってくれたが、別にあのデカブツを倒したわけじゃない。


 とにかく、まずはあいつを排除しないと護衛任務は達成できないだろう。


 そんなことを考えた直後だった。

 ジャキの巨大な拳が、俺めがけて振り下ろされる。


「ちょ、リョウガ!」


 イザベラの叫びが耳朶を打つ。

 次の瞬間には、俺の視界からジャキの姿が遠ざかっていた。


 どうやら拳で吹き飛ばされたらしいな――。






◆◇◆


「あの馬鹿、油断しやがって!」


 苦虫を噛み潰したような顔でガロウが吐き捨てる。


「おやおや。ジャキの拳をまともに受けては、もう立ち上がれないでしょうね」


 白衣の男が肩を竦めながら笑った。


「この中で一番強い男が退場したのですから、もう諦めては?」

「あん? 一番強いだと?」


 その瞬間、ガロウの蟀谷(こめかみ)がぴくりと波打った。


「俺の方がアイツより強ぇよ。そんなデカいだけの木偶なんざ、俺が細切れにしてやる」

「ほう。それは愉しみですねぇ――」


 白衣の男が目配せした直後、ジャキが拳を放つ。

 轟音。


 空気そのものを叩き潰すような暴風が走った。


 だがガロウは跳躍。拳を躱すどころか、そのままジャキの腕を踏み台にして頭上を取る。


「抜刀昇華――千閃!」


 鞘から刀が抜かれた刹那、銀光が空間を埋め尽くした。一瞬の間に千を超える斬撃。


 ジャキの全身へ無数の斬線が刻まれ、黒い肉体がズタズタに裂けていく。


「これでどうだ!」


 ガロウが吠える。

 だが――


「甘いですね」


 白衣の男は余裕を崩さなかった。


 裂けた肉が蠢く。

 切断された筋肉が絡み合い、裂傷が音を立てて塞がっていく。


「な――こいつ、再生持ちか!」


 ガロウが顔を歪めた。


 再生――一部の魔物や魔獣が有する特殊能力。受けた傷を瞬時に修復する厄介極まりない能力だ。


 しかもジャキの再生速度は異常だった。

 千閃によって刻まれた傷が、数秒もしないうちに跡形もなく消えていく。


「やはり貴方では力不足ですね」


 白衣の男が薄く笑う。

 その直後、ジャキが両腕を高々と振り上げた。


「当たらなきゃ意味がねぇんだよ!」


 ガロウが地を蹴る。

 だが――


「そうとは言い切れませんよ?」


 ジャキの拳が地面へ叩き込まれた。

 轟音――大地が陥没し、爆発じみた衝撃が周囲へ広がる。


 砕けた土砂と衝撃波がガロウを呑み込み、その身体が弾き飛ばされた。


「ガッ――!」


 受け身を取り損ねたガロウが地面を転がる。


「踏み潰してしまいなさい。ペシャッとね」


 白衣の男が愉快そうに指示を飛ばす。

 ジャキの巨大な足が持ち上がり、ガロウめがけて振り下ろされた。


 重苦しい衝撃音が響き、大地が震える。


「ハハッ。野良犬もこれでおしまいですね」

「お前らは兄貴を舐めすぎだ」


 群がるマタンゴを殴り飛ばしながら、ウドンが吐き捨てた。


 白衣の男が怪訝そうに眉を動かす。

 その瞬間だった。


 ジャキの背後――月を背に、一つの影が跳び上がる。ガロウだ。

 口元から血を流しながらも、その眼光は死んでいない。


「抜刀昇華――極一閃!」


 甲高い斬撃音。夜空を裂く一筋の銀光。

 次の瞬間、ジャキの首から上が宙を舞った。


「やったわね!」


 イザベラが歓声を上げる。

 だが――ジャキは止まらない。

 首を失った巨体が両腕を伸ばし、自らの頭部を掴み上げる。


 そして何事もなかったかのように首へ戻した。

 肉が蠢き、骨が繋がり、再び首が固定されていく。


「残念ですが、この程度なら再生可能です。そして――」


 パチンッ。

 白衣の男が指を鳴らした。

 瞬間、夜空から雷が落ちる。


「ガハッ!」


 直撃を受けたガロウの身体が痙攣し、空中から叩き落された。


「私も戦えることをお忘れなく」


 地面へ落下したガロウへ、ジャキの拳が容赦なく迫る。

 だがその瞬間――轟ッ、と衝撃音が響いた。


 ジャキの巨体が横殴りに吹き飛び、地面を跳ねそのまま上空へ打ち上がる。


「て、テメェ……生きてたのかよ」

「勝手に殺すな」


 地面に転がるガロウを見下ろしながら、リョウガが淡々と言い放った。


 その腕は、袖の内側で僅かに膨張していた――。

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