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「37!」

「リティちゃん大丈夫?」


「だ、大丈夫です姉様。これさえ、覚えれば次の工程に進めるのです………」


「あまり根を詰めすぎると体を壊してしまうわ。ほどほどにね、リティちゃん。良かったら生姜のスープを作ったから飲んで、早く寝るのよ」


「ありがとうございます、姉様」



 最近姉様とゆっくり話が出来ていない。つらい。



 目の前に広げられた魔石についての書類にひたすら目を通して暗記していく。

 これらはすべてサラサ様から届けられた書類であり、次までに覚えるように。というメモ書きが一緒に届けられていた。




 前にサラサ様の友達になるよう言われた日、アイテム屋での働きについての説明も行われた。やはり魔石の魔力を扱えない私はその他の雑用業務をお願いされ、主に薬の種類の分別を任されていた。

 今思えば、何故サラサ様が来るまでに種別全て覚える様に言っていたのかは、サラサ様の相手が忙しくなるから、ではなかったのがよく分かる。




 今現在、私がやっているのは、サラサ様が輸入してくる魔石の仕分けの為に必要な知識を頭に入れる作業だ。


 この魔石というのは、今輸入してるだけでも40種類以上あり、見分けがとても難しい。


 ちなみに魔石の仕分け方というのは、ある特別な容器に魔石を入れることによって発生する色であったり光や振動を読み取って行う。




 今まではサラサ様が全てを行なっていたらしいが、量や種類も増やしていきたいという意向によりこの作業を円滑に行えて、かつ指示通り動く人材を探していたらしい。

 そこでトーマス様からサラサ様に“いい人材がいる”と紹介が行われた。


 それが私。


 サラサ様的には私の事を知らないから任せきれないと断ったらしいが、試す機会を与えるからと、私を案内役に任命したようだ。



 わがままな態度を取っても大丈夫そうな忍耐力と、言葉を交わした時の頭の回転が早いとこが気に入ったわと、後で言われた。


 やはり、魔石とこの学園については陛下や宰相などの政治に大きく関わる人物達を、様々な知識で丸め込んで味方につけ、話しを進めたのが彼女本人であり

 トーマス殿下も影で根回しを行ない、敵だった人物達を味方に引きずり込むなど協力を惜しまなかった。

 という事実を本人たちとルータス様達から改めて話された。


 この2人の行動は全て、今後の国の発展に大きく関わるものが多く、初めて会う人物をすぐに見極めるその手腕は多くの人物に認められているらしい。


 この人達は言質を取るための演技なんて軽くやってみせるんだろう。あの時みたいに。

 多分この人たちに目をつけられたら、逃げることなんてできない。諦めるしかない。





 さらに、魔石適応者であるルータス様とリューがどのような物と相性が良いのかも教えてもらえた。


 まずルータス様は、仕分けに使われる容器などの、物体に対してとても相性が良いらしい。

 今までも輸入製品であった、火を使わないランプや物を冷やしておける箱なども、ルータス様がいれば魔石だけの輸入で完成するそうだ。


 そしてリューはなんと、魔石から力を引き出してそのまま粉にするという特殊な能力を持っていた。

 それがあの色とりどりの粉の状態だったようだ。


 その特殊能力は陛下にも認められ、何か称号を与えられる所まで来ているとか。





 やはりそこで疑問に思うのは、何故サラサ様はリューに直接会いたくないのか。

 それについて私は、この仕分け作業ができるようになった時に聞こうと思っている。



 そしてもう1つ。

 サラサ様にあった「!」を見た時のこと。


 _____


 サラサ・ウィスタリア

 《創設者》

 ※これを開くためにはこの世界の元となった名前を入力すること。


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 創設者という文字。

 元となった世界という単語。


 この世界の、と言っているという事は、サラサ様がこの世界の創設者。という事なのだろうか。





 ただ今は、ステータスについて考えるよりもこの魔石について覚えることがたくさんあるため、ステータス調査のための行動ができていない。ここ2ヶ月位は好きな散歩すらできない状態だ。



 悔しいことに、この魔石や薬について学ぶことは割と楽しく、充実した毎日を送れている。

 トーマス殿下やサラサ様に上手く使われている気がしてとても嫌だとは思うが、もう仕方ないので上手く使われてあげようと、言われた通りに動いている。




 数日後、私が実験室で資料をまとめていると、サラサ様が部屋に入ってきた。


「リテーリア、作業は進んでるの?」


「サラサ様、一応全ての見分け方について頭に入れましたが、やはり自分で仕分けをやらない事には実感ができなそうです」


「ふふふ、いいわね、どんどん覚えてもらわないと。大丈夫よ、貴方の希望通り明日から魔石の鑑定テストも行う予定でいるわ。楽しみね」


「……はい」


「まぁ、たまにはお友達なんかと話しでもしなさい。これに集中しすぎて友達を失うというのは、(わたくし)も本意ではないわ」


「ありがとうございます」


 それだけ言ってサラサ様は部屋を出て行った。

 あまり詰めすぎるなと言いたかったのだろう。

 たしかにこれで友達を失うのは辛すぎる。

 せめてマリーとユリエスタ様を誘ってお茶でもしよう。

 そして、できれば姉様も呼んで4人で美味しいお菓子を食べるのもいい。


 今日の覚える事は全て終えていたため、マリーたちに声をかけるべく、実験室を後にした。


お読みいただきありがとうございます!

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