↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校では孤高の存在2人がいつのまにかくっついてた  作者: ふらみねえす


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/3

第1話 距離

「数学全然わからなくない? 中間テストはギリギリ赤点回避したけどさー」

「まだ二ヶ月半でそれだと先が心配なんだけど……」

「だって『数』学なのにxとかyとか入ってくるの意味わからないじゃん。四角とか三角にすればいいのにさー」

「それ小学校でやるやつじゃん」


 この人よく高校入れたな、という目で澄を見ていると、香里奈も全く同じ目をして澄を見ていた。


「いいよねー、結花はテストの点数高くて。脳みそ半分分けてほしい」

「私だってそんなに高くないでしょ」


 八十五点はべつに高いとは言えないと思う。まあ澄と比べたら天井と床の差ぐらいはあるけど。


「澄は授業中に寝てるからじゃない?後ろから見てると寝てないときないよね」

「だってあんな般若心経みたいな授業聞いてたら眠くなるの当たり前じゃん? というか夜に寝ようとしたら香里奈が引き止めてくるのが悪いってー」

「人のせいにしないでほしいなー」


 仲良いなこの二人。……ん? 一緒に寝てるの? さすがに仲良すぎない?


「一緒に寝てるの?」

「あ、いや物理的に一緒に寝てるわけじゃなくて通話ね。澄が毎晩掛けてくるから、寝るまで一緒にベッドで話してる」


 そういうことか。びっくりしたー。語彙力なくなるくらいにはびっくりしたー。

 危なく手に持ってるアイスコーヒーを落とすところだった。まだ半分残ってるのに。


 でも二人の関係性がちょっと羨ましくはある。私には学校の外で話すような友達がほとんどいない。

 今日だって澄と香里奈が誘ってくれなかったら放課後の予定は何もなかった。

 

 いつからかだろうか。私は誰かと深い関係性を築くのが怖くなってしまった。

 それはいわゆる友達という名前の関係だったり、あるいは恋人という名前の関係なんだと思う。

 長く、深く、その人と関わることでいつか私は幻滅されてしまうんじゃないかという考えが頭をよぎってしまう。


「今日は何時ぐらいから話すー?」

「うーん、九時とかなら大丈夫そう」


 正直な話、他人の会話を聞いているのは楽しい。

 その人たちの関係性を会話から想像できるのが面白いから。

 自分は絶対にその間には割り込んでいかない。

 というか入り込めない。

 他人とはこのぐらいの距離感でいるのがちょうどいいんだと、そう考えている。

 ただ、今みたいに目の前で仲良いアピールをされるとさすがに少しだけ嫉妬してしまった。

 

「結花は誰かと通話したりとかしないのー?」

「私はしないかな。もし恋人とかいたりしても、家でも外でも会ってたら分別《ふんべつ》つかなくなっちゃいそう」

「うーん……確かに?」


 なにかを考えている澄は放っておいてストローに口を付ける。

 澄と香里奈は「外でも距離近いかなー?」「気にしないけどね、私は」とか言ってた。やっぱり仲良すぎない?


 二人の会話を聞いていると、どこからか人の気配を感じた。

 奥の方に視線を移してみると、裏口のドアから人が入ってきている。

 私達と同じ浅折《あさおり》高校の制服を着ている子が。

 その子は私のことをちらっと見ると、そのままバックヤードの方に消えていってしまった。

 澄と香里奈の背中側をそそくさと通り過ぎていったから、二人は気づいてないっぽい。

 

 あまり人の顔と名前を覚えられない私でも、さすがに同じクラスの人ぐらいは分かる。

 しかもクラスの中では有名人となると忘れることはない。

 まあ悪い意味だけど。

 大体の授業をサボって出てないくせに、忘れた頃に現れては一時間だけ授業を受けていく。

 今日は一日まるまる姿を見なかったので、学校に来てないのかと思ってたけれど、制服姿なのを見るに学校には来てたらしい。

 こんなところで出会うとは思わなかったので、目の前で喋ってる二人にも言おうかと迷ったけれどやめておいた。

 私達を避けているようだったし。


「そろそろ帰るー?もう五時半だしー」


 澄に言われて時計を見てみると確かに五時半だった。

 さっきのことがちょっとだけ気になったが、電車の時間もあるので帰るしかない。

 後ろ髪を引かれるどころか、髪の毛全部抜かれるぐらいの強さで引っ張られるぐらいだったけれど、椅子から立ち上がることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。