裏話2
集める材料は、三つ。ユニコーンの血液、月の雫、踊り草の汁よ。
一つ目のユニコーンは正確には翼がないので、ペガサスのこと。なぜか、時が経つにつれて、ユニコーンと呼ばれるようになったわ。ユニコーンとペガサスを並べて見たら、すぐに違いはわかるわよ。私が、獰猛なユニコーンに会ったら、間違いなく攻撃されるわね。
ペガサスは、人間に見つからないように、拠点を移す。血を容易に分けてくれるようなものたちでもない。探すのと説得に時間がかかるのよ。「血を分けてちょうだい」って頼むと、睨まれるし……。私の場合は、知り合いがいるから、かかるのは探す手間だけね。ギロっと睨まれはするけど、レノンちゃんのために耐えるわ。……なんで、極寒の地にいるのよ。翼、凍るわよ?
二つ目の月の雫は、ある花から取れる雫のこと。月の光に照らさらて咲き、光が消えていくとともに花は閉じていく。花が閉じる瞬間に落ちる雫を、月の雫とよんでいるわ。夜の間、花を見張ってないと、雫を取り損ねてしまうの。だから、花から目を離さないことが求められる。簡単そうに見えて、難しい作業よ。
清らかな水が流れる滝とよばれる場所がある。その崖の上に広がるたくさんの花。それが月の雫を落とすの。一つをジッと見ているわ。月が出てからずっとね。これを逃したら、一日待たないといけなくなるもの。小瓶を片手に落ちるのを待っているわ。雫かま落ちる一瞬を見逃さないようにするのって、辛いわね。……あっ、今よ! この小瓶に入ってちょうだい!
三つ目の踊り草の汁は、その名の通り、踊る草。もにゃもにゃと人にはわからない言葉で話している。なので、さっぱり理解できないのよ。いや、本当は理解しようとすればできるわ。でも、悲鳴がとてもうるさいから、草の声はわからないままでいいと思っているの。あとね、この草はゆでると、「もぎゃー」「むぎゃー」「ふぎゃー」「しゃー」って鳴くわ。他にも、さまざまな鳴き方があるわよ。
その踊り草のことだけれど、まだ話したいことがあるの。この草、困ったことに、切断しようとすると逃げるのよ。素早くちょこまかと動いて、再び捕まえるのが大変。ねぇ、逃げなくてもいいと思わない? 逃げ回るから、採集したら、縛っておくことにしたの。いい案でしょう?
緑溢れる森の片隅。もにゃもにゃと声を上げながら、踊っている細長い草たちがいる。近づいていくと、歓迎しているかのように、対象を囲んで踊るわ。実際は、歓迎しているのではなく、警戒しているのだけれど……。もにゃもにゃと鳴く声がうるさいわね。ささっと数本取って帰りましょう。ゆでる時にひどい奇声をあげることを考えると、握り潰したくなるわね。……我慢、我慢。うるさいけど、レノンちゃんを起こすのに必要な材料よ。しっかりと紐で縛っておかないとね。
Copyright(C)2020-莱兎




