第3話 戦闘前だというのに
『自己アピール度=0』
【-■■■■■□□□□□+】
んー……? これ、ゲージかな!?
真ん中が0なら、+1にすると……。
* *
『自己アピール度=+1』
【-■■■■■■□□□□+】
ピロッ。なった。
なんだか気分が、こうなんと言いましょうか、大きくなるというか、この格好のままでも、もう良いかな……なんて気持ちになってきますよ。
俺を見てくれ! みたいな。
もう少し上げてみましょうか。
+2……+5
* *
『自己アピール度=+5』
【-■■■■■■■■■■+】
ピロピロピロ……。……うおお、おおお……。
「うりゃあぁぁぁー! なんじゃい、ワレェー! 俺様の事、知らんのんけー! このボケーッ! 頭が高い言うとんのじゃ!!」
うわっ? ハーハー。なんだこれ。思わず口からほとばしる俺様言葉! しかも『威圧』になってないか?
竜の威圧?! この辺りの魔物が遠ざる気配がする。凄い効き目だ! でも、駄目だ駄目だ。便利だけど気をつけないと何か勘違いしそうになってしまう。
スーハー。明鏡止水、メーキョーシスイ!
逆はどうなる?
何となく想像できるけど、マイナス行ってみよう。
* *
『自己アピール度=-1』
【-■■■■□□□□□□+】
ピロッ。なんだか存在が希薄になったような、ならないような? これくらいじゃ、自分では良く分かりません。よし、ここはどーんと。
* *
『自己アピール度=-5』
【-□□□□□□□□□□+】
ピロピロピロ……。……ふぇぇ、はぁぁぅぅ……。
「す、すみません。産まれてきてスミマセン。僕は、このまま生きてて良いですか? ああ、消え去りたい、穴があったら入りたい。その中で100年くらい眠ってしまいたい……ってイカンイカン本当に100年寝てしまいそうだ。解除!」
なんだこの思いっきりダークでブルーでネガティブな気持ちは。存在が希薄になっているのが分かる。これなら隣に誰かいても気付かれないんじゃないか?
マイナスは『隠蔽』だな。どちらも効果抜群だが精神を強く保たないと、何かやらかしそうだ。
よし、スキルが使える事が分かったところで助けに行こう!
「自己アピール度-5、『隠蔽』!」
ピロピロピロ……。ああ、死んでしまいたい。ち、違う違う! 明鏡止水。メーキョーシスイ! ……ああ、使い勝手悪るー。
* *
「すまねぇ、ダイゴさん。しくじった」
「どうしたカブ? 遅かったじゃねぇか。魔物がいたのか? 種類は?」
「ダンジョンウルフだ。しかも4、50匹はいる大きな群れなんだ。ウルフの1匹に見つかっちまって、尾行をまくのに時間が係っちまった。でも、いずれ匂いで辿られるんじゃないかと……」
「バカヤロー、ドジしやがって! 10匹程度ならともかく……」
「やめろキリボシ。今更どうにもならん」
「そうだ、それよりダイゴ。早く決めてくれ!」
「オロシ。何が言いたい?」
「怪我をしたカラミを置いていくか、どうかだ! あいつも冒険者なら今の状況が分かるはずだ」
「声がでかいぞ、オロシ。テントのカラミに聞こえる」
「聞こえる様に言ってるんだ!」
「……」
「もう、時間が無ぇ。ダイゴさん、決断してくれ!」
「……オロシ、キリボシ、カブ。お前らは持てるだけ荷物を持って先に行け。俺はカラミを守りながら殿をやる」
「馬鹿な、お前まで死ぬぞ。カラミは諦めろ! 俺たち4人だけで逃げても助かる確率は5分なんだぞ」
「俺はカラミを見捨てない!」
「……」
「ダイゴ。長い間、世話になった。スマン」
「すまねぇ、すまねぇダイゴさん。あんだけ世話になったのに……」
「あまり役に立たんかもしれんが、これを置いていく」
「おい、キリボシ。これは、お前が大切にしていた弓だろう。いいのか?」
「出来れば、生きて返して欲しい」
「……ふっ。無茶を言う。さあ、早く行け。時間が無くなるぞ」
* *
「ダイゴさん。私のために……」
「聞いていたのか」
「聞こえるわよ。あんなに大声で話していたら」
「心配するな。最期まで一緒にいてやる」
「私、ダイゴさんの事を……」
「それ以上言うな! 俺には……」
* *
フムフム。賢者スキル『デバガ……盗聴』で状況を把握しましたが……。
もう帰ってもいいですか?




